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「自分にはもっとふさわしい場所がある」と考えていた、新入社員の私に言いたいこと

SNSを見ながら「何かを成し遂げなきゃ」と焦ったりしていませんか? 働きながら答えを探し続ける4人が伝えたいこと。

BuzzFeedが主催するオンラインイベント「未来をつくる仕事のこと #就活で聞けないリアル」。今日は、働きかたの異なる4人のゲストと「働くことのやりがいとリアル」について話していきます。

(お断り:3月29日に番組としてライブ配信する予定でしたが、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、テレビ会議で収録した内容を記事化しました)

3つの「もやもやポイント」に沿って話していきます!

まずは、就職について。

BuzzFeed Japanでアンケートを実施したところ、就職活動に関するお悩みが、たくさん寄せられました。

大半が就活に「悩み」や「迷い」

どんなことで悩んでいるのかを聞いたところ、ダントツで多かったのはこちら。

自分に合う仕事がわからない

就活ファッションがストレス」「自分がやりたいことと、社会的ニーズがある仕事のどちらを選べばいいのかわからない」「やりたい仕事を親に反対されている」「落とした理由を教えてくれないので、全人格を否定された気がしてつらい」といったお悩みも多くありました。

詳しくはこちらの記事で紹介しています。

ーーゲストの4人には、就職活動を経験した人も、していない人もいます。どんなふうに働き始めたのか、それぞれにうかがっていきます。

りゅうちぇる 高校生のときにTwitterが流行りだしてて、僕は原宿ファッションが好きだったので、自分のコーディネートや自撮りをよくのせていたんですね。

そうしたら、のちに働くことになる原宿の古着屋さんからDMをもらい、「ショップ店員として働きながら読者モデルとして活動してくれないか」とスカウトされました。それで「あ、上京しよ」と思って上京したので、面接もしていないです。

まずショップで働き始めて、読者モデルとして雑誌に出たり、プリクライベントやチェキイベントなどもアパレルの仕事のかたわらでやっていたら、事務所にスカウトされました。

ぺこりんと付き合っていたので、ド派手なカップルがいるぞとテレビの関係者に見つけてもらって、最初は思い出づくりだと思ってテレビに出ていました。ずっと続くものだはと思っていなかったので、本当に「デート」みたいな感じで収録に行きました。

迷いや悩みですか? 今でもそうなんですけど、直感で生きてきたので、別に深く考えたりということはなかったですね。この道に進むことに少しでも迷いがあれば進まなかったです。直感で生きているので、きれいな、かっこいいことは言えないんですけど、ふふ。

工藤瑞穂 私は幼少期の最初の記憶が、野口英世の伝記を読んで感動したことと、テレビでキョンキョン(小泉今日子)が歌って踊っているのを見て感動したことなんです。

小さい頃からバレエやピアノを習っていて、中学高校はストリートダンスにはまっていました。大学時代もクラブでダンスショーに出たり、仲間たちと一緒にダンスイベントをしたりするのが好きで、音楽やダンスで自分を表現することや、人前に出ることが好きでした。

それが大学の後半になって、自分がいざ就職をするというときに、ダンスや音楽よりも、憧れていた野口さんのような生き方をするにはどうしたらいいかと考えるようになったんです。

野口さんの、病気で苦しむ人のために人生を投げうって治療法を探していく生き方に感銘を受けていたものの、弱い立場にある人の力になるにはどうすればいいのかがわからなくて、とりあえず公務員なのかな、と就活はしないで公務員試験の勉強をしていました。

そんなとき、たまたま大学の就職課で赤十字の募集要項を見かけたんです。赤十字は世界中のどの国にもあるんですけど、「人間を救うのは、人間だ。」という思想を持っています。もともと創設者でスイス人実業家のアンリ・デュナンが戦時下で抱いた、「敵国の兵士であっても、人間が傷ついたときには救護しなければならない」という思いから生まれた理念です。

