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もはや飲み物ってレベルじゃない…!“おいしいの探求者”がつくった「ノンアルドリンク」が贅沢すぎる

さまざまな食に関する情報が集まる特集「いろんなおいしい!」。お酒のように深い味わいを楽しめるのに、酔わない「ノンアルコールドリンク」の魅力について、専門ブランドを経営する古谷さんにお話を伺いました。

お酒が飲めない人でも楽しめるノンアルコールドリンク。最近は種類が豊富になってきていて、かなりアツいんです。

私自身、全くお酒が飲めなかったため、「ともコーラ」や「のん -THE NON-AL SPIRITS- 」と出会った時は衝撃でした。今まで飲んできたソフトドリンクとは全く違い、初めて「飲み物を楽しむ」体験をできたことが嬉しく、それからは何度もリピートをしています。

どちらもつくってるのは会社員の傍ら、食のD2Cブランドを経営する古谷さん。アルコールではなく、ソフトドリンクとも違う。ノンアルコールドリンクの魅力を古谷さんに伺いました。

ーーそもそも、ノンアルコールドリンクとはどんなものを指すんでしょうか?

古谷さん(以下、古谷):アルコールは入っていないけど、お酒のような味へのこだわりや複雑さが詰まっている飲み物を指すのではないかと考えています。

ーーソフトドリンクとはまた違うんですね。

古谷:ソフトドリンクは、お酒と比べると種類が少なくて選ぶ楽しさや多様性も少ないじゃないですか。

どこかアルコールに劣っている認識をされている気がしていて。お子様向け、というか…。

その点を克服できるのがノンアルコールドリンクであり、世の中に求められている姿なのではと思っています。

ーー確かに「飲む楽しさ」はソフトドリンクだとあまり感じたことがないですね。酔わずとも、お酒を飲むのと同じような体験ができるのは嬉しいです。

古谷:私自身もともとお酒が飲めないんですが、誰でも楽しめるノンアルコールドリンクがもっと増えればいいのになと思っていたんです。

その気持ちから「ともコーラ」を立ち上げたところ、普段お酒を飲まない人たちから多くの反響が届いて。ノンアルコールドリンクって、自分が思っていた以上に需要があるんだと実感しました。

お酒を飲む、飲まないに関わらず「おいしいから」「新しい体験がしたいから」という理由でノンアルコールドリンクを選んでくれればいいんじゃないかと思います。

注目の理由は商品の持つ「ストーリー性」

ーーSNS上で話題になったり、テレビでも特集されるなど、最近は注目度もますます高まっているような気がします。古谷さんはどんなことが理由だと考えていますか?

古谷:お酒が飲めない方からの需要に加えて、時代のニーズとマッチしていたのではないかとも考えています。

完成されたものをただ消費することに、魅力を感じない人が多くなっているのではないかと。

材料や中に何が入っているか、どういう人がどういう背景でつくっているかなど、ストーリーを消費することへの意向が強くなっているのではないでしょうか。

ーー確かに、ノンアルコールドリンクを選ぶ時って、「どんな想いが込められているか」だったり「どんなスパイスや果物が使われているか」が決め手になっている気がします。その点だと「ともコーラ」も火付け役になったのでは。

古谷:コーラはもともと世間一般に広まってはいますが、製造方法はある意味ブラックボックスに包まれていたイメージがあって。コーラの味はみんなわかるけど、材料って言われてもパッと思い浮かばないじゃないですか。

それが自家製で、手作りでできるのかって。ギャップや意外性のところに興味を持ってくれたのではと思っています。

ーーノンアルコールドリンクは日本ではあまり前例がなく、開発が難しそうです。一番重要なフレーバーや味は、どのように作られていったのでしょうか?

