10代の妊娠や産後うつのSOSに。渋谷区に誕生した「子育て支援施設」が期待できる理由

    フィンランド発の子育て支援システム「ネウボラ」を導入した施設を、犬山紙子さん、眞鍋かをりさん、坂本美雨さん、ファンタジスタさくらださん、福田萌さん、草野絵美さんの6人が取材しました。

    コロナ禍で産後うつや児童虐待が増加し、対策が急務となるなか、渋谷区は8月2日に新たな子育て支援の基幹施設「渋谷区子育てネウボラ」をオープン。その施設内に、保健師などへ子育て相談もできるコミュニティの場「coしぶや(渋谷区神南ネウボラ子育て支援センター)」を開設しました。

    「渋谷区子育てネウボラ」は、フィンランドで導入されている「ネウボラ(フィンランド語でアドバイスの場)」を参考とした施設。妊娠期から子どもが18歳になるまで切れ目なく、保健師が中心となり子育て家庭のサポートを行います。

    この施設の顔となる「coしぶや」は、どのように親や子どもを支えていくのか。「#こどものいのちはこどものもの」のハッシュタグを掲げ、虐待をなくすための発信や活動を続けているタレント6人が取材しました。

    画像提供:犬山紙子さん

    犬山紙子さん、眞鍋かをりさん、坂本美雨さんが「coしぶや」を訪問。ファンタジスタさくらださん、福田萌さん、草野絵美さんは、ビデオ通話で取材に参加した。取材にこたえてくれたのは、「coしぶや」広報の岡庭希さんと「coしぶや」コミュニティコーディネーターの大和桂子さんの2名。

    悩みを話すハードルを下げ、誰でも駆け込める場所を目指す

    Eiko Yamase / BuzzFeed

    犬山紙子さん(以下、犬山):以前からフィンランドの「ネウボラ」には注目していたのですが、「coしぶや」とはどういった施設なのでしょう?

    「coしぶや」岡庭希さん(以下、岡庭):「coしぶや」が入っている「渋谷区子育てネウボラ」は、子育てに関するあらゆる窓口が集結した施設です。健診や保健相談、教育の相談など、妊娠期から18歳になるまでの全ての子どもとそのご家族をサポートする様々な機能が集約されています。

    その中でも2〜3階の「coしぶや」は、支援の入口となる「コミュニティの場」を担っています。

    2〜3階に「coしぶや」、4~6階に「中央保健相談所」、6階に「教育センター」、7階に「子ども発達相談センター」、8階に「子ども家庭支援センター」を配置。屋上には庭園がある。

    2階には、子どもが自由に遊んだり創作活動ができるアトリエと広場、カフェを併設しています。カフェはお子さんのいる方だけではなく、誰でも自由にご利用いただけるオープンな場所となっています。

    左:0歳から利用できる「アトリエ」。専門職員「アトリエリスタ」が常駐し、子どもたちの創造活動をアシストする。右:乳幼児から高齢者まで、誰でも利用できるコミュニティカフェ「coの食卓」。和食がメインのメニューを取り揃え、食を中心とした出会いと繋がりの場を目指す。

    3階には、未就学児とその親が利用できる広場と、子育て相談機能を設けています。保育士や助産師などの有資格者も常駐していて、子育ての悩みを気軽にご相談いただけます。

    2階、3階ともに渋谷区民以外もご利用可能*です*2階は当日に登録すれば誰でも利用可能、3階は事前予約枠と当日枠があり、事前予約枠は渋谷区民優先(区民は利用予定日の7日前から、区外の方は3日前から予約できる)。

    左:2階。プレイグラウンド(遊びの広場)とアトリエ、カフェを展開している。 右:3階。子育てひろば、短期緊急保育・子育て相談機能を展開。保育士や助産師などの有資格者に相談することが可能だ。

    坂本美雨さん(以下、坂本):専門の資格を持ったスタッフに相談できるんですね。例えば10代の妊娠の場合、いきなり病院へ行くのはハードルが高いと思うんですが、ここに来たら何とかなるという場所なのでしょうか?

    「coしぶや」大和桂子さん(以下、大和):はい。まずはしっかりとスタッフがお話を聞かせていただき、一緒に対応を考えていきます。

    必要に応じて、保健師など区の関係機関とも連携します。役所にはなんとなく行きづらいな…という人にも足を運んでもらえるよう、オープンな雰囲気づくりを大切にしているので、「駆け込み寺」だと思って安心して頼ってもらえればと思います。

    坂本:居心地のいい雰囲気をつくるために、具体的にどういった工夫をされていますか?

