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世界ランク下がり続ける日本の「報道の自由」 評価方法を知っていますか?

自由は測れるものなのか。

NGO「国境なき記者団」が公開した「報道の自由度ランキング2016年版」が話題だ。日本は180カ国中72位と前年から11もランクを下げた。このランキングはどうやって順位をつけているのか。日本の評価が下がる理由は。

ランキング公開後、朝日新聞日本経済新聞NHKは、報道の自由が大きく後退していると、ランキングを引用する形で報じた。

一方、菅義偉官房長官は、21日の記者会見で、「どういう基準、判断か全く承知していないが、わが国で表現の自由、報道の自由は極めて確保されている」と述べた。(時事通信

そもそも、このランキングはどのようにして作られているのか。

関係者が答えるアンケート

国境なき記者団のサイトによると、ランキングを作るために、180カ国のメディア専門家、弁護士、社会学者にアンケートが配られている。

アンケートは87の質問から構成されている。以下のようなものだ。

「権力者がメディア関係者の解雇を強制するのは、どれくらい簡単か」

「ジャーナリズムを学ぶ学生に、批評的判断を養成するトレーニングはあるか」

「メディアは一般市民が持つ様々な意見を反映しているか」

「どのように報道の自由、情報の自由、表現の自由は保障されているのか」

そして、こんな数式で計算する

この数式にある「scorePlur」や「scoreInd」などは、報道の自由に関する7つのカテゴリーを意味するものだ。87の質問への回答をもとに、それぞれのカテゴリーを配点0〜100で評価する。7つのカテゴリーは以下の通り。

1. 多元論(scorePlur):意見がいかに報道で表されているか

2. メディアの独立(scoreInd):政治、政府、ビジネス、宗教の権威と影響に関係なく独立に機能しているか

3. 環境と自主規制(scoreEA):ニュースや情報提供者が運営している環境の分析

4. 法制度(scoreCL):ニュース・情報を統治する法制度の影響力

5. 透明性(scoreTra):ニュース・情報の制作を左右する組織や手順の透明性

6. インフラ(scoreInf):ニュース・情報を支える基盤の質

7. 不正・暴力行為(scoreExa):ジャーナリストやメディアに対する不正・暴力行為

なぜ、SCOAとSCOBという2つの数式があるのか。それは、権力者によって報道が規制されている国が上位に入らないようにするためだという。

1〜6に基づいてSCOAを算出。さらに、7の「ジャーナリストに対する不正や暴力(scoreExa)」の評価を加えたSCOBを算出する。このscoreExaは、プロ、アマ問わずジャーナリストが投獄されている期間などで数値が決まる。

両方の数値のうち、数字が大きい方がその国の評価として採用される。100点満点中、0が最良、100が最悪だ。

スコアの評価分布は、下記の通り。カッコ内の色は、地図で表示されている色を指す。

0ー15:良い (白)

15.01ー25: まあまあ良い (黄色)

25.01ー35: 問題あり (オレンジ)

35.01ー55: 悪い (赤)

55.01ー100: 非常に悪い (黒)

2016年の日本の評価

日本の報道の自由度は、昨年の61位から72位へと一気に下がった。また、スコアも「問題あり」の28.67となった。報告書の中で、日本に関するページは「『国家機密』にはちょっかいだすな」と題され、こう記されている:

世界で最も力を持っている国の中に入る日本のメディアは、何を報道するのにも自由である。国家機密以外は。やや曖昧な国家機密は、ジャーナリストが調査するのを妨げる、とても厳しい法によって保護されている。福島の原発被害、皇族の私生活、そして日本の防衛—全て「国家機密」なのだ。

どのカテゴリーが何点だったのかなどの詳細は、このページでは公表されていない。

「報道の自由度ランキング」が始まった2002年から現在までの日本のランキング推移は下記の通り。