「ほとんど漫画読んだことないんだけど何かオススメある?」アラフォー上司に推したい漫画を考えた

    「3月のライオン」「かくかくしかじか」を気に入った上司にすすめたい漫画、本気出して考えてみた。

    ある日、副編集長がこんなツイートをしていた。

    【緩募】私はほとんど漫画に触れてこなかったのですが、最近、『三月のライオン』と『かくかくしかじか』を読んでえらく感動しました。この2つが好きならきっとこれもいけるやろ!みたいなオススメをいただけないでしょうか。

    「3月のライオン」と「かくかくしかじか」……いいですよね! 私もめっちゃ好き! 共通点、わかるような気もする。いや、わかってないかもしれないけど。的外れかもしれないけど。何にせよ、こう言われるとすすめたくなってしまう。

    @hyamazaki26 頼んだ!業務命令…!

    というわけで、業務命令を受けて「上司にすすめたい漫画リスト」を作ることにした。読んでもらえますように! リコメンド力が試される!!

    まずは最初の2冊をおさらい。

    「3月のライオン」は、プロの将棋棋士の少年・桐山零をめぐるお話。

    将棋漫画というより、ひとりの少年が生きる中でいろんなものと戦っていく物語だと思ってる。近所に住む三姉妹や個性的なプロ棋士、たくさんのキャラクターが登場してみんなに思い入れちゃう。

    「かくかくしかじか」は漫画家・東村アキコさんの自伝的な作品。

    自分は絵がうまいと自惚れている女子高生と、厳しく愛がある師匠の数年間にわたる関係。笑えて泣ける。仕事がんばるぞ! って気持ちになる。

    おすすめするにあたって、「3月のライオン」が12巻(連載中)、「かくかくしかじか」が5巻(完結済み)なのでその巻数は超えないという縛りをつけてみる。

    いくら面白くても、シリアスな大作や大長編をすすめられても「漫画に触れてこなかった」って前提だと難しいかなという……。

    条件はたった2作なので共通点はどうとでも言えますが「この2冊が好きならこれもいけるやろ!」を独断と偏見で選びます。

    昭和元禄落語心中(10巻、完結)

    将棋も漫画も、娯楽ではなく仕事にした瞬間に、自分の才能に向き合い続けなくてはいけない世界。落語もそういう芸事のひとつ……ということで。

    師匠と弟子の関係、家族のモチーフも共通点かも。完結しているのですすめやすい!上司は落語そのものにはそれなりになじみがあるんじゃないかな〜と思ったのもあります。

    実際の根多(演目)の名前もたくさん出てくるので、気になったものは音で聞けて、漫画の先を楽しみやすいのも推したい。今放送中のアニメもすごく面白いです。

    BLUE GIANT(9巻、連載中)

    地方在住の少年がジャズに目覚めて……というか惚れ込んでいくお話。

    才能や芸事の世界が共通点とするなら、やっぱり音楽がテーマのもの入れたいよね、今すすめるなら盛り上がってるこれかな? ということで選びました。副編集長がジャズが好きなのを知ってたのもある(追加情報を持ってるのはちょっとルールとしてずるいですね)。

    上の2冊に温度が似ていて、音楽がテーマで、完結済みなものだと「坂道のアポロン」(9巻)、「四月は君の嘘」(11巻)あたりもおすすめしたいな〜。

    きのう何食べた?(12巻、連載中)

    少し趣向を変えて、どちらかに寄せた作品にしてみます。「3月のライオン」の魅力の1つは、食事の描写ですよね。おいしそうで食べたくなるし、元気が出る。

    食べ物漫画って、特にこの数年はブームでものすごくたくさんあるのですが、せっかく独断と偏見でおすすめするチャンスならこれを! 絵柄的に女性向け? という印象を受けるかもですが、掲載誌は「週刊モーニング」です。

    とにかく出てくるごはんがおいしそうで幸せになる。単に料理をつくるだけの話ではもちろんなくて、主人公2人はゲイのカップルで、取り巻く環境や周囲の人との関係が変わっていきます。

    よしながふみさんの作品を他にすすめるなら「大奥」「愛すべき娘たち」「こどもの体温」かな……。

    こどものおもちゃ(10巻、完結)

    言わずと知れた少女漫画の金字塔! もし上司に「最近『こどものおもちゃ』読んだよ〜」って言われたらそれだけで好感度が上がってしまいますね!(※個人の感想です)

    小学6年生の子役タレント・倉田紗南をとりまく大人たちと、大人びた子どもたち。彼女が学校で、働く場所で、いろんなことにぶち当たって乗り越えていく。

    心に残るセリフが多くて、ギャグとシリアスの振り幅もすごい。重いテーマにも踏み込んでいて、物語としてとても読み応えがあります。大人になってから読むと、また印象が違う。

    かくしごと(2巻、連載中)

    「かくかくしかじか」と同じ、漫画家を主人公にしたもの。作者は「さよなら絶望先生」の久米田康治さんです。

    一人娘の姫ちゃんに自分が漫画家だってことがバレないようにあたふたしまくる日常もの。つまり、タイトルは「描く仕事」「隠し事」のダブルミーニングです。かわいい。

    漫画本編もユーモラスでハッピーなんですが、合間合間に挟まる、作者本人によるミニ解説「描く仕事の本当のところを書く仕事」が、すっごくいいです。「漫画家という仕事は隠すものです」「売れてるやつが偉いに決まってる」「描きたいものを描かせないのが編集の仕事です」――とかとかパンチが効いてて読んでて楽しい。久米田先生、エッセイ書いてほしい。

    子供はわかってあげない(2巻、完結)

    何がどう共通しているかうまく説明できないんですが、この2冊好きならこれどうかな? とすぐに思い浮かんだひとつでした。「子供はわかってあげない」、声に出して読みたいタイトル。

    ゆるい空気の中で低体温に進むボーイ・ミーツ・ガール。恋愛でもミステリでも青春ものでもあってどれでもない不思議な感じ、会話のテンポも独特で読んでてふわふわする。2巻で鮮やかに完結するのもおすすめしやすい。この記事書くために読み返して好きだな〜と思った。

    そのほか、最初に決めたルールに則ってやめた次点。

    • 「GIANT KILLING」(サッカー漫画だけど、監督にフォーカスして戦術や戦略を描いてておもしろい。現在42巻で連載中なので長さで断念)
    • 「アオイホノオ」(漫画家・島本和彦さんの自伝的漫画。アニメや特撮業界の大御所たちの名前がガンガン出てくる。こちらも現在16巻なので断念)
    • 「SHIROBAKO」(明日も頑張るぞ! と思える最高のお仕事アニメ! 大好き! チャンスがあればいつだってすすめたい!……けど考えてみたらそもそもアニメなので条件外でした)(でも別途すすめよう)

    というわけで6作。どれかがお気に召しますように!

    読者のみなさまも「それならこの漫画も!」があればツイートやコメントで教えてくださいませ!