どんな立場の人であっても苦しんでいる人を助けられるのは赤十字だ!と思って、他の企業は1社も受けず、赤十字に就職しました。仕事内容はほとんど知らなかったんですけど、「自分は何が得意か」「誰と働くか」というより、どういう理想に向かって働くかというのが、自分にとっては大事だと思っていました。

note

ところが......。赤十字で国際的な活動ができると思っていたんですが、全然そんなことはなくて。私は献血の部署に配属されて、輸血用の血液の製造という地道な作業を担当しました。

「思ってたのと違う!」という反発が自分の中に芽生え、身の丈もわかってなくて、「なんでこんなことを私がしなければいけないの」「私にはもっとふさわしい場所があるはず」「私が本気を出していないから叱られているだけだ」などと思っていたので、仕事に向かう姿勢はまあできてなくて(苦笑)。

理想と現実のギャップにすねていたのが最初の1、2年だったと思います。人を助ける仕事が、地味で地道なことの積み重ねのバトンによってできているというのを当時は理解できていなかったんですね。

山本築 私は就職活動をしました。東京理科大学の修士課程までいって、日本マイクロソフトに入社しました。研究者だったので、通信系の基礎研究を突き詰めていくことのほうに興味があり、外資系で受けた企業はここ1社だけでした。

研究の道に進むのではなく、大企業の就職活動をする気になったのは、学生のときにベンチャー企業を2社、立ち上げた経験が大きかったです。1社はまだ続いています。

ベンチャーって、リソース確保から営業、広報、人事、総務、経理まですべて自分でやるんですね。お客さんに会社名を言っても知られていない。そんな経験から、正反対のところも経験してみたいと思うようになり、大企業ってどうなっているんだろうという好奇心が生まれました。

日本マイクロソフトを選んだきっかけは、企業説明会で現CEOのサティア・ナデラの話を聞いたんです。マイクロソフトのテクノロジーが世の中に広まったら社会に変革が起きるという「Future vision」というもので、このミッションがおもしろそうだと思いました。

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2015年のMicrosoft「Productivity Future Vision」

外資系企業には「すぐに首を切られそう」みたいな冷徹なイメージを持っていましたが、実際に社員に会ってみると温かくて、意外性がありました。

ただ当時は、新卒一括採用でこれからの人生がすべて決まってしまうんだろうか......なんて思ってしまって、すごく悩みました。就活で人生なんて決まらないんですけどね、実際は。

学生のときにどんな経験をしておくべきか、と聞かれたら、私は「起業でもなんでもやってみたらいい」と答えます。

ベンチャーを起業しなきゃいけない、複数のインターンを経験しなきゃいけないと言いたいわけではないんです。

実は、私は当時、やりたいことがなくて。やりたくないことはいっぱいあったので、それを見つける旅をしていました。実際に経験すると、これは自分に合わないな、というのを自分の言葉で話せるようになってきて、進む方向が明確になってくるんですね。

だから、起業やインターンはすることが目的ではなく、そこでどういう経験をして、どういう感情になるかということがわかればいいのだと思います。

はましゃか 私は新卒からフリーランスで活動しています。就活はしました。でも、エントリーシートを期日までに提出できなくて、提出にたどり着けたのが1社だけだったかもしれない......。

そこの面接に行ったんですけど、ポートフォリオを忘れて落ちちゃって。就活で本当に混乱しちゃって、フリーランスになる道を探ったということです。

美大時代に仕送りだけでは生活できないのでバイトをしていたんですが、スケジュール管理ができなくて遅刻やミスが続いてしまって。同じ場所に同じ時間に通うということができないのかな、と気に病んで、注意欠陥の持病があるということがわかったんです。

それでも働いていくにはどうしたらいいかなと考えて、同じような道をたどっている人たちの話を聞きました。こういうふうに工夫しているんだというのを先輩の背中を見ながら試して、自分のできることをやってみながら、仕事を進めている状態です。

「できる仕事が多すぎて困る」というnoteを最初に新卒フリーランスになった時に書きました。コラム、イラスト、しゃべる仕事、モデルなど、21の「できること」を書いたうえで、最後に「できないこと」も書いています。

