北朝鮮がBBC記者を国外追放 その理由と見られる映像の中身は

    詳細な理由は明らかにされていない。

    取材で北朝鮮入りしていたBBCレポーターのルパート・ウィングフィールド=ヘイズ東京特派員が、6日に北朝鮮当局に一時拘束され、国外追放処分を受けた。この日は36年ぶりの北朝鮮党大会が開かれていた。何が処分の理由となったのか。

    BBCによると、ウィングフィールド=ヘイズは8時間に渡って尋問され、声明書に署名させられたという。同行していた取材スタッフ2人も拘束された。

    北朝鮮当局は記者会見で、BBCの取材班について「彼らは、公正に、客観的に、そして大変正確に報道するべきだったものの、現地の慣習、朝鮮民主主義人民共和国の体制を公正に尊敬せず、さらには歪んだ事実を作った。指導部を批判した」と説明したという。CNNが報じた。ただし、どの記事のどのような部分を問題視したのか、詳細は明らかになっていない。

    中国で活動しているジャーナリストStuart Leavenworthは、TwitterでBBCの取材チームが北朝鮮から追放された原因だという映像のリンクを紹介している。NHKもこの映像を用いてウィングフィールド=ヘイズの国外追放処分について報じている。

    This is piece that got @BBCWorld team kicked out of DPRK - A rare look inside North Korea's Kim Il Sung University https://t.co/SLBd1gBy8a

    映像は、大学の学生らがどのような教育を受けているのかを客観的に紹介しているように見える。学生がインターネットの使い方に戸惑っている一方、ノーベル平和賞受賞者らと学生が微生物学について高度な対談をする様子も映し出されている。

    だが、緊迫したシーンもある。ウィングフィールド=ヘイズは金日成総合大学の学生に「なぜ北朝鮮は核兵器が必要だと思う?」と聞き、さらに追加質問をしようとしたところ、北朝鮮当局とみられる者が中断している。「もしこの映像を消さないと、大学から出るように言われた」とウィングフィールド=ヘイズは話している。

    北朝鮮では、5月6日から、36年ぶりの北朝鮮党大会が開かれている。党大会では、北朝鮮の朝鮮労働党の党規約の改正や基本方針などを決定する。金正恩第1書記による新体制の確立が狙いだ。党大会に向けて10カ国前後から120人以上の海外メディアの取材団が招待されていると朝日新聞は報じている。日本からは、NHK、全国紙やテレビ局などが訪朝している。

    ウィングフィールド=ヘイズとプロデューサー、そしてカメラマン3人のBBC取材チームは、北朝鮮の第7回党大会が開催される数日前に訪朝。ノーベル平和賞受賞者ら3名とリヒテンシュタインの王子が率いる北朝鮮のエリートとの学術国際交流のプログラムに同行し、平壌に入っていた。

    記者会見でCNNは、国の意向とは異なる報道をすることによる尋問や処罰が、世界からどう見られるのか聞いたが、当局は答えずに退室したという。

    BBCの広報担当者は、「レポーターのルパート・ウィングフィールド=ヘイズと報道した内容に北朝鮮の政府が憤慨し、彼と取材チームが国外退去されたことをとても残念に思っている。BBCスタッフの4名は、朝鮮党大会の取材に招待され北朝鮮に残っている。継続して取材するのが許されることを期待している」とサイトで声明している

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    BBC News / Via youtube.com