この門松、竹じゃないぞ…?
廃材で作られた門松が話題です。
法政大学デザイン工学部の准教授である山田泰之さん(@yayamadayay)がTwitterに自作した門松の写真を投稿したところ、2万回以上リツイートされ、14万を超える「いいね」が集まりました。
リプライ欄では、「まさしく現代の門松」「モダンな門松」「サイバーパンクぽくてお洒落」と大きな反響が寄せられています。
話題の門松がこちら

竹や松、土台などまで全て廃材を使用して制作されているこの門松。
よく見ると、ケーブルや緩衝材のプチプチなどが使われていることがわかります。
BuzzFeedは投稿者の山田さんにお話を聞きました。
山田さんが、今回の作品を制作しようと思いついたのは、教え子の学生さんたちと年末の大掃除をしていたときでした。
山田さんが着任してまもなく、コロナ禍での遠隔授業が始まり、学生たちが大学にこない日々が続いていました。
時が過ぎ、学生たちも頻繁に大学に姿を見せるように。研究室に季節感を持たせたい、と思いつき、今回の作品が生まれたのでした。
制作にあたっては、普段から学生に指導していることを自分でも意識したといいます。
「日頃からデザイン工学部では、従来の発想に捉われずにチャレンジすること、アイデアだけで終わらず、実際に手を動かして実現するところまで行うように指導しています」
使った廃材は…。
いざ制作しようと考えるも、研究費では門松を買うわけにはいきません。そのため、大掃除で出た廃材を再利用することに。
門松の竹の部分は、排水や輸送配管に使用される建築資材、塩ビ管を斜めに切って再現しています。
また、土台は3Dプリンタの材料ロールのゴミの根元に緩衝材を巻きつけています。
最後に門松の松の部分として、隙間にいらないケーブル類を差し込んで完成です!
これの廃材でした! https://t.co/mgPrgJP4T2
ちなみに今回の廃材は、「配管塩ビパイプドラムの自動演奏機構」を作る際に出たもので、演奏の様子をアップしています。
研究対象や成果はさまざま
デザインとエンジニアリングの両方の側面から問題解決を行う「デザインエンジニア」として研究開発に取り組んでいる山田さん。
疲れにくいハイヒールの開発から宇宙ロケットの技術まで、さまざまな研究に取り組む理由を教えてくれました。
「現在はAIや作業の自動化など、機械化や情報化が人間社会を劇的に変化させています」
「しかし、人間が物理的な身体をもって活動する限りは、人が直接触れるモノとコトのデザインの重要性は不変だと考えています」
「そのため、特にメカニズム、いわゆるカラクリを利用し、様々な課題解決に取り組んでいます」
そんな山田さん、現在は作業をより安全に、かつ楽に行えるようにする「装着型アシストデバイス」の開発を手がけています。
『AKIRA』の世界観のよう
山田さんが廃材で制作した門松は、廃材を利用していることもあり、灰色を基調としたどこかシックな雰囲気があります。
投稿には、「サイバーパンクっぽい」の声や大人気SF漫画『AKIRA』の世界観に似ているとの反響が寄せられ、印象的だったといいます。
「私自身、『AKIRA』や『ブレードランナー』などのSFが好きで、そういう作品に影響されているので、そういう雰囲気がしたと感じていただけたならとても光栄です」
「この反響で、(『AKIRA』の作者、)大友克洋先生のお目に触れていればうれしいですね」
なお、山田さんは、これから年末の大掃除を迎える全国の研究室に向けて、こんなメッセージを発信しています。
全国の研究室も年末大掃除をむかえるはず。廃材門松がSDGs的にとらえて頂けるなら、他の研究室の作品も是非拝見したいです!!
「廃材門松がSDGs的にとらえていただけるなら、他の研究室の作品も是非拝見したいです!」