例えば、体力がないので徹夜は無理ですとか、電車の乗り換えを間違えがちなので、遅刻して迷惑をかけるくらいなら最初からオンラインで打ち合わせをお願いするとか、メールの返信が苦手なのでLINEのQRコードを送ってLINEでやりとりしませんかと伝えるとか。

なるべく自分ができないことや人に迷惑をかけやすいことを避けながら、自分にやれる仕事をやっていこうと思っています。

ーー就職のお悩みとして「自分に合っている仕事がわからない」という人も多いなかで、そもそも「やりがい」というキーワードは意識が高いと感じたり、「自分らしく働く」の「自分らしく」ってなんだろうと敷居を高く感じたりする人もいるかもしれません。

ゲストには次に、どうやって「仕事の理想と現実」に向き合い、やりがいの一瞬を見出していったのかを聞いていきます。

りゅうちぇる 僕は、いまは自分らしさを出して仕事をしていますが、中学までの間は自分らしさを出せなかったという経験があります。

メイクやディズニーなど、一般的に女の子が好きなものが好きだったので、バカにされたことが何度もあって、そんなときにいじめられたくないから、わざと低い声でしゃべってみたりとか、自分を偽っていた時期があったんですね。

やっぱり自分を偽って演技したところで、本当の友達はできなかったんですよね。

つるむ人は何人もできました。移動教室にひとりで行動しているとかお弁当をひとりで食べていると思われないように、移動時間やお昼休みにつるむ人はできたけど、それはひとりではなかったというだけで。周りの目が怖くて偽った自分のせいだった。

高校に入ってから、Twitterで「ちぇるちぇるランドの王子様だよ」っていう感じで発信し始めたら、フォロワーが1万人くらいになってみんな興味をもってくれるようになって。注目していただけたことが、自信につながっていったんですよね。

それで上京してショップ店員やモデルとして活動をしていたんですけど、いざテレビに出るとなったときに、すごく怖くなって。

中学生の頃の経験とか、自分のことをバカにしていた人の顔とかが大人になってもフラッシュバックすることってあるじゃないですか。テレビに出たら、ああいう人たちも見てるんだ、地元の友達も見てるんだって思って。

原宿だったら「こんな派手な人いるよね。ここは原宿だもんね」で済むけど、テレビとなるとそれは話が違うぞと言われるんじゃないかとドキドキして、怖くて声を低くしてしゃべったり、男の子っぽくしたりしたんですね。

そうやって一番最初にテレビに出たときに、僕は全カットを食らって、放映されなかったんです。

僕、告知もしてたんですよ、何曜日何時から出ますって。それなのに全カットされて、もうティッシュ3箱くらい使ってめっちゃ泣いた! 僕なんてダメだ......と思っていたときにぺこりんに「素じゃないからおもしろくないんやん」って言われて。

僕は親の目もあったり、女の子っぽくしゃべったらファンの子に引かれるんじゃないかとか、フラッシュバックとか、いろんなことを考えていたけど、ぺこりんの言葉を聞いて思い直して、素で出演したときに全部使われました。

自分のことを、ああだこうだと決めるのは結局、自分でしかなくて。どんどん自分を出していこう、メディアでも自分を出さなきゃと思ったのは、そういうことがあったからなんですね。

そうやってメディアに出ている僕のことを見て、こういうふうに生きていいんだと思えるようになったという声をもらうこともあります。

「かわいいものが大好きで、これまで『オカマ』って言われていたけど、最近は『りゅうちぇる』って言われるようになったんだよ」と男の子からイベントで声をかけてもらったこともありました。

最初にバラエティに出たときには目的なんてなくて、「思い出づくり」だと思っていたけど、そういう声をもらうと、自分が出た意味があったな、出てよかったな、と思ったんですね。こういう人たちの存在を守ってあげられるような芸能人になろうと思いました。それこそ、やりがいですね

