「SNSで宣伝するからタダにしろ」理不尽な要求に屈しなかったベーカリー店主に共感の声

    無料にしろって言われても。

    イギリスはリヴァプールで、小さなベーカリーを営むローラ。「ソーシャルメディアに投稿するから、無料でケーキを焼いてくれ」という申し出を断ったことで、今、彼女に注目が集まっている。

    ローラにケーキを依頼したのは、イギリスのリアリティデート番組『Love Island』に出演していたマリン・アンダーソン。彼氏のための誕生日ケーキをリクエストしたマリンだが、代金のかわりに自身のソーシャルメディアでお店を宣伝するのではどうか、とローラに提案したのだ。

    「冗談じゃなくて、こういうことよくあります。グーグル検索で、リヴァプール、ケーキで上の方にでてくるマイナス点」と、ローラはツイートした。

    I wasn't kidding when I said this happens a lot. 😳 The downside to being near the top of google search for 'cake ma… https://t.co/ag6AOFgAd5

    個人経営の店にとって、無料で作れというは大変なこと。ローラは、ツイートとともに、誕生日ケーキを依頼してきたマリンのタレント事務所とのやりとりのスクリーンショットも投稿した。以下が事務所担当者(マ)とローラ(ロ)のやりとり。

    マ「いきなりのDM失礼します。うちのクライアントで、Love Islandのマリン・アンダーソンが、今週末の彼氏の誕生日ケーキを依頼できないかと考えています。チョコレートケーキで、26と上に飾ってもらって、大きければ大きい方がいいですね。お礼に、彼女のソーシャルメディアに数枚の写真をポストして、お店をタグづけします。InstagramとTwitterあわせて、63万人ほどのフォロワーあり。とってもいいプロモになるかと。どうでしょう?」

    ロ「どうも。ケーキは可能ですが、通常オーダーと同じく料金発生します。すでにお仕事しているほかの有名人のみなさまも同じです。ソーシャルメディアのタグは、ケーキを気に入ってくれた時のボーナスのようなものだと思います。よければ、価格表お送りいたします」

    マ「返信ありがとうございます。じゃぁ、いいです。ソーシャルプロモと引き換えに無料でやってくれるっていう人、たくさんいるんですけどね。普通、こういうプロモって1ポスト500ポンドくらいなんですよね。もう他の人みつけたんで、大丈夫です。ども、いい週末をー」

    ロ「宣伝されても、生活できないので。正直、あなたのとこのような会社が、個人経営の小さなビジネスに無料であれこれやれっていうの恥を知れと思ってます。プロモーションがっていいますけど、私たちにとって、それ大した影響ないんですよ。本当に。では、いい週末を!」


    今回、やりとりをポストしたのは、たびたび持ち込まれる「〇〇だから無料でやってよ」という依頼に、いい加減業を煮やしたからだという。ローラ曰く、大小差はあれど、週に1度はこういった依頼がくるのだとか。

    ツイッターでは、彼女のポストが広く拡散され、同じ経験があるという声があがっている。

    「一生懸命働いているんです。日に17時間、自分のために働いているんです」そう語るローラは、3人の子どもを持つシングルマザー。いくら、SNSで注目を浴びても、実際にお金が入らなければ生活が成り立たないのだ。

    「価値、時間、対価、それを考えてください。Love Islandの彼女が宣伝したら、私のフォロワーも50人くらい増えるかもしれません。でも、その中に、私のお店のお客さんとなってくれる人が何人いると思いますか? 1人いればラッキーな方ですよ」

    ローラがベーカリーショップ Laura's Little Bakeryをオープンしたのは、6年前のこと。1番上の娘がケーキと焼いてを言ったのがキッカケだった。

    ローラはそれまで、特に修行や学校に通ったわけではない。でもケーキ作りの才能があったようだ。営業として、ケーキサンプルをあちこちに持ち込むうちに、店にやってくる人も増え、有名人の目にもとまり人気がでた。クライアントには、エルヴィス・コステロや、リヴァプールFCの選手が多くいるという。

    「きちんとした商品を作ることでお客さんがつきます。それは当たり前のことで、代金を払いたくない人のおかげじゃなりません。やることやって、ベストを尽くして、そしてそれに見合った代金を支払ってもらう。それだけのことです」

    この記事は英語から翻訳・編集しました。