小泉議員らの国会改革案(全文)が網羅した現在の問題点と、残された課題

    特別調査会の設置基準は?

    小泉進次郎氏ら自民党の若手議員で作る「2020年以降の経済社会構想会議」が国会改革案をまとめ、6月27日、二階俊博幹事長に提出した

    「よりオープンに、より政策本位で」をテーマに、疑惑を追及する特別調査会の設置や効率的な審議日程など包括的で画期的な提案だが、残る課題は何か。

    「与党有利の国会改革はありえない」

    改革案の全文を記事後半に添付した。それを読むと国会が抱える制度的な問題を包括的に取り上げつつ、多方面に配慮した内容であることがわかる。

    例えば、以下の部分では野党が武器とする審議拒否について、自民党も野党時代に使用したことをあえて記している。

    現在の国会は、審議日程が事前に明確化されておらず、翌日に本会議・委員会を開くかどうかも含め、与野党の調整に委ねられている。その結果、自民党の野党時代もそうだっ たように、野党は、審議拒否を武器に、与党から譲歩を引き出すことを目指すため、国会審議は日程闘争が中心になる。

    小泉氏は27日の改革案提出後に開いた記者会見で、これまで国会改革が与野党で何度も議論され、2014年には7党国体委員長による申し合わせがあったにも関わらず、改革が進んでいない現実に言及した上でこう述べた。

    「与党有利の国会改革はありえない。今の与党、野党ではなく、国会の仕組みが問題。このままでは、与野党も国民も不幸だ」

    改革のポイントは「一車線を三車線に」

    今回の改革のポイントと小泉氏が強調したのは、国会の議論の場を「一車線から三車線に」変えることだ。

    現状では、森友・加計学園のような疑惑が生じると、国会の議論がその追及に偏り、政策議論が滞る。しかも、疑惑の真相究明も中途半端に終わりがちだ。

    そこで以下のように整理する。

    疑惑は疑惑でちゃんと結論を

    疑惑が発生したら、特別調査会を設置し、そこで「徹底調査し、ちゃんと結論を出す」。一方で、委員会では政策本位で生産的な議論をしようという整理だ。

    改革案では以下のように説明している。

    「同調査会は、確立されたルールの下、参考人や証人の招致、資料提出等を通じて、エビデンスベースで冷静かつ客観的な調査を行い、徹底的に事実究明を行う。その上で、調査報告書をとりまとめ、これを公表することで、一定の結論を出す。また、国政調査権の発動を支援するため、調査局の調査スタッフも大幅に増強する。

    首相の出席の効率化や計画的な審議も

    さらに、首相や大臣の国会出席の効率化も求めている。これは諸外国に比べて日本の首相や大臣が国会に出席する日数があまりにも多く、答弁要求がないときにすら、貼り付け状態になっていることを問題視したものだ。

    党首や大臣計論により内閣の調明責任を強化する代わりに、総理や大臣の国会出席を合理化すべきである。

    現代では、総理や大臣が、答弁要求がない場合でさえも国会に張り付きになり、重要な外交や内政に注力できないばかりか、行政に対するトップマネジメントにも支障をきたしかねない。 説明責任の強化と同時に、総理や大臣が本来の業務に集中できる環境を整備すべきである。

    また、国会審議の日程が明確化されていないことで、質問も答弁も準備期間が短く、議論が深まらないことにも触れ、計画的な審議の実行を訴える。

    国会審議をより政策本位にするため、国会審議を計画的に進める仕組みを導入すべきである。

    現在の国会は、審議日程が事前に明確化されておらず、翌日に本会議・委員会を開くかどうかも含め、与野党の調整に委ねられている。その結果、自民党の野党時代もそうだっ たように、野党は、審議拒否を武器に、与党から譲歩を引き出すことを目指すため、国会審議は日程闘争が中心になる。

    充実した政策本位の国会審議に転換するためには、質疑前に十分な準備期間を確保し、 計画的に政策討議を進めることが必要である。

    これまでの国会改革の議論よりも包括的で、画期的な内容だと言えるが、課題は残る。

    党の事前審査は?

