「現金出品」はメルカリだけじゃない ヤフオクの対応は?

    現金としての価格は同じでも、記念硬貨やゾロ目紙幣などは“コレクター商品”となりえる。各社の線引きは?

    1万円3枚が3万6000円、1万円4枚が4万7300円――フリマアプリ「メルカリ」に本来の額面価格より高値で「現金」が出品されていると、4月22日頃にTwitterで話題になった。

    現金が売れてる…??? しかも4万円に7000円以上色付けて…?????

    出品者、購入者の意図は出品内容からだけでは読み取れないが「冠婚葬祭など急な出費に」「即日出荷」などの文字が並び、「今すぐに現金がほしい人」向けのようだ。

    「クレジットカードで購入することで、ショッピング枠を現金化しているのでは?」「素人の闇金」といった声もあがった。

    同社は指摘を受け、すぐに現行紙幣の出品を禁止。目視で削除作業をおこなっている。

    同様の事態はメルカリだけではない。

    週明け、24日にヤフオク! は「紙幣および硬貨の出品について、当社が不適切と判断した商品の削除を行う」と発表した。翌25日には、電子マネーや金券商品にも対応すると追記している。

    BuzzFeed Newsは、両社に対応と今後の対策を聞いた。

    「想定外の使われ方」

    メルカリ広報によると、22日にネットで話題になるまで、このような販売方法は「想定していなかった」と話す。一気に拡散したことでいたずらや興味本位を含む出品が増えた側面もあったようだ。

    メルカリは今年2月まで、実際に通貨として使用できる現行紙幣の流通は禁止しており、アンティークのコインや記念硬貨など、コレクションや骨董品として希少価値があるもののみを認めていた。

    現行紙幣を解禁した経緯には、二千円札や、流通数が少ない年度の硬貨、発行番号がゾロ目の紙幣など「希少品として価値があるものを出品したい」というユーザーからの要望があった。

    騒動を受け、現在は現行紙幣の出品は一律で禁止に。出品は目視で監視し、規定違反の商品は順次削除している。

    現金が禁止され、一定額をチャージしたSuicaを実際の金額以上で販売するケースも出てきているようだが、こちらも「換金性が高く、本来の価格とは齟齬がある」と削除対応を取っているとした。

    メルカリが現金の出品規制したら今度はチャージ済みのsuica出品とか草

    ヤフオク! は引き続き「現行紙幣の出品自体は可」

    ことの発端はメルカリだが、日本最大のオークションサイト「ヤフオク!」にも同様の出品は見られる。

    ヤフー広報によると、運営側が現金を額面以上で販売するケースに気付いたのは、先の件がネットで話題になり始めた週末。

    SNSで関連ワードとしての言及数が増え、実際に出品数も増えたという。

    週明け、24日に対応を発表。「このような商品が存在することを認識していなかった。他社の対応を受けてではなく、世論の高まりやサービス内でのユーザーの行動を鑑み、売り場の健全性を保つため対応に踏み切った」と話す。

    メルカリと大きく違うのは、現行紙幣の出品自体は禁止せず「不適切と判断した商品の削除」と説明するにとどめていることだ。

    コレクション性の高い紙幣や硬貨は、一定のファンがいるジャンルであり、取引数も少なくない。「ゾロ目 紙幣」で検索するとと、入札価格7000円の千円札などが出品されている。

    先述の「チャージ済みのSuica」をはじめ、換金性の高い商品は現金だけではない。「コレクション性をどう判断するかは難しい点もある」(ヤフー広報)のも事実だ。

    ヤフオク!内で検索すると、プレミア価格のついた「記念Suica」の出品も多い。単純な額面の価格と、市場で求められる価格が異なるケースは他にもあるだろう。

    「コレクター商品の流通場所を求めるユーザーのニーズには応えつつ、マネー・ロンダリングにつながる方法を野放しにするつもりはない。現在はケース・バイ・ケースの目視確認だが、ガイドラインの変更も含め、ピンポイントに防げるような対応を検討していく」(ヤフー広報)