「うちの選挙区に待機児童はいない」という国会議員に「保活」の実態を知ってほしい

    希望する人が保育園に子どもを預けられるように、保護者グループが提言。

    「希望するみんなが保育園に入れる社会をめざす会」が2月26日、衆議院議員会館で記者会見とイベントを開いた。

    めざす会は、子どもを保育園に預けることに苦労した保護者たちが東京都武蔵野市で2017年1月に発足させ、コアメンバー10人で運営している。

    2017年10月の衆院選を前にTwitter上でアンケート「#子育て政策聞いてみた」を実施。同11月には、幼児教育無償化について「無償化より全入化を優先して」としてインターネット署名サイトChange.orgで集めた3万1327人分の署名を自民党本部に提出した

    「待機児童問題を解決するには国ベースで動く必要がある」(天野妙代表)と世論形成や課題解決のための活動をしており、3つの提言をまとめた(以下は概要)。

    1)潜在待機児童数や保育需要の推計値が少ないと考えられる。政府は2020年度までに「待機児童ゼロ」にするために必要な定員数を32万人としているが、目標値を再設定してほしい。


    2)幼児教育の無償化は、子育て政策で最優先すべきことではない。待機児童ゼロ→全入化→無償化→義務教育化 の順に進めてほしい。


    3)保育や子育てについて検討する有識者会議に当事者が入っておらず、意見が反映されづらい。当事者を含めて議論してほしい。

    「二人目をあきらめている」保活の実態

    厚生労働省によると、2017年4月1日時点の待機児童数は全国で2万6081人。3年連続で増えている。また、認可保育園には預けることができなかったが自治体が独自で補助する認可外施設に入ったり親が育児休業中だったりする「隠れ待機児童」は6万9224人と発表している。

    めざす会では、子どもを保育園に預けることに苦労して「保活」をした人の体験談を冊子「私たちの『保活』ストーリー」にまとめた。「徒歩、自転車、電車で片道1時間以内のところを片っ端から希望しているが入れない」「二人目をあきらめている」などの体験談60件を掲載している。

    天野代表によると、国会議員の中には、そもそも保育園入園のシステムについて理解していない人もおり、こうした当事者の声を通して「保活」の大変さを訴えるために企画した。この冊子を国会議員に配布し、議員の選挙区の体験を掲載している場合は、そのページに印をつけて渡したという。

    「うちの地域には待機児童はいないはず......いや、いた」

    確かに、認可と認可外、自治体独自の認可を受けた施設、企業主導型や小規模保育所など、保育施設のさまざまな区別はわかりにくい。だが、自治体任せという面も否定できないという。

    「待機児童の問題は東京だけだと思っていたり、国ではなくまず自治体が動くべきだという意識があったりするようです。一方で自治体に聞くと、予算の1割を投資しても待機児童を解消できないと悲鳴をあげているところもあり、国や企業の支援を求めています。少子化にもつながる課題であるにも関わらず、国の重点政策になっていない点が問題だと思います」

    続いて、イベント「#保育園に入りたい!を本気で語ろう2018」を開き、親子や超党派の国会議員ら約200人が参加した。

    パネルディスカッションで、NPO法人フローレンス代表理事の駒崎弘樹さんは、保育園に子どもを預けられない保護者が仕事を辞めた場合、失われる生涯所得はおよそ2億円だとする試算を紹介。「待機児童問題は官製失業であり、子どもの保育を受ける機会を奪っている」と述べた。

    イベントはライブ配信されています。

    #保育園に入りたい LIVE配信中 https://t.co/rQtDuLoKBE


    BuzzFeed JapanNews