    一つは、党の事前審査だ。

    法案が提出される際、党内で事前に徹底的に議論する。その結果、国会で野党と議論してもほとんど修正されない。だから、野党は時間切れでの廃案を狙って日程闘争に入る。

    実は、この点も改革案では触れている。事前審査制度が存在しないイギリスを例に出し、今後の検討課題としている。

    今後、こうした「討論のアリーナ」としての国会を目指して改革を進める場合には、さらにいくつかの課題が見えてくる。例えば、同じく二大政党が政策を競い合う議院内閣制である英国においては、政策決定を内閣に一元化しており、与党の事前審査制度は存在しない。

    特別調査会の設置基準は?

    もう一つが、特別調査会の設置基準だ。

    今回、設置が提言された特別調査会については、すでに似たような制度がある。特別委員会だ。特定案件を審議または調査するために設置される。

    特別調査会は疑惑調査に特化し、結論の公表などを明記しており、特別委員会による調査よりも強化されることになる。だが、問題は設置基準だ。

    モリカケ疑惑については、野党は特別委員会の設置を求めてきたが、自民党が拒否してきた。特別調査会の制度が実現したとして、与党に疑惑が起きた時に設置を認めるのか。その基準はどうなるのか。

    改革案ではドイツの例を注釈で紹介している。

    ドイツの例では、ドイツ基本法第44条において「連邦議会は、公開の議事において必要な証拠を取 り調べる調査委員会を設置する権利を有し、議員の4分の1の申立てがあるときは、これを設置する義務を負う。公開は、これをしないことができる。」と規定している

    だが、会見の場でBuzzFeedが設置基準について質問をしても、はっきりとした答えはなかった。基準が厳しければ、疑惑を持つ側の拒否で設置が難しくなるし、基準が緩ければ、乱立の恐れがある。

    改革案では末尾で次のように戒めている。

    言うまでもなく、我々が今回提案している制度改革案も、運用によっては、所期の目的が達成されないことも十分にあり得る。そもそも「制度」を動かすのは「人」であり、「制度」が適切に機能するか否かは、その「運用」に依っている。その意味で、制度の 運用にあたっては、改革の趣旨をしっかりと共有し意識付けすることが重要である。

    以下に全文を添付した。


    よりオープンに、より政策本位で

    ー政治不信を乗り越えるための国会改革ー

    今、国民の政治不信が高まっている。

    1年以上にわたり、国民と国会は森友・加計問題に振り回されてきた。もちろん、個別 の問題については、政府が主権者たる国民に納得できる説明責任を果たすべきであり、ここで論じるつもりはない。

    しかし、一連の問題により、政治全体に対する国民の目線は厳しさを増している。政権はしっかりと説明責任を果たしているのか。国会はいつまで個別の問題を議論するのか。 いつになったら結論が出るのか。その他の政策テーマの議論は十分に行われているのか。 行政のガバナンスをどうやって立て直すのか。

    こうした国民の疑問を真摯に受け止め、然るべき制度的な対応を行わない限り、近い将 来に同様の事案が発生し、再び国政が停滞することになりかねない。

    今こそ、国民の政治不信に正面から応える政治改革が必要だ。特に、ポスト平成時代を 迎えるにあたり、議院内閣制における内閣総理大臣による政治的リーダーシップに基づく 政治、すなわち「総理主導」の確立と同時に行うべきだった国会改革を、今こそ実行する 必要がある。

    言うまでもなく、平成の政治改革は、「官僚主導」の政策決定を、「総理主導」へと転換 することを目指してきた。

    55年体制の自民党一党支配の下では、様々な分野で政・財・官の「鉄のトライアングル」 が形成され、強力な既得権益が必要な改革を阻んでいた。

    これに対し、平成の政治改革は、総選挙で国民の信認を得た総理が強いリーダーシップ を発揮し、族議員や業界団体の反対を乗り越えて、全体最適のために大胆な改革を進める ことが出来る仕組みの実現を目指してきた(注1)。