古谷:商品を開発する上で、開発者が一番厳しい消費者であるべきだと思っていて。

企画してからの約3ヶ月間で、海外のクラフト飲料事情についてリサーチしたり、自家製のコーラを提供しているお店に足を運んだりしていました。

発売してからも、約半年間は取扱店やお客様の反応を聞きながら味の改良は続けていたんです。なんなら現在もまだ模索中で、常に一番おいしくなる味を追求したいと考えています。

私自身、味への執着や探究心がものすごいんですよ。

面白いことをしていたり、食の新しい取り組みをしているお店があれば、日本全国どこであっても実際に足を運んで味わうようにしています。

ーー古谷さん自身の舌を頼りにしているんですね。

古谷:いい生産は、まず自分がいい消費をしてこそじゃないですか。

なので食やおいしさについての知見や経験は私の強みであり、他の人にはないものだと思っています。

だから、自分自身が「おいしい」「新しい」と思えたらみんなにとっても同じなんじゃないかと。そこは確信を持ってできました。

ーー「ともコーラ」も「のん -THE NON-AL SPIRITS- 」も、味はもちろんですが、パッケージも魅力的ですよね。お酒の瓶みたいに飾っておきたくなる。

古谷:そうですね。まずは興味を持ってほしいので、とっかかりとなるパッケージには当然こだわりました。

自分もなにか買う時って、ジャケットがきっかけになることが多いので。

2つともそれぞれが持っている世界観やストーリーを伝えられるデザインにしました。

広く浸透するには「買いやすさ」が重要

ーー先ほど古谷さんが言っていた「ノンアルコールドリンクの選択肢」は増えてきたと思いますが、買えるお店は限られているイメージです。今はまだ「トレンドに敏感な人は知ってる」段階な気が。日本に浸透していくには何が重要だと思いますか。

古谷:やはり流通が一番大事なポイントになると考えています。

今日本で買えるノンアルコールドリンクは、ECでしか手に入らないものが多いんです。

感度が高い人は自分で検索して買うからいいんですが、それだと広くは浸透していかないですよね。

人が商品と出会う時は、偶発的であることがほとんど。なので、日々の導線の中に組み込まれている必要があります。

流通を作る食品業者の方々に、スーパーやコンビニなどの量販店に卸てもらって、販路を増やしていけば普及につながるのではないでしょうか。

ともコーラは「ご当地クラフトコーラ」として、地元の名品とコラボしたコーラもつくっているんですが、その徳島版『AWAトクシマコーラ』が今年の5月から全国の成城石井で買えるようになったんです。

これをきっかけに、より多くの方に広まっていけばと願っています。

ーー確かに、「買いやすさ」は重要なポイントですね。スーパーで買えるとなると購入のハードルがグッと下がった気がします。

古谷:あとは、「ノンアルコール=安いもの」という固定概念もネックになっていると考えています。

アルコールと同じくらい、もしくはそれ以上に手が込んでいるのに、ノンアルコールドリンクに対して「お酒じゃないのに同じ値段?」と疑問に思う方は多くいらっしゃると思うんです。

「これがふさわしい値段なんだ」と納得してもらえるよう、消費者の意識を動かすことも課題ですね。

ーー古谷さんが最近美味しいと思ったノンアルコールドリンクはありますか?

古谷:しなもんやの「町田シナモン」ですね。これは感動しました。

シナモン100パーセントって聞いて、どんな味なんだろうと買ってみたんです。いざ飲んでみたらもう、驚きでした。

最初はシナモンの味なんですが、後からピリピリと、辛さがやってきます。シナモンの木ってこんな味するんだ…と。味を例えるなら「戦ってるシナモン」って感じ?

これは一度飲んでほしいですね。めちゃくちゃ美味しかったです。

ーー外食がなかなかできない今、お家でのノンアルコールドリンクの楽しみ方を教えて下さい。

古谷:ちょい足しのアイテムを充足させるのがオススメです。

例えばライムとか。絞っていれるだけで「ともコーラ」も「のん -THE NON-AL SPIRITS- 」も更に美味しくなります。スーパーで探して、自分で切るのが面倒だという方はコンビニで冷凍のカットライムが売っていますし。

あとは、炭酸水をトニックウォーターにしてみたり。味の幅がぐっと広がりますよ。

ただ、やはり飲む方自身が楽しんでいただきたいので、自分の好きなように料理感覚でアレンジしてみるのもいいんじゃないかと思います。

《古谷知華》

1992年生まれ。東京大学工学部建築学科卒。平日は広告代理店で働く傍ら、個人で調香師、フードプロデューサーとして「ともコーラ」やノンアル専門「のん」などの食のD2Cブランドを開発・経営する。専門領域はブランディングや新規事業開発。食への知識を活かし複数雑誌にて連載も執筆中。

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