「関わる人が皆ポジティブになれる」 塩谷朋之さんに聞いた顔ハメ看板の魅力

    穴があったらハマりたい。

    人には誰しも趣味がある。

    会社員の塩谷朋之さん(33)の趣味は看板の穴に顔をハメることだ。塩谷さんの投稿した写真が注目され、ついには本になった。観光地などでよく見かける顔ハメ看板の魅力とは。塩谷さんが顔ハメ看板にハマったきっかけとは。BuzzFeed Newsが塩谷さんに聞いた。

    その数、10年で2400枚

    10年前、塩谷さんは旅の思い出として顔ハメ看板を写していた。

    「旅行に行って顔ハメ看板があったら写真を撮ってもらう—最初の2、3年は何も意識しないでいました」

    本格的に興味を持ち始めたのは、伊豆大島のとある看板との出会い。「お店のおばさんが嫁いだ30年前からあったと言っていて、ボロボロだけどすごく味のある看板でした。作った人がおばさんが嫁いだ先のお義父さんで、もう体を自由に動かせない。『この看板が壊れたら終わりです』と聞き、今撮らないともう会えないと思うようになりました」

    それ以来、「ただのパネルだった看板から、どんどん穴が見えてくるようになったんですよ」と話す。

    塩谷さんが10年間で撮った日本国内そしてアメリカや台湾など海外の顔ハメ看板写真は約2,400枚。最近だと年に400枚近くの看板にハマっているという。

    ネットや人からもらった情報をGoogleマップに記録し、会社帰りや休日に顔ハメ看板を探しに行くという。あらゆる場所で顔ハメ看板を見てきた塩谷さん。最も意外だったのは、観光地でも名所でもなく、駐車場や無料案内所といったなんでもない場所にまで、顔ハメ看板があったことだと話す。

    実際、一人で顔ハメ看板を撮る時の様子を塩谷さんに見せてもらった。

    セルフタイマーをセットし、看板の方へと急ぎ穴に顔をはめるのだが……

    次の顔ハメ看板は2人用。

    裏面を見てみると、写真を撮る間に転ばないよう、取っ手が付いている。

    塩谷さんの写真をよく見てみると……

    本の出版に際しまして、西荻窪にあります旅の本屋のまどさんにて、トークイベントをやらせていただくことになりました。9月10日です。お時間ありましたら是非。 http://t.co/GCWLulNsrJ

    どれも、

    顔ハメ看板トークショーにお越し下さった方、来ようとしてくださった方、ありがとうございます。会場の顔ハメ、自分のカメラで撮影するのを忘れていたので、家に帰って再組み立て。また何かやる時に持って行きますので、見かけたらハマってください。

    これも、

    昨日から北陸顔ハメ旅行に。富山市ファミリーパークさんは看板の置き方まで工夫してあって素敵です。目当ての看板が一枚無くなっていましたが、七枚新設されているという謎のフィーバーが。

    無表情だ。

    横須賀美術館さんで開催中の、長新太さんの脳内地図展にはスケールの大きい看板が。20代前半くらいの女性が、お父さんにスマートフォンの操作を一生懸命説明して撮ってもらおうとしていて、お父さんのアタフタ振りにこちらも手に汗握りました。

    無表情で写る理由について塩谷さんは説明する。「僕は顔ハメ看板が主役だと思っているのに、あまり自分を主張しないでハマるように心がけています」

    「ただ埋めているだけなんです、空間を」

    看板にハマるときには、看板に敬意を払うのに心がけていることがあるという。「メガネを外すのはマナーみたいな感じがします」。また、アルコールが入るとどうしても表情が出てしまうため、看板にハマる前には一切飲まないという。

    「最期は死ぬ時に穴付きの棺桶に入って、そこにある穴にハマる」