子どもが経験した20年前の大事件。死んでいたかもしれない子が導きだした「大事なこと」とは

    貴重な体験談を読んで、それぞれが事件について考えてくれたら嬉しいです。

    9.11の経験を描いた漫画が話題です。

    漫画家兼イラストレーターのノガミ陽さん(@9X9_NogamiAkira)がTwitterに作品を投稿したところ、8000回以上リツイートされ、1.7万を超える「いいね」が集まりました。

    「大事な話をありがとうございます」などの反響が寄せられています。

    「911の日にホワイトハウスの目の前にいた日本人のはなし」

    この漫画は、アメリカ同時多発テロ事件が起こった2001年9月11日に、ノガミ陽さんが体験した出来事です。

    当時学生だったノガミ陽さんは、修学旅行でアメリカの首都ワシントンD.C.を訪れていました。

    事件が起きた9月11日、ホワイトハウスの見学をする予定でしたが、どうも様子がおかしい。関係者に言われるがままその場から離れました。

    当時はスマホもなく、自力で調べることが難しかった時代。何が起こっていたのかを知ったのは、ホテルに戻ってテレビを見た時でした。

    修学旅行は中断。バスで学校に戻ることになりましたが、街は混乱して渋滞が発生し、学校に着いたのは夜中だったと言います。

    その後、テロの被害が明らかになっていき、報道が加熱する中で、様々な感情や喪失感が膨れ上がっていきました。

    それは、子供だけでなく大人も同じでした。

    「みんな不安なんだ」

    そんな中、ノガミ陽さんはこれからどう過ごすか、自分なりの答えを探したといいます。

    そして見つけた答えが「毎日を笑って生きること!!」。

    その後、アメリカは戦争を始めましたが、暮らしはほとんど変わらなかったそうです。

    数年後ノガミ陽さんは日本に帰国することになりましたが、帰国前にテロの跡地を訪れた時も、20年経った今も9.11についてどう向き合えばいいか分からないといいます。

    その「わからない心」を大事にしつつ、答えを考え、毎日を笑って生きているそうです。

    BuzzFeedは投稿者のノガミ陽さんに話を聞きました。

    20年経った今でも、アメリカのニュース番組でテロの映像を見た時のことが忘れられないというノガミ陽さん。

    9.11をどう受け止めたらいいのかは未だに分からず、言葉にするのは難しいそうですが、「ふと、今ならあの日々と複雑な感情を形にできる」と思い、この漫画を描いたとのこと。

    「日本のマンガやアニメが支えてくれた」

    漫画の中では、不安でいっぱいの日常の中で、子供ながらに「毎日を笑って生きること」という答えを見つけ出したのが印象的でした。

    大人でさえどう生きたらいいか分からなくなってしまいそうな状況で、この答えに辿り着いたのはなぜでしょうか?

    「マンガの影響です。少年マンガは非日常や危機的状況が描かれてることが多いため、キャラクターの心情とテロ後の自分の心情を非常に近く感じました。明確に『この作品の影響です』といえるものはありませんが、日本のマンガ・アニメがあの時の自分を支えてくれました」

    「それぞれが9.11について考えてくれたら」

    この漫画を通して伝えたいことを聞いてみました。

    「伝えたいメッセージがあったわけではなく、あの日々を『日常』として淡々と描き、残すことが執筆の目的でした。あの作品を材料として、読んだ方それぞれがあの事件について考えていただけたらありがたいです」