エモすぎる!美しい和菓子が話題です。
山形の和洋菓子専門店「杵屋本店」(@YamagataKineya)がTwitterに写真を投稿したところ、1.9万回以上リツイートされ、10万を超える「いいね」が集まりました。
「和菓子はやはり芸術品ですね」「涼しさを感じさせてくれる、綺麗な青」と大きな反響が寄せられています。
注目の投稿がこちらです!
「うちのベテラン職人(56)が作った羊羹がめちゃめちゃエモいので一度見てほしい。。」
写真は、「星合いの空」という創作羊羹。透き通る青色が夏らしく、とても美しいお菓子です!
BuzzFeedはお店の方にお話を聞きました。
「星合いの空」はどのような経緯で生まれた羊羹なのでしょうか?
7月から新たに、四季折々の創作羊羹を作っていこうという企画を立てていました。
夏の七夕をイメージした商品をベテラン職人が考えて「こんなんどうや?」と出してきたのがこの「星合いの空」でした。
杵屋本店の11代目である投稿者さんも、「本当に美しくて私も声を上げるほどでした…」と感動。
これは何とかPRせねばと思い、Twitterに写真を投稿したのだそうです。
何度も試作し、完成
「星合いの空」に込められた思いについても聞きました。
「星合いの空」とは織姫と彦星の二星が出会う七夕の夜空のことを指します。特に青と紫のグラデーションの風合いにこだわり、ベテラン職人は何度も試作していました。
空に浮かぶ星屑を銀箔で表現し、土台を白い牛乳羹に。全体の色味を引き立たせるよう工夫したそうです。
グラデーションはソーダ味の紫と青の錦玉羹を混ぜて作られているのだとか。
ところでこの羊羹、一般的なものとはかなり見た目が異なりますが、作り方や材料にはどのような違いがあるのでしょうか?
作り方としては、「錦玉羹(きんぎょくかん)」という寒天の和菓子を作る工程の基本は忠実に守っています。
通常と異なる点は、土台となっている「牛乳羹」を作ること。紫の部分のソーダ味も、伝統的なお茶のお菓子では使いません。
そういった意味でも常識から外れた「創作羊羹」と言えるかもしれません。
シンプルでどこか懐かしい味に仕上がっています。
「エモい和菓子」きっかけはTwitter
杵屋本店は、1811年創業の老舗です。
このような創作お菓子を作るようになったきっかけは、SNSだといいます。
約2年前に「kaju*」という果汁を使った琥珀糖を発売しました。店頭では泣かず飛ばずで売れ行きが悪かったのですが、Twitterに投稿したところ大変な反響を呼び、売れなかった商品が一気に大ヒットとなりました。
昨年10月には、琥珀糖と羊羹を組み合わせた「羊羹kaju*」を発売。
210本限定で用意していたところ発売前に予約で完売してしまい、お客さんの大きな反応にとても驚いたそうです。
そんな経験がベテラン職人の自信につながったのか、まるで水を得た魚のように、寒天を使った涼しげな和菓子の試作をたくさん作るようになりました。
それはどれも美しくて何とか世の中に出したいと思い、四季折々に創作羊羹を作り発売していこうという企画に至りました。その最初の商品が「星合いの空」でした。
今後も老舗である私たちが伝統的な「羊羹」という型を外し、自由な発想で作るとどんなものができるのか、魅力が薄れつつあると言われる和菓子の魅力を皆様にどうお伝えすることができるのかというチャレンジもできればと思います。
投稿への大きな反響については、このようにコメントしました。
正直ここまで大きな反響を頂くなんて想像もしていませんでした。話題にしていただいただけではなく、全国各地から数百件のご注文を頂いています。本当に嬉しく思います。
山形県内で地域密着菓子店としてやっている我々にとって全国のお客様に名前を知っていただくだけでも大変なことです。心から感謝いたします。
また、今回のような創作羊羹は「先人の礎がなければ作れなかっただろう」と投稿者さんは言います。
私共は1811年創業で、明治初期の看板商品は小豆と寒天を煮詰め作る「本練羊羹」でした。200年以上経った今でも販売し続けています。
伝統的な羊羹を作る技術があり、歴史の中で洋菓子を取り入れたり、様々なチャレンジをしてきたりしたからこそ、今回のような創作羊羹ができたと考えています。
和菓子が持つ真の魅力の1つはその「懐の深さ」だと思います。
洋の素材であろうが、和の素材であろうが、果物であろうが、なんでも包み込み調和してしまう。そんな柔軟性があるのは和菓子だけではないかと思っています。
創作和菓子をきっかけに、和菓子の「今まで気付かなかった一面」を知ることができると同時に、伝統的な和菓子の魅力も再認識できる…。
和菓子の持つ真の魅力は「懐の深さ」というのは、とても素敵な考え方ですよね。