「同性愛は個人的趣味」 支援を疑問視する杉並区議の発言に批判

異性愛が趣味ではないように、同性愛も趣味ではない。

杉並区議会の動画から Via suginami.gijiroku.com

東京都杉並区の小林ゆみ区議が「同性愛は個人的趣味」「自治体が時間と予算を使う必要があるのか」などと議会で発言した。これに対し、当事者たちから「趣味の話ではない」などと反発が出ている。

小林議員の発言は2月15日の杉並区議会で出た(8分20秒から)。定例議会で区への質問に立った小林議員は「性的マイノリティについて質問をします」と述べて、次のように発言した(抜粋、全文は記事末尾)。

「レズ・ゲイ・バイは性的指向であるのに対し、トランスジェンダーは性的自認であり、医師の認定が必要である明らかな障害であると言えます。トランスジェンダーの方は法律的に保護する必要があり、世間的な目からの誤解を解かねばなりませんので、彼らの人権のために区が啓蒙活動をするのは問題ないと考えます」

「そもそも地方自治体が現段階で、性的指向、すなわち個人的趣味の分野にまで多くの時間と予算を費やすのは、本当に必要なのでしょうか」

小林区議は、このようにトランスジェンダーと同性愛者を区別し、行政による後者への支援を疑問視した。

区議会後にアップした自身のブログでは、こうも書いている。

「レズ、ゲイ、バイは性的指向(好み)、トランスジェンダーは性的自認(障害)であるという大きな性質の違いがあるため、私はそれらを一括りにすること自体に疑問を抱かざるを得ません」

「性的指向は選びとれるとの誤解は本当に多い」

これに対し、同性愛の当事者らからは批判の声が上がった。

ゲイであることを公表して活動している豊島区の石川大我区議は「性的指向はほぼ生得的なもので、個人的趣味ではない。誤り。性的指向は選び取れるとの誤解はほんとうに多い」とツイート。

レズビアンの立場から発信している村田悠のブログも小林区議の発言を取り上げた。

「正式な場所だからこそ差別的なニュアンスも持つ”レズ”ではなくて”レズビアン”と呼んでほしい」「同性愛、バイセクシャルは趣味でないってところだけでも認識してほしいです。そんなほいほいやめられないから、頑張っていきやすい道を探してるんですし」

同性愛や両性愛は、異性愛と同じく「性的指向」の一つ。同じ読み方をする「性的嗜好」が性に関する好みや趣味的な意味を持つのと異なり、「性的指向」は生まれついてのものとされる。

異性愛の男性が女性を、女性が男性を愛するように、同性愛の男性は男性を、女性は女性を自然と愛するようになる。趣味や好みを意味する「嗜好」ではなく、初めからその方向に向かっていることを示す「指向」という文字が使われる所以だ。

国連人権理事会は2011年6月、「人権、性的指向および性同一性」に関する決議で、性的指向と性同一 性障害を理由にしたすべての暴力や差別行為の対策に取り組む姿勢を明確にした。この決議には日本も賛成している。

日本は性的少数者への差別が少ない国?

また、小林議員はアメリカやロシアでの同性愛への差別や、同性愛を犯罪行為と認定している国がある中東やアフリカを例に挙げ、「日本は性的マイノリティへの差別が少ない」と指摘した。

しかし、日本の法務省サイトでは「内閣府の人権擁護に関する調査」をもとに「差別的な言動」「職場や学校などでのいじめ」などの事例を取り上げ、こう訴えている。

同性愛者,両性愛者の人々は,少数派であるがために正常と思われず,場合によっては職場を追われることさえあります。このような性的指向を理由とする差別的取扱いについては,現在では,不当なことであるという認識が広がっていますが,いまだ偏見や差別が起きているのが現状です

こうした性的指向や性同一性障害を理由とする偏見や差別をなくし,理解を深めることが必要です

小林区議が同性愛差別が根強い国として例に挙げたアメリカでは昨年6月、最高裁がアメリカの全州で同性婚が合法だという判決を下している。


小林区議の性的少数者に関する質問全文

杉並区議会・小林ゆみ議員(自民・無所属・維新クラブ)

最後に性的マイノリティについての質問をします。

昨年に実施された電通総研の調査によると、日本人の約13人に1人が性的マイノリティであるという結果が出ています。今までよりもそう言った話題が俎上に登ることが多くなったこともあり、区としても実態把握に努める必要があるのではないか、と思えるほどに性的マイノリティの人権を守るための運動は日本でも広がってきています。

同性パートナーシップに関する渋谷区の条例、世田谷区の要綱はその象徴といえるでしょう。ただし、これらは憲法24条、94条に違反している疑いが強いことが指摘されています。

確かに性的マイノリティの方々のアパート入居、病院での面会などの不利益が存在するのであれば、彼らの苦しみを取り除き、彼らを救済する必要があります。しかし、それら個々の問題が発生した時には、それらに対する個別の運用で十分に対応が可能ではないでしょうか。例えば、アパート入居や病院での面会権を家族以外にまで広げることは不可能ではないですし、財産に関する問題は公証人役場で遺言、公正証書を作成すれば、新たな条例などは不要です。また、家族ではないから、といってアパート入居や病院での面会を断られる問題は本当に多く発生しているのでしょうか。

