1月20日(現地時間)、ドナルド・トランプ氏はアメリカの第45代大統領になった。ホワイトハウスの公式サイトでは、トランプ政権の政策一覧が公表された。
就任後の100日以内に公約を実行する、と大統領になる前から宣言してきたトランプ氏。安倍政権の願いは届かず、トランプ政権は初日にTPP離脱を発表した。
その他にどのような政策が今回発表されたのか。一連の政策の名前と内容から最重要のキーワードは「アメリカ第一主義」だとわかる。
大統領就任後は、選挙期間中の過激な発言を控えるのではないかとの希望的な観測もあった。しかし、トランプ大統領は、やはり、トランプ大統領だった。
初日に発表された政策を一部紹介する。
1. ホワイトハウスのトップページに掲げられたメッセージは「アメリカを共にもう一度、偉大な国にしよう」
2. エネルギー政策の名は「America First Energy Plan(アメリカ第一エネルギー政策)」
エネルギー政策において、トランプ政権はアメリカを第一とする方針を掲げている。
* オバマ政権が進めていた気候行動計画やクリーンウォーター連邦法を撤廃
* シェールオイルとガス革命への取り組み
* エネルギー生産からの収入で道、学校、橋など公共インフラを再建
* 環境に悪影響を及ぼさない石炭利用技術に尽力する
* OPEC(石油輸出国機構)や敵意を向ける国から自立し、エネルギー自給の達成に取り組む
* 反テロ戦略の一部として、湾岸の同盟国と協力してポジティブなエネルギー関係を築く
* 環境保護庁の役割を再び大気や水の保護に向けさせる
3. 外交政策の名は「America First Foreign Policy(アメリカ第一外交政策)」
「力による平和」を中心にアメリカを第一に優先することを強調。
* イスラム国(IS)や他のイスラム過激派テロ集団に打ち勝つことを最大優先。必要な場合には共同軍事行動や軍事提携を
* 国際的なパートナーと協力し、テロリスト集団への資金を断ち切る
* 情報共有の拡大とともに、プロパガンダやリクルーティングを遮るためにサイバー戦争を展開
* 軍の再編
4. 雇用政策の名は「Bringing Back Jobs And Growth(雇用と成長をアメリカに取り戻せ)」
トランプ政権は、2500万人の新たな雇用と経済成長率4%を取り戻すのを計画している。就任式前に自身のサイトで掲げていた公約では、経済成長率を3.5%と目標付けていたところを、上げている。
* 税制改革でアメリカの労働者とビジネスを支援
* 各税率区分にいるアメリカ国民の税率を下げ、税法を単純化し、法人税率を削減する
* 連邦規制の一時禁止を提案
* アメリカの貿易相手国が、違法もしくは不公平な取引慣行をしないように、アメリカが真剣であることを見せる
5. 国防政策は「Making Our Military Strong Again(我々の軍隊をもう一度強くする)」
軍の再編と退役軍人への医療サービスなどのケアを重視。
* 最高レベルの軍事的緊張を追求
* 将来的な国防にとって必要なものが何か、我が軍のリーダーたちが計画するための措置を講じる。
* 最先端の防衛システムを開発し、イランや北朝鮮などからのミサイル攻撃を防ぐ
* サイバー上での攻撃・防御能力を開発するためサイバー戦争の優先度を高める
* 最高の医療ケア、教育とサポートを軍人と彼らの家族に保証
* 退役軍人が必要なケアを必要なときにいつでも提供できるようにする
* 21世紀の軍人、そして女性退役軍人に応じた退役軍人省の改革
6. 治安政策は「Standing Up For Our Law Enforcement Community(我らの警察当局を擁護する)」
犯罪や暴力をなくすために、警察官の力を拡大。法と秩序の政権だと主張している。
* 凶悪犯罪の削減
* どの司法制度の段階でも、 憲法修正第2条(個人が銃を持つ権利)を支持する
* 不法移民、暴力団や暴力、そして麻薬を防ぐために国境に壁を作る
* 国境法の強化や不法移民を保護する法律を排除し、無法状態になっている不法移民の流れを阻止
* アメリカにいる凶悪犯罪の前科がある不法外国人を国外退去させる
7. 経済政策は「Trade Deals Working For All Americans(全てのアメリカ人のための貿易交渉)」
トランプ政権は、貿易で大事なのはアメリカ労働者とビジネスを優先することだと述べている。経済成長と雇用を拡大するのに、アメリカ全国民のための貿易協定を重視。
* TPPからの離脱
* 新たに協定を結ぶ時には、貿易条件がアメリカの労働者の利益にかなっていることを確かめる
* 北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉への取り組み
* 貿易協定に違反する国を厳重に取り締まる
訂正
「経済連携協定」としていたのは「環境保護庁」の誤りでした。訂正いたしました。