「人生に汚点を残したくなくて」ファン58万人のYouTuberが語る“うさぎのような臆病さ”がすごい

    人気チャンネル『kouichitv(コウイチティービー)』を運営するYouTubeクリエイター・コウイチさんに、「活動の中でいつも気をつけていること」を伺った。

    軽い気持ちで発した言葉がSNS上で拡散され、議論の的になり、場合によってはニュースに発展する。

    SNSが広く浸透した今の時代、インフルエンサーや芸能人にとって、炎上はつきものである。

    しかし、そんな中で自ら予防線を張り巡らしながら活動する人もいる。YouTubeクリエイター・コウイチさんもその一人だ。


    彼が運営する『kouichitv(コウイチティービー)』は、「ショートコメディ」という独自のジャンルで人気を集め、現在では58万人以上もの登録者がいる。

    視聴者が多いにも関わらず、彼の動画のコメント欄には目立つアンチコメントはなく、常に治安が良い。自身はその理由を「臆病な性格だからこそ」と語った。


    ーーTwitterでのツイートや著書『最悪な1日』の内容から、コウイチさんはすごく地に足ついているというか、自分を客観視している印象を受けます。

    僕は他のYouTuberとは違い、人間的な人気でファンを増やしてきたわけではない。僕が書いたからといって手にとってもらえるような甘い立ち位置にはいない。だから、本を書くからには絶対に面白くする必要があった。

    著書『最悪な一日』より一部抜粋

    コウイチさん(以下、コウイチ):僕、すごく臆病な性格なんですよ。「人生に汚点を残したくない」って気持ちが強くあって。

    ーーどんな汚点ですか?

    コウイチ:だいたい失敗する人って、調子に乗っているタイミングで足元をすくわれているじゃないですか。昔のロックスターとか天才子役とか、一番高いところにいる時に、周りが見えてなくて失敗しちゃうみたいな。

    そういうのを知っていたので、自分は絶対そうならないぞって思っているんです。

    あとは、普段から見てる人に対して自分が嫌悪感や不信感を抱いた瞬間を感覚として覚えていて。

    視聴者から見て、こういうことをすれば気にさわるな、とかを考えて動くようにしているんです。

    ーー予防線の張り方がすごい。

    コウイチ:僕は8年前の高校1年生の時からYouTubeをやっているんですが、最初は全く見られなくて。すぐに動画が伸びていたら、調子に乗っていたのかもしれないんですが。

    見られていない期間にフィールドを観察できたのが大きいかもしれません。失敗をしてもダメージがある範囲じゃないっていうか、炎上するだけの薪がないっていう状態で。

    ーーコウイチさんの「臆病さ」は理解できるんですが、それと同じくらい尖っている部分もある気がします。『若手ユーチューバーの特徴』とか、攻めてるなって。

    YouTubeでこの動画を見る

    youtube.com

    この動画では、YouTuberにありがちな特徴を皮肉を交えながら表現している。

    コウイチ:たまにこういうことをしたくなる時がありますね。不満とか愚痴をストレートにツイートすると、すごくトゲが出てしまうので。

    動画でコーティングしてアウトプットすると、本当に自分にしかわからない。嫌味とか。

    別に誰にも伝わらなくていい、とりあえず排出してるみたいなところはあります。

    ーー自分がどう見られているかを意識しているからこそ、少し尖った動画を出しても燃えないんだなと感じます。人って痛い目を見ないと学ばないところがあると思うんですけど、徹底して気を配れているのはなぜなんでしょうか。

    コウイチ:炎上している方を見ると、どうしても自分ごととして捉えてしまって、恐ろしくなるんですよ。こうなったら最悪だなって。

    多くの方は「炎上してる」ってだけで終わって、すぐ忘れると思うんですが。立場が近いのもあって、僕はいずれ自分もああなるかもしれないって思うんです。

    炎上だけでなく、誰でも犯罪者になる可能性があるし、ひょんなことからどん底に落ちるかもしれない。

    ーー人生の「かもしれない運転」ですね。

    コウイチ:いつ借金まみれになるかもわからないですし。そういう失敗をしないため、今後も気をつけていきます。

    <コウイチ(kouichitv)>

    1996年生まれ。北海道出身。高校1年生のときに、YouTubeチャンネル「kouichitv」を開始。メンバーは谷くん、わたこう。動画のほとんどを一人で制作。3分以内のショートコメディが主で、謎めいたオチ、実在しそうなヤバい人物など、皮肉の効いたシュールな世界で独特の存在感を放つ。短編映画祭にエントリーした『最悪な一日』が特別賞を受賞。2021年3月には初の著書『最悪な一日』を出版した。