癒されたい人は見て! 日本には、野生のシャチに出会える海がある
5月の目撃率は40%。藻で遊んだり波乗りしたりする姿も見られるみたい......!
水族館ではなく、大海原で、野生のシャチの群れに出会いました。

2005年に世界自然遺産に登録された、北海道・知床。家族旅行で訪れた5月5日のことです。
羅臼港から出港した「ゴジラ岩観光」の観光船に乗り、のんびりとクジラやイルカを探していると、船長から突然テンションの上がるアナウンスが。
「漁師からシャチがいるとの情報が入りましたので急きょ向かいます」
スピードを上げて走ること約40分。「いた!」。海面に黒い背びれが次々と現れました。
近づくと、背びれだけでなく体も見えてきました。

海の王者、シャチの登場です。しかも、10頭ほどいます。
シャチの白い模様がはっきりわかります。

なんだか遊んでいるみたい。
シャチは逃げるどころか、船にぴたりと寄ってきたり、

追いかけてきたりします。

船の下に潜ってきました。近いー!!

のぞき込んでいたら、顔にプシューッと潮をかけられました。
ふわっと虹が浮かんで、もう一生、忘れられない思い出...😆😆😆
雪が残る知床連山を背景に優雅に泳ぐシャチ、幻想的でうっとりします。
5月のシャチ目撃率は40%

「ゴジラ岩観光」のサイトにはクジラ、イルカ、シャチの目撃率データが掲載されています。2018年5月のシャチの目撃率は39.5%、6月は57.1%となっていました(上の表は2017年のデータ)。
どうすればシャチに会えるの?
後日、ゴジラ岩観光に取材すると、ガイドスタッフの長嶋里奈さんが詳しく教えてくれました。
このシャチたちは例年、羅臼沖に回遊してきているグループで、ここ数年よく見られるようになったそうです。
会える確率が高いのは5月から6月で、今シーズンの遭遇率も上がってきているとのこと。
「ただ、野生動物ですので、ここに行けば、この時間帯なら、ということはありません。波や風、霧がなければ探しやすいというところでしょうか」
「発見できた場合でも、グループの性格や気分などによっては、近くで観察できないこともあります」
水族館ではないのだから、それはそうですよね......。

「ゆったりと遊びモードのときは、船の周りに顔を出したり、漂流している藻で遊んだり、波がある日は波乗りをして楽しんでいるような姿が見られたりと、さまざまです」
か、かわいい......!(顔は怖いけど)
これからもシャチに会うために
しかし、観光で注目が集まることが、シャチにとって良いとは限りません。
「観光船で気をつけていることは、野生動物にストレスを与えないように観察することです。減速や停止などで生き物に近づきすぎない、自然な行動を妨げないように、知床羅臼観光船協議会では自主ルールを設けています」
シャチが海面に現れると乗船客からは歓声が上がり、一斉にカメラや携帯が向けられますが、シャチを驚かせたり、海に物を落としたりしないように注意が必要ですね。

毎日のように船の上から双眼鏡で海を観察し、動物を探している長嶋さんは、こうも話していました。
「海洋汚染や海のゴミなども問題になっています。どの海もつながっていますので、遠く離れた場所でも一人ひとりが海をきれいに保つという気持ちを忘れないでいただきたいです」
知床の美しい海にいつまでも、シャチがやってきてくれますように。