パパになってからは「親が派手な格好をしていたら公園とかジロジロで見られるけど、りゅうちぇるやぺこちゃんみたいな存在がいてくれて勇気をもらった」という声をもらったりもします。

僕は、就活生がやりがいなんて考えるなって思います。まだ就活中にやりがいなんてわかるわけないし、僕も最初はわからなかったから。

でも今なら、自分は自分のままで生きていかなきゃいけないという使命感みたいなものが、やりがいとつながっていると言えます。

はましゃか 私は北海道で女子校に中高6年間通っていたんですけど、そのときはみんな優しかったので変な自分をつっこまれたりせずにのびのび生きていたんですね。

そこから大学進学のために上京したら、いろんな格差のようなものがすごく見えてきて。田舎から出てきた人と都会に住んでいる人の差とか。実家が東京にある人のもともと恵まれている部分を目の当たりにしながら、すぐに実家に帰れないという心細さがあったりとか。それまであまり考えたこともなかったけど、上京して初めて、こういう差があるんだと思いました。

若い女性というだけで、こうしないといけないということを押し付けられるような雰囲気もありました。地域格差、性別、年齢......あとは私のように持病を抱えていたり協調性がなかったりする場合とか、東京に出てきてから生きづらいなと思うことが多くありました。

私は大学の終わりくらいまでずっと黒髪ロングだったんですけど、清楚な奥ゆかしい女の子という理想像を押し付けられることがあって、「こういう見た目の女の子はそういうことはしない」とびっくりされたりしたこともありました。どうやったら内面とのギャップなしにスムーズにコミュニケーションをとれるだろうと思うようになり、髪の毛をピンクにしました。

外見によるプレゼンテーションを始めてみると、若い女性という型にはめられて接されることが減って、人間として見てもらえるようになったんです。見た目を工夫するというのは、いまも働きやすさにつながっている気がします。

大学のころ、販促キャンペーンの風船を配るバイトをやっていたんですけど、何も興味がなかった人に最初に興味をもってもらう瞬間に立ち会うのが私は好きなんだな、と気づいて。

もともと興味がある分野をさらに深く掘り下げるお手伝いをするというよりは、何にも考えずに道を歩いている人に「すみませんちょっと、これいかがですか?」と声をかけて、入り口に足を踏み入れるための興味をもってもらうのが得意なのかなと思っています。

私はジェンダーや差別や政治の専門家ではなく、自分もよくわからないし勉強中です。ただ当事者ではあるので、知的好奇心からいろいろな人の話を聞いてみたいとか、自分の経験を掘り下げてみたい。

詳しいことは専門家に聞いてもらえばいいけれど、私は簡単な言葉で伝えることによって、ちょっとのぞいてみようかな、と入り口に立ってもらうことのお手伝いをすることが向いているんじゃないかな。そこなのかな、やりがいは。そういう立ち位置にいたいと思っています。

工藤瑞穂 私も前職に7年勤めましたが、はましゃかさんと苦手なところが似ています。

同じ場所に同じ時間に行くのが苦痛だったり、朝が苦手だったり、女性社員同士のランチでの会話についていけなくて耐えがたかったり。興味が違いすぎてつらかったけど、私は適度に我慢することができたので、7年もそこにいたんですね。

転機は、仙台で東日本大震災を経験したことです。津波被害があった地域では家が流されたとか、家族を亡くした友人もいたりして、今までの日常が崩れてしまいました。

それまでは、人の力になるということは仕事の枠組みの中でしかできないと思っていましたが、自分にも何かできるかもしれないと思って、ダンス仲間に声かけてチャリティイベントをして、その収益で支援物資を被災地に運びました。

喜んでもらえたりさまざまな人がサポートしてくれたりして、そのとき初めて、自分で考えたことによって、仲間と一緒に人の力になれることもあるんだとわかったんです。

当時ちょうど社会起業家が増えていた時期で、社会をよくしたい、誰かの力になりたいという人が事業を立ち上げ、それが仕事になるという実例が出てきていました。自分にもできるかもしれないと思って、思い切って仕事を辞めて、東京に出てきました。