    大和:全体として、子どもはもちろん、大人もゆったりと過ごせるように空間をつくっています。色づかいをおさえたり、要所要所にクッションやスツールを置いたり…。

    スタッフも、身近に感じてもらうために、服装は基本的に自由にしていたり、名札はスタッフ自身が呼ばれたい名前を書いていたりします。これに関しては様々な意見があったのですが、何度も議論を重ねて方針を決めました。

    草野絵美さん(以下、草野):話しやすさって大事ですよね。私は大学生の時に出産したんですが、その時は「区役所の人に相談したら、説教されそうでちょっと怖いな」って思ってたんです。でもここなら、そういう人でも安心して行けそう。

    岡庭:あとはお越しいただいた方には、毎回スタッフからも声をかけるようにしています。

    草野:それはうれしい…! 子育て中って大人と話す機会がなかなかないから、声をかけていただくと、すごく心にしみるんですよね…。

    最近健診に行ったときに、そこで初めて会ったママさんに声をかけたら「今日初めて大人と話しました、寂しかったです」って言われて。

    どこかでゆっくりお話ししたかったんですけど、近くにカフェがなかったので結局すぐに解散しちゃったんです。でもこういう施設があると、ママ友ができるきっかけになるし孤独にならないですよね。

    岡庭:実際にここでLINEを交換しているママさんたちを見かけることも多いです。

    Eiko Yamase / BuzzFeed

    眞鍋かをりさん:相談ができて友人もつくれるって素敵ですね。あとこのビル内で健診、手続き、相談がワンストップでできるのもうれしいなと思いました。

    役所だと「次はここで手続きしてください」って別の場所へ案内されたり、毎回健診の場所が違ったり…ということも結構あるんですよね。それがこのビルの中で完結できたら楽でいいなぁ。妊娠期から子育てが終わるまでずっと見守ってくれてる感じもするし。

    大和:ちなみに健診や官公庁の事務手続きなどで、短時間子どもの保育が必要になったときには、お子さんをお預かりする「短期緊急保育*」も利用していただけますよ。*区内在住の未就学児が対象で、利用無料。原則予約制(TEL 0120-978-310)で16時30分まで利用できる。

    一同:それはめちゃくちゃありがたい…!

    コロナ禍だからこそ開け続けなければならない

    「coしぶや」提供画像

    犬山:縦割りの壁がないから、スタッフさんを身近に感じられていいですよね。いつも子どもと遊んでくれているスタッフさんに、「ちょっとこんなことで悩んでるんだけど…」って相談もしやすそう。児童相談所に行く手前のお悩みを、未然に防いでくれるような施設だなと感じています。

    大和:そうですね。実際に「ここでなら話せる」「ここだけが拠り所」という人も少なくないので、コロナ禍だからこそ、ここは絶対に開け続けなければならないと思っています。

    そのために人数制限するなど新型コロナ対策を徹底し、本当にここが必要な人を受け入れられるように試行錯誤しています。

    犬山:なるほど。悩み相談以上の少し踏み込んだ支援が必要な場合、連携先はあるのでしょうか?

    岡庭:あくまでも個人情報に配慮し、またご意向を伺ったうえでですが、まずは施設内の専門のセクションにお繋ぎします。渋谷区とも定例会議があるので、少し時間をかけてサポートをさせていただく場合には、そちらで共有することもあります。

    各自治体へ知見を共有して、全国に「ネウボラ」を広めたい

    犬山:最後に、今後「coしぶや」で取り組んでいきたいことについて教えて下さい。

    岡庭:まずはここでのコミュニティを豊かにしていくこと。そして、その先には、こういった「ネウボラ」を渋谷区ならではのものにせず、水平展開できるモデルにしていけたらと考えています。

    そのためにも私たちが学んだ知見は各自治体などに、どんどんシェアしていきたいです。

    また隣に小学校があるので、いずれは小学生が放課後に寄れる場所にしていくことも構想しています。親だけではなく子ども自身にとっても「ここに来たらなんとかなる」という居場所にしていけたらと思います。

    「coしぶや」提供画像

    渋谷区神南ネウボラ子育て支援センター「coしぶや」

    所在地:東京都渋谷区宇田川町5-6 2・3階

    開館時間:9時~17時(休館日:火曜日午後、土曜日、祝日)


    施設画像の提供:「coしぶや」