    (注1: 例えば、平成4年に自民党が発表した『政治改革の基本方針」では、「議会制民主政治のもとにおい て、政治に緊張をうながすのは選挙である。われわれはこの際、民主政治・政党政治の理念に徹し、 衆議院に簡明で国民に分かりやすく、かつ、多数代表制であり、政権をめざし政党が命運をかけて政策を競い合える小選挙区制を導入することとする」と記載。政権交代可能な選挙制度を導入することで、与野党が政策を競い合う政治に転換し、従来の派閥政治の弊害を乗り越えようとする覚悟が示された)

    平成の 30 年間に、小選挙区制の導入、省庁再編と官邸機能の強化、内閣人事局による官僚幹部人事の一元化など、累次にわたり制度改革が進められた。こうした政治改革の効果をフル活用し、小泉政権と安倍政権は、総理主導への転換に成功した。

    ポスト平成時代において、我が国を取り巻く内外の環境は厳しさを増している。外交で は、戦後の国際システムの大転換が始まり、新たな世界秩序を模索する不透明な時代に突入した。

    「戦後70年以上にわたり、米国をリーダーとする西側諸国が民主主義・人権・自由貿易を基調とする国際システムを支えてきたが、移民流入や格差拡大を背景に欧米諸国の国内政治の内向き化が進んだ結果、欧米諸国の世界秩序を支える意思と力が相対的に弱まりつつある。特に、TPPからの離脱、鉄鋼や自動車への関税導入、パリ合意からの離脱を進めるトランプ政権の登場は、戦後の世界秩序がその中枢から動揺していることを明確に示している。

    一方、中国は、好調な経済とあいまって超大国としての存在感を高めており、AIIB など欧米主導ではない独自の世界秩序の形成を進めている。今後、人工知能・ロボット等の第4次産業革命やグローバル化が更に進む中で、新しい世界秩序の主導権争いは更に激化することが想定される。こうした中で、我が国としては、地域の平和と国民の安心を確保するため、これまで以上に戦略的かつ機動的な外交戦略を進めていく必要がある。

    内政面でも、課題は山積している。特に、急激な人口減少と高齢化の中で、経済社会や 財政の持続可能性の確保に向けた取り組みは待ったなしであり、人生 100 年時代を前提と した雇用制度や社会保障制度を構築するなど、戦後の経済社会モデルを大胆に見直す必要がある。

    このように、内外の環境変化を踏まえれば、ポスト平成時代においても、選挙で国民の信認を得た総理が、強いリーダーシップを発揮し、大胆な改革を進める体制を維持することは極めて重要である。

    今回の一連の問題によって、総理主導によって生じた問題への懸念が生まれているとし ても、総理主導自体が悪いとして見直すのではなく、総理主導の長所を生かしながら、問題点を修正することで、バージョンアップを進めていくことが必要である。

    そのためには、平成の残された改革である国会改革が不可欠である。総理主導が確立された時代であるからこそ、国会は、厳しく行政を監視し、内閣の説明責任を確保するとと もに、生産性向上を図り、限られた時間の中でしっかりと結論を出す場になる必要がある。 「よりオープンに、より政策本位で」という観点から国会の役割を強化することで、国民 の政治への信頼を取り戻すべきだ。

    国会の行政監視機能を強化し、内閣の説明責任を徹底する。フェアネスの精神に基づき、 政策本位の国会審議が行われる環境を整備する。こうした改革こそ、ポスト平成時代の国会が目指す方向性だ。

    よりオープンに

    総理に重要な行政決定が集中する以上、意思決定プロセスをよりオープンにして、丁寧 に説明責任を果たす必要がある。「太陽の光こそ、最善の消毒薬」という言葉のとおり、民主主義にとって、透明化の徹底こそ、権力の行き過ぎを牽制する最良の仕組みである。

    第一に、行政の公正性に疑義が生じる場合、国会に特別調査会を設置し、国政調査権を発動することを認めるべきだ(注2)。国民の期待に応える行政監視の重要性を共有する点において、与党も野党もない。

