パニック障害に苦しんでいた時、タクシー運転手の「ある言葉」に励まされた経験を描いたマンガがあります。
マンガを投稿したのは、「海外暮らしの大阪人・なにわ」さん(@amore_naniwa)。国際結婚や海外での日々を描いたエッセイマンガを投稿したり、ブログを書いたりしています。
今回のマンガのタイトルは「パニック障害の私がバンクーバーのタクシードライバーの言葉に救われた話」です。
パニック障害を持っていたなにわさんは発作が重かった頃、毎日タクシーに乗っていました。
バスに乗ることも、1人で歩くことも怖くてできなかった中、タクシーは不思議と平気だったためです。
ある日の朝、いつも通りタクシーに乗り込むと、運転手からこう話しかけられました。
「さては遅刻で寝坊だね?」
なにわさんは正直にパニック発作が理由でバスに乗れないことを伝えました。
ですが、運転手の方に気を使わせてしまうのではないかと不安になり、なにわさんは言葉を続けました。
自身の経験を努めて明るく話し、「バカげてるって分かってるんだけど...」と言ったときでした。
タクシー運転手の方が「何もバカげてないよ」と声を掛けてくれたのです。
「君は今、必死に戦っている それはとてもスゴいことだよ」
「恥ずかしいことでもない、君が弱いせいでも決してない」
「長い人生の中でまだまだ多くの経験に、君はこれから出会うだろう」
「悲しいこと、辛いこと それらはずっとは続かないよ だって必ず幸せなこと、嬉しいこともあるからね」
「何にも心配しなくていい 『大丈夫』と思える時が必ず来る だからその時が来たら」
“Smile and be happy!”
なにわさんは、パニック障害から回復した今でも、この言葉が今でもずっと心に残っていると話します。
BuzzFeedはこの時のことについてなにわさんにお話を聞きました。
なにわさんにとって「マンガを描く」ことは、いつでも見返すことができるよう、思い出を大切に残す作業。
数年前のこの出来事についても、ずっと心の中に残っている言葉をマンガにしたいと思い続けてきました。
運転手にパニック障害の話をしたとき、なにわさんは「大変だね」や「変なこと聞いてごめんね」といった気まずそうな反応が返ってくると考え、罪悪感を感じていました。
そのため、予想とは全く違った言葉に驚き、バックミラー越しに目を見ながら真剣に伝えてくれる姿に、胸が熱くなったと話します。
パニック障害とは
厚生労働省によると、パニック障害とは、「突然理由もなく、動悸やめまい、発汗、窒息感、吐き気、手足の震えといった発作(パニック発作)を起こし、そのために生活に支障が出ている状態」のことをいいます。
なにわさんも、不安感やめまい、過呼吸などを含む様々な症状に苦しんでいましたが、「もうダメだ」と感じた瞬間をきっかけに、半年ほど休養をとって治療に専念することに。
家族や友人のサポートを受けながら、医師にも診てもらうようになりました。
現在はほとんど症状を感じずに生活できていますが、今でもエレベーターや公共交通機関は、できるだけ避けるようにしているそうです。
「そして今『大丈夫』な日々を笑って過ごす私がいる」
当時のことを思い出すとつらくなってしまい、マンガが描けない時期が続いた中、やっと形に残すことができた、なにわさん。
「私が救われた言葉が他の誰かにも届けばいいな」との思いで、作品をTwitterに投稿しました。
「今まさに辛い最中にいらっしゃる方、出口が見えないトンネルにいるように感じる方、私も同じだったのでお辛い気持ちとてもよく分かります…」
「時間はかかるかもしれませんが、パニック障害は治療できます。コントロールして、うまく付き合っていくこともできます」
「だから、絶望を感じる時もあるかもしれませんが、必ず”大丈夫”だと思える日は来ます」
「同じように戦っている人もたくさんいるから、あなたは1人じゃないことも忘れないで。きっと大丈夫」
そして、温かい言葉をかけてくれたタクシー運転手の方にもう一度会えたら、なんと伝えたいか。
なにわさんは「『本当に本当にあの時はどうもありがとう。あなたが言った通りだったよ、今の私は笑顔でとてもハッピーだよ!』と伝えたいです」と語りました。