「週3日は会社員、残りの週4日でダンスをしています」
「仕事はとても楽しかったです。ただ…」
「会長に『ダンサーとしてのビジョンを語れ』と言われたんです。でも、私が語れたのは5年先まででした」
ダンサーとしては5年先をイメージするのが精一杯。その先は考えられなかった。
「ダンサーとして10年先のことを考えるのって、怖いことなんですよね」
20代半ばからトップダンサーを目指すのは難しい。30代、40代になってもプレーヤーとして第一線で活躍する姿は想像できなかった。
どのようにダンスと向き合っていきたいのか、悩み続けて1カ月。ひとつの考えにたどりついた。自分はただ踊りたいのではなく、ダンサーが活躍できる場を広げたいのだ、と。
「ダンス業界を発展させたい。そのためには、ビジネスの知識が不可欠だと思い当たったんです」
このとき初めて、仕事とダンスの両方を続けることが自分の強みになるのだと気が付いた。
「『週3日なら働けます』と社長に伝えました。まさかそれが受け入れられるとは思っていませんでしたけど」
「仕事の成果目標は、週5日勤務のときと変えていません」
勤務時間が減ってからも、変わらず成果を出し続けている。その背景には、働き方の工夫にあった。
・生産性のよいタスクに注力する
まずはじめに、業務を一つひとつリスト化した。それぞれにかかる時間を書き出すと、生産性のよい業務が見えてきた。
その生産性のよい業務を担当することにし、その他は別の人にお願いすることに。そうしてチーム全体のパフォーマンスを最大化していった。
・思いきって、人を頼る
営業日のうち2日は不在になる勤務形態。すべてを一人でこなすのは難しい。
大切なのは「いかに人に協力してもらうか」。ひとりよがりになることなく周囲のメンバーと連携し、人を頼れる環境づくりを整えていった。
・自分が掲げた目標は必ず達成する
週5勤務の状況と比べれば、後輩を育成するチャンスがなく、新しい仕事を与えられづらい。つまり、キャリアアップが難しい。
だからこそ、「一度目標に掲げたことは、必ず達成する」ことにこだわる。実績をつくることで、信頼を得る努力を怠らない。週3日勤務なりのキャリアアップの方法を模索しているのだ。