    (注2:ドイツの例では、ドイツ基本法第44条において「連邦議会は、公開の議事において必要な証拠を取 り調べる調査委員会を設置する権利を有し、議員の4分の1の申立てがあるときは、これを設置する義務を負う。公開は、これをしないことができる。」と規定している)

    「同調査会は、確立されたルールの下、参考人や証人の招致、資料提出等を通じて、エビデンスベースで冷静かつ客観的な調査を行い、徹底的に事実究明を行う。その上で、調査報告書をとりまとめ、これを公表することで、一定の結論を出す。また、国政調査権の発動を支援するため、調査局の調査スタッフも大幅に増強する。なお、当然ながら、国政調査権の発動は節度を持って行われることが必要であり、濫用を防止するルールは別途検討 する必要がある。

    第二に、内閣の説明責任を強化するため、2週間に1回、党首討論や大臣討論を開催す べきである。党首討論を夜に開催し、より多くの国民が視聴できるようにするなど、充実 した討議が行われる環境を整備すべきである。

    こうした改革に加え、ペーパーレス化(注3)など国会の IT 化や、押しボタン式投票の導入な ど意思決定プロセスの透明性向上を推進すべきである。

    (注3 :ペーパーレス化に先立ち、PCやタブレット端末など電子機器の利用を幅広く容認すべきである)

    なお、憲法改正など、国の根本に関わる事項については、むしろ国会が主導的に議論を 進めることが必要である。野党が総理や大臣に質問する形式だけでなく、与党と野党が政策提案を示し、国民の前で政策を討議する仕組みを導入・活性化すべきである。

    より政策本位で

    意思決定プロセスをオープン化し、内閣の説明責任を強化することを前提に、国会審議 も、より迅速化・合理化していく必要がある。

    第一に、特別調査会の設置を容易にすることを前提に、予算や法案の審議を行う委員会 では、個別の「スキャンダル」案件の追及ではなく、法案審議を優先的に行うなど政策本位の審議を行うべきである。

    第二に、党首や大臣計論により内閣の調明責任を強化する代わりに、総理や大臣の国会出席を合理化すべきである。

    現代では、総理や大臣が、答弁要求がない場合でさえも国会に張り付きになり(注4)、重要な外交や内政に注力できないばかりか、行政に対するトップマネジメントにも支障をきたしかねない。 説明責任の強化と同時に、総理や大臣が本来の業務に集中できる環境を整備すべきである。なお、副大臣や政務官についても、国会出席の合理化を進めるべきである。

    (注4:首相・閣僚の議会出席日数等について、諸外国と比較した資料を末尾に添付した。参考資料1)

    第三に、国会審議をより政策本位にするため、国会審議を計画的に進める仕組みを導入すべきである。

    現在の国会は、審議日程が事前に明確化されておらず、翌日に本会議・委員会を開くかどうかも含め、与野党の調整に委ねられている。その結果、自民党の野党時代もそうだっ たように、野党は、審議拒否を武器に、与党から譲歩を引き出すことを目指すため、国会審議は日程闘争が中心になる。

    充実した政策本位の国会審議に転換するためには、質疑前に十分な準備期間を確保し、 計画的に政策討議を進めることが必要である。このため、議長・委員長は、2週間先まで審議日程を決める、与野党の合意が得られない場合、議長・委員長が職権で審議日程を決定する、また、内閣が要請した時は、委員長は委員会を開会すべきである。

    こうした改革に加え、質問通告ルールの遵守、質問項目の公開、法案質疑における担当議員の早期決定、衆参の合同審査で役割分担による法案審議の効率化、議員立法の審査時 間の確保、若手議員の討論(注5)、質問主意書の運用ルールの見直し、定足数のあり方なども検討する必要がある。

    (注5:英国では、与野党を超えた若手議員の議論の場として、バックベンチ議事委員会(Backbench Buness Cent Cre)という仕組みがある)

