「天体観測が趣味の“宙ガール”が増加中、有楽町のビックカメラで双眼鏡が売れています」――あるニュース番組の特集に「それは違うのでは?」の声が寄せられています。
真実はいかに?
ことの発端は、テレビ朝日系「スーパーJチャンネル」で1月31日に放送された「“宙ガール”の増加で双眼鏡の売り上げアップ」というコーナー。Webサイト「テレ朝ニュース」にもアップされており、動画で見ることができます。
番組では、ビックカメラ有楽町店で双眼鏡の売り上げが6割アップ、特に天体観測を目的とした女性の購入者が増えている――と紹介していました。
この報道に対し、あるTwitterユーザーが「有楽町で双眼鏡を買う女性の多くはミュージカルやコンサートのためでは?」と指摘し、話題を集めていました。
確かに、有楽町ビックカメラの周辺は、目の前にある東京国際フォーラムをはじめ、帝国劇場、東京宝塚劇場など、コンサートホールや劇場の密集地。イベント前に立ち寄って購入するには最適な立地です。
Twitterでも「私もミュージカルのために買った」という体験談が多く見られます。
実際、どうなんですか? ビックカメラ有楽町店で聞いてみました。
「天体観測を目的にしたお客様が増えているのは事実で、売り上げアップにつながっています」
「が、おっしゃる通り、全体で見れば一番多いのは観劇やコンサートの用途ですね。ほとんど……とは言いませんが、かなり多いです」
カメラ用品担当の盛亮太さんはこう話します。
池袋店など他の大規模店ではこの傾向はそれほど強くなく、やはり有楽町店の立地ならではの特色のようです。
来店者の割合で見ると女性の方が多く、5000円前後の入門機から数万円するものまで幅広く売れていると言います。
商品そのものにも「東京国際フォーラム・帝国劇場・宝塚劇場 こちらがおすすめ!」とダイレクトに書かれています。
東京ドームや日本武道館まで、主要な会場の座席図が貼られ、座席の位置に合わせておすすめの倍率を紹介しています。
「直接私たちにご相談くださればもちろん一緒に考えさせていただくのですが、お話するのが好きでない方もいらっしゃると思うので、少しでも参考になるよう掲示しています。チケットを片手に見比べている方も多いです」
直近の主要なコンサート情報も。会場をあいまいにしか覚えていなくても安心です。
「会場に応じて使えるよう、複数台持っている方も多いですね。すでに1台持っているけど違う倍率のものもほしくて、という相談もよくあります。初めての方には、まずは8倍をおすすめしています」
「東京駅に近いこともあって、キャリーカート片手にやってくる方も。土日祝日は午前中から賑わいます」
今回の一件で、大手メーカー、ビクセンのオンラインストアの公式Twitterもこんなツイートを。「天体観測に双眼鏡を使うの?」という声に答えています。
夜空に輝く淡い星の光を見るには、明るさが最重要。同店では、レンズが40ミリ以上の大きなものを推奨しています。
対して、コンサートや観劇目的では、明るさに加えて、軽さや持ち運びやすさが重要です。女性の手でも持ちやすく、見た目がかわいらしいものもそろえています。
カラーバリエーションの多い双眼鏡は、好きなアイドルのメンバーカラーで選ぶお客さんも。
ジャニーズをはじめとするアイドルファンのあいだで購入者が増えているのは、手ブレ補正付きの高機能なもの。視界のブレを抑えることで、お目当ての誰かをより追いかけやすくなる……のです。
昔は狩猟者や航海士などが使うプロフェッショナル向け技術だったものが、この数年で一般化してきました。高機能なだけあってお値段もお高め。一番人気の10倍モデルは約6万円です。「それでも在庫が入るとすぐに売れてしまいます」。
というわけで、最初の問いに戻ると「最近の双眼鏡の売り上げ増に宙ガールの貢献があるのは事実。全体で見ると、支えているのは観劇やコンサートを楽しむみなさん」が正解でした。