私がいま「soar」というメディアで、障害や貧困、病気などあらゆる困難がある人とか、多様性や多様な生き方を伝えていくということをやっています。

東京にきてからいろんな人たちに出会って、ある友人はゲイだカミングアウトしてくれたり、精神疾患になって働けなくなった人に話を聞いたり、世の中にはみんなが知らないさまざまな困難があって、その中でも自分らしく生きている人がいることを知りました。

それで私は、みんながまだ知らないけど、自分がすばらしいと思うことを広く伝えるということ好きなのかもしれないな、と思うようになりました。

課題解決や生きづらさを解消するだけでなく、自分の気持ちが高揚し、すばらしいと思うことを広く届けていくために活動したい、といろいろなところで話していたら、だんだん仲間ができて「soar」を立ち上げることができました。

「職場では自分の個性をおさえて働く」という経験を7年間もしていたので、今は事業としてさまざまな人の力になることもそうですが、働いているみんなが自分らしさを出せたり、生きづらさや弱さを共有したりできています。

やっている事業内容も、働きかたも、組織のありかたも、自分にしっくりくる自分らしい形にできたかなと思います。7年間の経験が、今の組織にも生きているんです。

山本築 私は、組織に属している立場でお話したいのですが、ずっと意識してきたのは、やりたいことがあったら発言するということです。

りゅうちぇるさんがおっしゃっていたように、怖いときもあります。やりたいこととはいえ、本当にそれが継続してやれるかどうかもわからないので不安もあるでしょう。

やりがいなんて、就活生にはわからないですよね。わからなくて当たり前と思ったほうがよくて、私にもわからなかったですから。ただ、さまざまな企業の社員の人と話していると、自分はこれが好きかも、これは嫌いかも、というのがわかってくるので、その感覚は大事にしてきました。

CEOが掲げるミッションに共感して入社しましたが、ミッションなんて、自分の一業務からしたらほど遠い話なわけですよ。そこで私が意識していたのは、いかに思考を飛ばすかということです。

目の前のお客さんの技術的な細かい質問に答えていくような業務でも、その業務がお客さんの役に立ち、ひいては世の中を変え、社会貢献につながっていくというストーリーを妄想する力が大事だな、と思っています。

私は2015年入社で、Windows10の技術営業をやれと言われたんですね。当時、Windows10はまだリリースしていないので、リリースしていないものを担当させられるということは、理想と現実どころか、現実すらない状態だったんです。

そういうときにも、この業務をたどるとその先に、自分が憧れたあのミッションにつながっているんだ、とストーリーを妄想しながら働いていたのを思い出します。

最初のミーティングも非常に思い出に残っています。当時、新入社員たるもの議事録を書くべしと勝手に思いこんでいて、私はせっせと議事録を書いていたんです。

そうしたら、当時の本部長が20人ほどのミーティングをストップして、名指しで「何やっているんだ」と怒鳴られました。

「議事録なんか書くんじゃない、発言しろ」って言われました。「お前がそこにいるのに議事録を書いていたら、多様性のバリューがなくなる。いろいろな意見がほしくてみんな集まっているんだから、まず発言しろ」と言われました。これも理想と現実のギャップが、いい意味で訪れた瞬間だったなと思うんです。

新入社員は議事録を書くものだというアンコンシャスバイアス(無意識の偏見)をフラットに見つめ直せるかどうか。そういう機会を与えられるかどうか。体験やきっかけ、周りの人もすごく大事です。

私は、やりがいって、来年には変わるなくらいに思っています。一つだけブレないのは、周りの人が笑顔だったらいいよね、ということくらいです。

そういうこともふまえて2019年度から、「MINDS」という異業種連携のコミュニティを立ち上げました。

いまの日本企業の働き方改革を見ていると、残業時間の削減など短絡的な議論に陥りがちです。MINDSは大手企業13社からなる「ミレニアル世代の働き方改革推進プロジェクト」で、大企業がどう本気で変わるのかをミレニアル世代が主導して考えたり提言したりしていきます。

