閉会式に撮られた、日本選手とカナダ選手の、1枚の写真。ここには、ある物語があった。
きっかけは、19日の男子50キロ競歩で起こった「トラブル」だ。
残り1キロあまりの勝負所。日本の荒井広宙と、カナダのエバン・ダンフィーの銅メダルをかけた激しいデッドヒート。ダンフィーは荒井を抜く。荒井が抜き返す。その瞬間、二人は接触。ダンフィーは、バランスを崩し、4位に後退。そのままゴールした。
レース後、カナダ陸連が抗議し、荒井に失格が言い渡される。しかし、納得できない日本陸連はその裁定にさらに抗議。世界陸連による1時間を超える協議の末、荒井の3位が確定。ダンフィーの手から、銅メダルは滑り落ちた。
本来ならば、さらに不服を申し立て、上訴してもおかしくない状況だった。しかしダンフィーは「お互いぶつかることは競歩ではよくあること。競技の一部だと思ってます」とコメント。裁定を受け入れた。