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太平洋の真ん中に大量のプラスチックごみが集まる海域、急速に拡大

太平洋上に、海流に運ばれた大量のプラスチックごみが集まる海域がある。その面積はフランスの3倍におよび、ごみの量も急増しているため、研究チームは警鐘を鳴らす。

太平洋に浮遊するプラスチック等のごみの量が急激に増え、その広がりはフランス面積の3倍にもおよぶことが 最新の論文 で報告された。

ごみが広がっている海域は「太平洋ゴミベルト」(The Great Pacific Garbage Patch、GPGP)と呼ばれる。これはある一か所にごみが堆積して留まっているわけではなく、ハワイとカリフォルニアの間の広い海域に、海流で運ばれたごみが大量に集まった状態を指す。域内の中心にいくほどごみの量は増える。

プラスチックごみには、かなり大型のものもあれば、マイクロプラスチックと呼ばれる微細な破片もある。

論文によると、世界で生産されるプラスチックの約6割は海水より密度が小さく、海へ流れ出ると浮遊し、表層の海の流れや風で運ばれる。太陽光や風、波を受けて細分化され、海底に沈むプラスチック片もあるが、多くは海上に残る。

今回の調査では船舶30隻と飛行機2機を用い、3年かけてごみによる汚染状況を追った。その結果、ごみの量は過去の調査による推定よりも最大で16倍増えており、フランスの面積の3倍におよんだ。重量にするとジャンボジェット機500機分に相当するという。

調査はNPO「オーシャン・クリーンアップ」(The Ocean Cleanup)が米国、ニュージーランド、英国、フランス、ドイツ、デンマークの研究者と共同で行い、論文は科学誌「Scientific Reports」に発表された。オーシャン・クリーンアップはオランダ人のボイヤン・スラット氏(23)が高校生のときに立ち上げたプロジェクト。

ごみは海流によって広く海の上を移動するが、今回の調査では多くがアジア地域から流れ着いたか、太平洋での漁業活動で出たごみだったという。

太平洋ゴミベルトに浮遊するごみの46%は捨てられた漁網だった。こうした漁網がクジラやアザラシ、その他の海洋生物に絡みついてしまう。

また、論文では、最大で20%が2011年の東日本大震災で起きた津波で流されたごみだとしている。

研究チームは今回のデータから、「一帯のプラスチックごみの量は急増しており、周辺海域とくらべて早いペースで増加している」と指摘する。

この記事は英語から翻訳されました。翻訳:石垣賀子 / 編集:BuzzFeed Japan