11月22日午前5時59分、福島県沖を震源とする地震があった。福島県などで最大で震度5弱を観測し、津波警報が出た。NHKなど各局は速報で「今すぐ避難を」と強く呼びかけた。
「寝ている人を起こして、すぐに避難してください」 「予想よりも高い波が来る恐れがあります。少しでも高いところに避難してください」
今回、気象庁による津波の予測は、最大で福島県の3メートル。そのほかの地域は最大で1メートル。それほど、高くないように感じた人もいたかもしれない。
しかし、忘れてはいけない教訓がある。 2011年の東日本大震災のときも、地震発生当初は「津波の高さは3メートル」と予測されていた地域が多かった。
各自治体の防災無線もその予測を伝え、それで安心して避難しなかった人も多かったという。
3月11日、気象庁は地震発生3分後の午後2時49分に大津波警報を発令し、1分後に岩手県には高さ3メートルの津波が来ると予想した。これを受け、岩手県釜石市は午後2時50分と同52分に「高いところで3メートル程度の津波が予想されます。海岸付近の方は直ちに近くの高台か避難場所に避難するよう指示します」と市内96カ所のスピーカーで放送した。
気象庁は津波予想を、午後3時14分に6メートルと切り替え、同31分に10メートル以上とした。しかし、市は停電で気象庁情報を伝えるメールを県から受け取ることができなくなっていた。この間、避難を指示する放送を6回繰り返した。
その結果、市民の中には「津波は3メートル」と思い込み、2階に避難すれば大丈夫と判断した人が多かった。実際には、釜石港には約9メートルの津波が押し寄せたとみられている。
(朝日新聞デジタル、2011年4月20日)
そもそも、津波の高さ3メートルは低くない。気象庁のリーフレットによると「標高の低いところでは津波が襲い、浸水被害が発生する。人は津波による流れに巻き込まれる」。
午前9時50分現在、津波警報は解除されたが、注意報は今も続いており、警戒が必要だ。 今回、津波による被害がなかったとしても、東日本大震災の教訓を忘れず、速やかに避難をする必要がある。
訂正
冒頭の写真の写真のキャプションで当初、NHKの中継と記載していましたが、テレビ朝日の中継の誤りでした。訂正します。