現在、日本には性的マイノリティ向けの心理カウンセラーや同性結婚式を行う神社や結婚式場、性同一性障害の患者を積極的に診察する病院が存在します。さらに厚生労働省が精神障害者保険福祉手帳から性別欄を削除するなど、性的マイノリティに配慮した対応が国内ですでに進んでいます。このように日本は他国に比べると、性的マイノリティに対して、目に見えた差別が少ない国であると言えます。

例えば、アメリカではキリスト教の教えによって同性愛は罪とされているため、同性愛に対する差別が根強くあります。また、ロシアでは、2013年に同性愛宣伝禁止法が定められ、去年は動画サイトのYouTubeで同性カップルが手をつないで歩いているだけで、周囲の人々がそのカップルに対して暴言を浴びせたり、殴りかかってくる動画が2日間で200万再生され、話題となりました。

さらに中東やアフリカには同性愛自体が犯罪行為とされており、死刑を含む刑罰で罰せられる国も存在します。そのため日本では、性的マイノリティへの差別は比較的少ないと言えます。しかし、それは裏を返せば、国民が彼らについての正しい知識を持っていないという裏付けでもあります。

そのため、ここで整理をしておきたいのですが、レズ・ゲイ・バイは性的指向であるのに対し、トランスジェンダーは性的自認であり、医師の認定が必要である明らかな障害であると言えます。トランスジェンダーの方は法律的に保護する必要があり、世間的な目からの誤解を解かねばなりませんので、彼らの人権のために区が啓蒙活動をするのは問題ないと考えます。また、トランスジェンダーの方は、障害であると認められているからこそ、性別を変更できるなどの法的な救済策が定められています。

それに対し、レズ・ゲイ・バイは性的指向であり、現時点では障害であるかどうかが医学的にはっきりしていません。そもそも地方自治体が現段階で、性的指向、すなわち個人的趣味の分野にまで多くの時間と予算を費やすことは、本当に必要なのでしょうか。その前提に基づき、幾つか質問をしていきます。

杉並区男女共同参画行動計画においては、性的少数者(性同一性障害者等)と記載されていますが、ここでいう「等」には具体的に何が含まれているのでしょうか。うかがいます。

また、関連して杉並区男女共同参画行動計画は今年改定されますが、そこでは性的マイノリティについて、どのように表現されるのか、うかがいます。

杉並区は性的少数者とひとくくりに表現していますが、本来、レズ・ゲイ・バイとトランスジェンダーは本質的に異なるため、区別されなければなりません。実際に私の友人のトランスジェンダーの方に話を聞くと、レズ・ゲイ・バイとひとまとめにされることには抵抗があるとのことでした。そのため、区はレズ・ゲイ・バイとトランスジェンダーは異なるものであると周知し、LGBTや性的少数者という性的指向と性的自認をひとまとめにした表現を改めるべきだと考えますが、区の見解はいかがでしょうか。

障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律が今年4月1日から施行されますが、性同一性障害の方々は対象になるのか、杉並区の見解を問います。

最後の質問となりますが、杉並区は今後も性的マイノリティの人権を守る活動を続けていくのでしょうか。また、杉並区は今後、渋谷区の条例や世田谷区の要綱のようなものを出すことがありうるのかうかがいます。

以上、性的マイノリティに関して幾つか質問させていただきましたが、それはトランスジェンダーである私の親友がここ最近のLGBTに関する運動の盛り上がりに不信感を抱いており、「自分はカムアウトはしたくないし、そもそも世間にここまで大きく、性について取り合げて欲しくない」という彼女の言葉を聞いたことがきっかけでした。

多様な思想や個性を持つ私たちが共生していくにあたり、身近に性的マイノリティの方々がいるということを認識することは重要です。その上で、マジョリティ側がマイノリティの気持ちを理解し、その気持ちに寄り添うことで、様々な状況が改善するはずです。

ただ、そこで注意すべきこととして、マイノリティを助ける側の人々が、人助けをしようという気持ちが過剰に膨らみ、上から目線となり、マイノリティの方々に差別的な目線を送っている可能性があります。また、その逆のパターンで、マジョリティの力よりもマイノリティの力が大きくなり、マジョリティ側を迫害する構図が生まれることも考えられます。

実際にアメリカのコロラド州では、キリスト教の信仰から同性婚のためのウエディングケーキの販売はできないと断った洋菓子職人の男性が、日本円にして約1700万円の賠償金支払いを命じられたという事例があります。洋菓子職人の男性は同性カップルにウエディングケーキを作ることを強いることは、信教の自由と言論の自由を迫害していると主張したにもかかわらず、訴訟に負け、自身の宗教的信条を否定される苦痛を味わうことになりました。

海外ではこのような性的マイノリティによる、過剰な人権訴訟が増えており、敗訴した企業や店舗は営業停止に追いこまれるなど、本末転倒なケースが少なくありません。性的マイノリティ支援において本当に重要なことは彼らが本当に求めていることは何であるのかを見極め、一人一人にあった対応をすることです。それにもかかわらず、結果的に差別のなかったところに差別が生まれてしまうという逆説的な結果が生まれてしまうこともあります。

すべての人がマジョリティに対してもマイノリティに対しても思想・信条の自由を侵害しないことを願い、私の一般質問を終わらせていただきます。

(拍手)




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バズフィード・ジャパン 創刊編集長
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