    今後の進め方

    国会改革は、これまで何度も議論され、直近では 2014 年に与野党合意が行われたが、 覚首討論の月1回開催、総理出席の削減、副大臣答弁の活用、質問通告ルールの遵守など、 参野党間で合意した事項は十分に実行されていない。

    今後は、実効性を担保するため、与野党間で議論を尽くした上で、必要あらば、上記の 改革について、国会法や関連規則において立法化を目指すべきである。

    ついては、自民党内において、国会改革を検討する機関の設置を求める。また、時期を 見て、与党はもちろん野党も含めて、立法化に向けた検討を行う場を設置すべきである。

    なお、今回は、喫緊に実行が必要な国会改革を中心に提言したが、これだけで必要な政 治改革が完成するわけではない。国会改革は、必然的に、統治機構全体の改革につながる 深遠な議論である。明治以来の 150 年にわたる我が国の近代を総括した上で、新たな世界 秩序を巡る国際的なパワーゲームの中でも一定の存在感を発揮するような、21世紀の日本 のグランドデザインを検討していく必要がある。

    特に、総理主導を前提に、行政監視と内閣の説明責任を強化する国会改革を進めることは、国会において、与野党が活発な討論を行い、政治的な争点や対立の構図を国民の前に 浮き彫りにすることが求められることを意味する。

    今後、こうした「討論のアリーナ」としての国会を目指して改革を進める場合には、さらにいくつかの課題が見えてくる。例えば、同じく二大政党が政策を競い合う議院内閣制である英国においては、政策決定を内閣に一元化しており、与党の事前審査制度は存在しない。また、行政府の官僚は政治的中立性が徹底されており、与野党を問わず、内閣に入っていない国会議員と官僚の接触は禁止されている。

    一方、我が国では、与党が内閣の法案や予算案を事前に審査する制度を確立しており、 日常的に官僚と国会議員が接触している。政策決定は一元化されておらず、官民接触も自 由になっており、英国型とは大きく異なる。

    今後、ポスト平成時代に、与党の役割は何か、政権公約のあるべき形は何か、事前審査 制度の役割は何か、官僚人事のあり方も含めて政と官の仕切り線をどこにひくのか、国民 的な議論が必要である。その他にも、総理の解散権の行使のあり方や、会期不継続原則や 国会の召集・延長等の国会会期のあり方、行政機構のあり方についても、必要性が高いと 判断されれば、統治機構全体の仕組みと整合的に見直しを行う必要がある。

    また、我が国は2000 年代後半から、与野党ともに、衆議院と参議院の「ねじれ」により 「決められない国会」に陥った苦い経験を共有している。現在の仕組みでは、「ねじれ」は いつでも起こり得るため、再び「決められない国会」に陥る可能性がある。このため、ポ スト平成時代の統治機構において両院の役割は何か、議論し結論を出す国会を実現するた めにはどうするか、与野党で真剣に検討する必要がある。

    なお、言うまでもなく、我々が今回提案している制度改革案も、運用によっては、所期の目的が達成されないことも十分にあり得る。そもそも「制度」を動かすのは「人」であ り、「制度」が適切に機能するか否かは、その「運用」に依っている。その意味で、制度の 運用にあたっては、改革の趣旨をしっかりと共有し意識付けすることが重要である。また、政治改革に完璧な制度はあり得ないことから、今後も、改革の成果を謙虚に評価し、不断の見直しを進めていく必要がある。

    また、「木を見て森を見ず」にならないようにする必要がある。統治機構改革の究極的な目標は「分断を生まない政治」の確立である。世界では、強いリーダーの強権的な政治が 社会の分断を深め、政治の混乱を生んでいる場合もある。総理主導を進めるからこそ、透 明性を高めつつ、丁寧に政治を進めることで、賛否が激しく対立するテーマについて、社 会の分断を生まないようにする必要がある。

    統治機構のあり方を巡っては、民間においても、平成時代の政治改革を総括し、ポスト 平成時代の方向性を展望する取組が始まっている。当会議としても、こうした取組と協力 し、「ポスト平成の統治機構のあり方」について、更なる検討を進め、その実現に向けて努 力していく。