「期待外れ」「騙された気分」AI搭載版『ポートピア連続殺人事件』に厳しい声。Steamレビューは「非常に不評」と異例の事態

    ポートピア+AIと聞いて期待していた人も多かったようですが……。

    スクウェア・エニックスは4月24日、往年の名作ゲーム『ポートピア連続殺人事件』にAI技術を組み込んだ無料の技術テックデモ『SQUARE ENIX AI Tech Preview: THE PORTOPIA SERIAL MURDER CASE』をSteamでリリースしました。

    しかし、Steam上では配信初日から低評価レビューが多く集まり、4月24日23時時点で総レビュー数は218件、総合評価は「非常に不評」という異例の事態となっています。

    SQUARE ENIX AI Tech Preview: THE PORTOPIA SERIAL MURDER CASE

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    「AIでヤスと会話ができる」と期待を集めたものの……

    原作にあたる『ポートピア連続殺人事件』は、後に『ドラゴンクエスト』を世に送り出すことになる、ゲームクリエイター・堀井雄二氏の代表作の一つ。

    神戸市で起こった殺人事件をめぐり、刑事である主人公が相棒の「ヤス」とともに捜査に乗り出すというストーリーで、その意外な結末はレトロゲームファンの間で語り草となっています。

    ファミコン版『ポートピア連続殺人事件』

    今回リリースされた『THE PORTOPIA SERIAL MURDER CASE』は、この『ポートピア連続殺人事件』をもとにした、AI技術のテックプレビュー(技術デモ)。

    公式サイトでは「相棒があなたの言葉を理解し、意図を汲んだ返答を返してくれます。相棒との会話を繰り返すことで物語を前に進めることが出来ます」とアピールされており、リリース前から「ChatGPTのようにヤスと会話しながらゲームが遊べるのでは」と大きな期待を集めていました。

    現時点ではAI会話機能は非搭載

    ところが、公式サイトをさらに読み進めていくと、

    本テックプレビューでは、自然言語生成(Natural Language Generation)による雑談会話機能を有していましたが、AIの非倫理的な発言の可能性を考慮し、NLG機能は削除された状態でリリースされています。

    との表記があり、残念ながら現時点ではChatGPTのような「自然言語」によるやりとりは不可能(※初報段階から一応、「リリース時点では自然言語生成は未搭載」との説明はあった)。

    編集部でも実際に遊んでみましたが、ヤスが反応してくれるのはあくまで「特定の言葉」だけで、自由に会話をしようとしても「え?」「うーん」と首をひねるばかりでなかなかゲームは進みません。確かに、オリジナルのヤスに比べれば多少は賢くなっているのですが……。

    『THE PORTOPIA SERIAL MURDER CASE』ゲーム画面

    こうした背景もあり、リリース直後に遊んだ人、特にChatGPTのような自然なやりとりを期待していた人たちからは多くの不満の声があがることに。

    Steamのレビューでも「一方通行の会話やテンプレート通りの入力方法では自然言語処理の意味がない」「正解の文章を入れない限り『えっ?』『うーん』しか言わないコレのどこがAIなのか教えてほしい」「現状ではこっちが気を使って、反応する言葉をいちいち特定していかなくてはならない代物になっている」「楽しみにしてたのに、すごく騙された気分でした」など厳しい評価が並ぶ結果となりました。

    公式サイトでは「今後の研究により、プレイヤーのみなさまが安心して楽しめる環境が整った際の提供を予定しております」とも告知されており、今後のアップデートに期待したいところ。

    しかし現時点では、残念ながらプレイヤーの期待に応えられる内容ではなかったようです。