MINDSには、エグゼクティブスポンサーとして各社の役員が1名ずつついています。世の中では「逃げ切りシニア世代」などの呼ばれ方をしていますが、13社の役員と話すと、みんな真剣に次の経営者にどうバトンを渡すのかを考えています。そのこともギャップでしたね。今まで会話をしていなかったんだな、とすごく思いました。

ーー最後は、自分に合う仕事が見つからないかも......という人たちに、いま働いている人たちからのメッセージ。

BuzzFeedのアンケートに寄せられた声と、ゲストからのアドバイスを合わせてお届けします。

りゅうちぇる 僕は直感で生きているとお話しましたが、僕がここまで来られたのは自己肯定感の高さしかないと思っていて、どんなときでも自分のことが大好きで、どんなに失敗しても自分のことを守ってあげられるということが一番大事で、一番伝えたいことです。

イベントに来てくれたファンから「将来の夢が見つからない。りゅうちぇるはどうやって夢を見つけたの?」と聞かれたことがあるんです。

その子はメイクがとても上手だったので、「メイクめっちゃかわいいじゃん、メイクの仕事はどう?」と聞いたら、「考えたこともなかった」と。僕は逆に驚いてしまって。

夢や就職ってすごく大げさに聞こえるけど、結局、仕事をしないと食べていけないから絶対にやっていかなきゃいけないことですよね。続けていかなきゃいけない、イコール好きなことじゃないと難しいから、好きを仕事にしちゃっていいと思うんです。

メイクが好きだったら、メイク関連でどんな仕事があるのか、まずは探してみてほしい。お金にならないんじゃないかとかと決めつけているのはいつも自分で、探してみればお金になる方法はたくさんあるし、どういうふうに行動するかはいつも自分次第だなと思います。

はましゃかさんが話していたように、自分を見た目でしっかり表現する強さも大事です。

就活で、みんな同じ髪型、同じ服装で、決まったメイクで勝負しなきゃいけない世の中はしょうがないかもしれないけど、それでその人のことがわかるなんて、超能力者じゃないんだから無理なんですよ。誰もが自分の個性を出せる世の中にしていくためには、みんながもっと自分を出していかなきゃ。

僕は、自分自身がどんどん活躍して表舞台に出て、こういう人でもしっかり人生設計を作って夢を叶えていくんだ、と思ってもらえる前例になれるように、自分自身を表現していきたいと思います。

工藤瑞穂 私「モーニング娘。」のファンなんです。元メンバーの加護亜依ちゃんは、未成年のときに喫煙問題で所属事務所を解雇されたんですけど、2019年に13年ぶりに「辻ちゃん加護ちゃん」のコンビで共演したんですよ。

歌もダンスも仕上がった状態で、13年間ずっと諦めないで加護ちゃんはスキルを磨き続けていたんだと思うと、人生は長期戦だな、と。

私自身、20代のときに自分らしくいられたかというと、全然そうではありませんでした。

はましゃかさんやりゅうちぇるさんは、20代前半でも自分らしく働いていることがみなさんわかるでしょうから、もしかしたらそういう姿を見て焦ったりする人もいるかもしれません。でも、今やっていることがどう人生につながるかはわからないし、人生に悩みがなくなることってないと思うんです。

悩み続けていく、悩みとともにある、順調に問題だらけっていうのが人生なので、悩むことが当たり前だと思いながら人生を長い目で見て進んでいってもらえれたらいいなと思います。

山本築 お二人の素晴らしいコメントに感無量ですが、私が一つ言えるとすれば、企業に勤めている立場から、社外インターンのような制度をもっと広めたいです。

一つの企業に所属するか辞めるかしかない二択っておかしいなと思っていて、私は「ピボットキャリア」と名付けたんですが、片足を軸にして回転していくように、軸足はこの会社にあって、もう一つの足を気軽に他の会社に置けないかなな、と。

