“中途半端”だと思われるのは仕方ない。「誰もが驚く肩書き」を持つ20歳の彼女は、どのように才能を手にしてきたのか

    小学6年生の頃からファッショニスタとして注目を集め、今や多方面で活躍をし続けている20歳のアーティスト・甲田まひる。そんな彼女に「やりたいことの見つけ方」を聞いた。

    シンガーソングライター、俳優、モデル、ジャズピアニスト。

    驚くことに、これらの肩書きは全て20歳のアーティスト・甲田まひるが手にしているものだ。

    小学校6年生のときに始めたInstagramが人気を集め、ファッションブロガーとして活動を始めた彼女。

    ジャズピアニストの顔も持っており、幼少期より都内のライブハウスで活動。2018年にはジャズアルバム『PLANKTON』を発表している。

    さらに2019年には俳優デビュー。2021年夏に話題を呼んだ映画『サマーフィルムにのって』にも出演を果たした。

    そんな甲田は、今年11月にシンガーソングライターとしてデビュー。1st Digital EP『California』では歌にラップ、ダンスまで披露している。

    自分の“好き”に貪欲な彼女は、どのようにして数々の才能を手にしてきたのだろうか?

    昔から、誰かと一緒のほうが居心地が悪かった

    ーー甲田さんは小学生の頃から自分の「好き」が確立されている印象があって。周りの子と話が合わなくて辛かった…みたいな経験ってないんでしょうか。

    どらかというと、周りと一緒のことをしたくないというか、他の人とは違う方向にいきたい気持ちが小さい頃から強かったんです。自分の年齢にそぐわないことをしたかったし、大人びていたかった。

    意識的に自分の好きなことをみんなと違う方へ持っていっていたので、趣味が合わなくなるのも想定内というか。

    もちろんみんなと同じように流行ったキャラクターのグッズを持っていたりしましたが、洋服は本当に自分が着たいものを着たいなって気持ちが強かったです。

    身につけるものって、その人の個性や人間性がすごく出るじゃないですか。なのに、みんな同じになっちゃうのは違うんじゃないかなって意識がその時からあったんですよね。

    私にとっては、周りと一緒にするほうがむしろ居心地が悪かったんです。

    ーーでは、同じ学校にいる人とはあんまり関わりを持たなかった?

    そんなことないです。私、人がめちゃくちゃ好きだし、自分で言うのも変ですが、すっごくフレンドリーなので。言いたいことはすぐ言っちゃうし、誰にでも話しかけちゃう子でした。

    趣味とかやっていることの部分と、人の性格は全く切り離して考えていましたね。

    逆に、周りから自分がどう思われてるかもあまり気にしていなくて。人と違うものが好きだと言っても、誰かに迷惑かけてるわけじゃないですし。

    友達も私の性格を理解して受け入れてくれていて、人間関係で嫌な気持ちになったことはなかったですね。

    ーーそのような考え方や性格は、どんな影響を受けてつくられたんでしょうか。

    家族の存在が大きいですね。私は2人兄妹で、9歳上のお兄ちゃんがいるんです。

    結構年が離れているから、おもちゃの取り合いとか喧嘩とか、兄妹同士の嫉妬もなかったんです。お母さんも寛容な性格だったから、好きなことをなんでもさせてくれて。

    なんて言うか…わがままに育ったんですよね。欲しいものは欲しいし、やりたいことはやりたい性格。

    ーー同じ年代だと「親に反対されてできない…」という人の方が多そうです

    そうですね。同年代の子からもよく「どうやって親を説得していますか」とメッセージをいただくことがあります。

    私も何かやりたいことがあった時には、親に自分がどうしてそれをやりたいかとか、ちゃんとできるのかどうかの“プレゼン”をしているんです。

    人によって状況は違うと思いますが、目的とゴールを明確にして理解を得るのは一つの手ですかね。

    ただ、やるからには何かしらで結果を残さないと納得できないので。新しいことを始めるときはできる事は全部しよう、という気持ちで挑んでいます。

    不安や疑問は、私にとって「原動力」

    ーーそれ以前に「やりたいことがわからない」「今やってることが向いてるかわからない」方も多い気がしていて。

    「これって、本当にやりたいことなのかな…」って悩みはじめた時って、逆にすごく可能性を感じる時だと思います。

    だって「やりたいか、やりたくないか」なんて、結局どっちかしかないじゃないですか。今後絶対に答えが出てくることだと思うし。

    私が同じ悩みを抱えたとしたら、モヤモヤするし、悔しい。向いてるのか向いてないのか早く知りたいし、違うんだったらさっさとやめたいです。他の好きなことに時間を使ったほうが圧倒的に楽しいから。

    だから、そういう悩みが出てきたら「やりたいかやりたくないか早く決めよ〜!」ってなっちゃいます。

    私も、打ち込んでいるものに対して「いつか飽きちゃったらどうしよう」とか、先の道が見えなくなることはあるんです。

    ただ、そういう不安とか疑問とかって自分にとってはすごい原動力で。悩んでいたり迷っているからこそ、どう突破していこうかなって考えになりますね。

    気づいたら増えていた肩書き。「中途半端」だと思われるのは仕方がない

    ーーいろんなことに挑戦していると、どこにも居場所がなくて寂しい…ってことはありませんか?


    そういうことは何も考えていないんです(笑)寂しさとか、孤独とか感じたことない。

    そう言われると、確かに居場所とかってないのかも。ただ、それが嫌かと言われたらなんとも思わない。

    ーーアーティストだと特に「たくさんの肩書きを持つ人を認めない」って風潮があるのかと思っていました。

    ありますね。ジャズにしても、ファッションにしても、歌にしても、界隈関係なくそういう方は一定数いると思います。

    いろんな活動をしていると、それぞれに割ける時間にはどうしても限界がありますから。

    一つのことにずっと集中している人からすると、マルチなアーティストはどうしても中途半端に見えちゃうだろうし。認めてもらうのは難しいんじゃないかな。それは全然当たり前のことだと思います。

    ただ、私の場合、新しくやりたいことができた時に、他のものに対しての熱が一旦冷めちゃうんですよ。やりたいこと見つけちゃったら、やらないと気が済まない性格なので。

    今まで「界隈の人にどう思われるかな…」なんて深いことを考える前に進んじゃって、肩書きがここまで増えちゃったので。もう戻れないですよね。しょうがないし。

    認められるようにするには、何も言わせないくらい全部をパーフェクトにやってのけるのが一番だし、そうなれたらなとは思うんですが。

    ジャズもファッションも俳優も歌も、一つ一つ独立しているように見えますが、表現って部分では全部繋がっていると考えています。

    違うところで得た経験でも、今やっていることに全て生かされているので。いままでやって来たことは間違いではなかったんだなと思っています。


    《リリース情報》

    1st Digital EP『California

    甲田まひる
    ワーナーミュージック・ジャパン
    配信日:11月5日

    M-1:California
    M-2:Love My Distance
    M-3:California.pf
    M-4:California_demo@201113
    作曲:甲田まひる(※M-3 はピアノ演奏)
    全作詞編曲:甲田まひる/ Giorgio Blaise Givvn
    (※M-3 除く)