世田谷の「声かけ写真展」で少女写真を販売 主催者はアダルトサイト運営も

    批判が殺到した。

    中年男性が小・中学生の女子に声をかけて写した写真の展示会「声かけ写真展」が、物議を醸している。東京・世田谷で開催されたこの展覧会では、これらの写真が展示・販売された。被写体の許可を得たものなのか、わいせつ性はないのか。BuzzFeed Newsは主催者に取材した。

    公式サイトでは、街角で遊ぶ少女に声をかけ写真を撮る行為について、「30年前にあった、ひとつの写真文化」と説明している。

    声かけ写真はフィルム式コンパクトカメラが普及した1970年代から数十年にわたりアマチュア写真家に好まれたテーマで、中でも街角に遊ぶ少女は格好の被写体でした。

    少し昔のノスタルジーを感じてみたり、普遍的な子供の世界を楽しんでみたり、現在撮影を楽しんでいる人には制作のあり方に驚きと新しいヒントがあることでしょう。

    少女写真界隈では十分な知名度のある作家を一同に介し、この規模で合同少女写真展を開催することは過去例がありません。

    しかし、見知らぬ少女に声をかけて写真を撮り、それを販売する行為に対し、ネット上で批判が巻き起こった。

    文化が未成熟で、肖像権や防犯意識が希薄だっただけ」「昔から事案扱い

    販売された写真がネットにアップされ拡散することを懸念する声もあった。

    BuzzFeed Newsは会場側と主催者の双方に取材した。

    会場を貸し出したIID 世田谷ものづくり学校の永井光浩事務局長は、主催者側から「街の風景に溶け込んだ子供の写真を展示したい」と説明を受けたと話す。

    過去に写真集の販売や、展示会を開いた実績について説明を受け、「昭和時代に撮影したスナップ等々の写真を展示するという話だった」。

    事前に写真サンプルをチェックした。企画担当者は「パンツが写っている写真がありおかしいと思った」が、街と子供の写真という説明だったため、「変な連想を起こすような写真の展示は無理」と忠告する程度だったという。

    写真を販売する説明は「なかった」という。「販売されている事実は、皆さんのメールや苦情でわかりました」

    BuzzFeed Japanは主催者に取材するため、連絡先を探した。IID 世田谷ものづくり学校のサイトにあった、声かけ写真展を紹介するページの問い合わせ先メールアドレスのドメインにアクセスすると、アダルトサイトにつながった。

    ものづくり学校側は、この事実を知らなかったといい、「確認が甘かった」と話す。

    BuzzFeed Newsは主催者の株式会社「土」の福田信哉代表に話を聞くことができた。

    福田代表は、アダルトサイトを「土」が運営していることを認めたうえで、「声かけ写真展は全く違うプロジェクト」と述べた。

    ーーどのような写真を展示・販売していたのか。

    「主に女児。目線が来ている写真しか展示していない。被写体が撮られているのに気づいていないっていうものは展示していない」

    ーーしかし、会場には少女の顔が写っていない写真も展示されていた。

    「それらは目線が来ている他の作品との連作だ」

    ーー水着写真などもあったが、わいせつ性はないのか。

    「わいせつかどうかは司法が決めること。水着は着衣と理解している」

    ーー少女を撮影する際、承諾を得ていたのか。また、誰の承諾だったのか。

    「子供には聞いている。親はケースバイケースだと思う。実際撮った現場に親がいれば、許可を取っていると思う」

    ーー子供だけの「許可」は「許可」と言えるのだろうか。

    「子供だけに承諾を取っていたとしても、子供には自己決定能力が定まっていない、と言われると、取っていないに等しいとみなす方もいるだろう」

    ーー販売の許可も得ていたのか。

    「写真販売の承諾は得ていない」

    ーーでは、なぜ写真展で販売したのか。

    「遠足とか運動会が終わった後に、写真がバーっと壁に貼られて、番号が書いてあって、学校が焼き増すのがありましたよね?あれを、もう一回思い出してくださいという展示物の一部だったんで。金儲けとかの意味合いではなくって、あくまでもノスタルジーを感じてもらうというものが主旨だった」

    ーー入場した人にデータで写真を配っていたという話もある。

    「無料配布の小冊子がなくなり、配れなかった方にはデータとしてPDFで配布した。ダウンロードするためのパスワードを口頭で伝えた」

    ーー電子データは拡散の危険性が高まる。その点をどう考えるのか。

    「もし来た人以外に出回ったとしたら、それは、そこで得てダウンロードした人が公表したことしかありえない。もし写真が外に出たとしたら、それは拡散してしまった方の責任だとこちらは認識している」

    ーー被写体の本人や家族から苦情があったら、どう対応するのか。

    「被写体の方の納得される形にします。売るなって言われたら売りませんし、賠償という話になったら、それは応じます」

    IID 世田谷ものづくり学校 事務局は5月10日午後、以下の声明書をサイトに発表した:

    2016年5月4日から8日にかけて、当施設のレンタルスペースを利用し、開催されました展示につきまして、皆様から多くのご意見を頂いております。

    今回は、レンタル内容に関する当施設の事前確認が不十分であったことから、主催者側へ展示を許可してしまったという経緯がございます。

    IID 世田谷ものづくり学校を運営・管理する株式会社ものづくり学校では、今回の件を深く受け止め、多くの皆様に不快を与える内容の展示を許可したことに関して、深くお詫び申し上げます。
    また、不快な思いをされた方々へ深くお詫び申し上げます。

    尚、皆様からのご意見の中で、会期終了後も展示物が販売されているという情報を頂きましたが、現在は主催者に申し入れをおこない、販売は即刻中止させました。

    今後はこのようなことがないよう、当施設レンタルスペースでの利用に関する事前審査をより厳格に行なってまいりますので、ご理解のほど宜しくお願いいたします。