新卒の就職活動が人生の分岐点かといえば、マラソンでいってもそんな地点ではまったくないし、そうじゃなくしないといけない。

社会人として働き続けている私ですら、キャリアに悩んでますからね。そのあたりもご安心いただき、悩んだときはいろいろな人と会話をしながらお互いに学んでいけたらと思います。

はましゃか 今はSNSが発達して「個の時代」みたいに言われることが増えて、それぞれが何かを成し遂げないといけないんじゃないかというプレッシャーがかかりやすい時代じゃないかと思うんですね。

私は実績がめちゃめちゃあるわけではなく、たまたまSNSで名前を使ってお仕事をいただいているだけで、何かすごいことを成し遂げたわけでもなく、働き始めてまだ2年の人間です。

SNSって、やたらすごく見えすぎたりするじゃないですか。でもそんなことはなくて、すごい人にならなくちゃいけないというのは別にないと思うんですよ。

実績を出さなきゃいけないとか、エポックメイキング(時代を切り開く)しなきゃいけないとか、何か成し遂げなきゃといけないというのもないです。

たぶんもっと大事なのは、逃げ場所を何個か作っておくこと。就活がうまくいかなくても、友達の家にいけば楽しいからいいやとか、友達とうまくいかなくても、こっちの集まりでワイワイしようとか。いろいろな場所に顔を出せる環境を作っておくと、どこかから糸口が見つかるかもしれません。

私もいろんな仕事をしていて、関わる人も違うので、こっちがうまくいかなければこっちで頑張ろうという意識で、1つに絞ろうとしないようにしています。

20代で仕事の専門性が身につく人もいるだろうし、もっと先かもしれないし。30、40代で専門性を身につけていけばいいのかなと思います。もちろんある程度の年齢から別のことを始めるのもいいと思います。

あとは、生活をちゃんとする(笑)。就活がうまくいかなくても、楽しく生活できれば、自己肯定感が上がります。ごはんをつくる、洗濯をする、家族と時間をすごす、趣味のミュージカルを観るとか、普段の生活も逃げ場所のひとつだと思うんですが......。みなさんがすごいことを言っているのに、こんなアドバイスでごめんなさい!

工藤瑞穂 いえ、いま一番大事なことを言いましたよ。命と暮らしが大事です!

🎁 エコなプレゼント当たります!

オンラインイベント「未来をつくる仕事のこと」を視聴してアンケートに答えてくださった方(希望多数の場合は抽選)に、プレゼントをお届けします。

A : スターバックス ヴィア® スプリング シーズン ブレンド 10本入り(スターバックス コーヒー ジャパン) 30名様

B : い・ろ・は・す 天然水 100%リサイクルペットボトル 555ml / 24本入り1ケース(日本コカ·コーラ)10名様

C : World Without Wasteオリジナルピンズ(日本コカ·コーラ) 20名様

D:オーガニック 432 フェイスタオル(IKEUCHI ORGANIC) 30名様

E:Natural Battery(自然エネルギー100% ケーブル内蔵 超軽量 急速充電モバイルバッテリー 4000mAh)(Looop) 20名様

上記いずれかとともに、BuzzFeed Japanオリジナルグッズをお送りします。

🍀「未来をつくる仕事」って?

どんな企業や団体も、そこで働くひとりひとりの人たちの知恵で成り立っています。

「こんな社会で暮らしたい」を考えるのも、実践するのもわたしたち。ひとりの力は小さくても、集まれば、世界を変えるような大きな力になるはず。働くことの根本って、そういうことではないでしょうか?

「就活」に振り回されたり、組織の歯車であることに甘んじたりするのではなくて、自分や大切な人の未来をよりよくしたいという思いを、仕事を通して結実させたい。これから仕事を探す学生にも、そんな大人たちがいることを知ってほしい。

BuzzFeed Japanは、私たちの未来をつくろうとしている学生や社会人のみなさんとともに、「未来をつくる仕事」について考えていきます。

🍀一気見はこちらから!