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パパにこそ知ってほしい。"罪"を背負った父が全国に広げた斬新な「遠足」

考えたのは、Twitterから生まれた「#ゆるゆるお父さん遠足」。いま、全国に広がっている。

パパ友がほしいーー。

その思いから生まれたTwitter発の交流イベントが、全国で広がりを見せている。

公園に集まるのは子どもを連れた父親たちで、各々が思い思いの時間を楽しむ。そこに母親の姿はない。

全国にいる父親たちが共感したのは、父親が抱えがちだという事情と、そのイベントの「ゆるさ」。なぜ発案され、魅力的に捉えられているのか。

Kensuke Seya / BuzzFeed

イベントは「#ゆるゆるお父さん遠足」。

発案者である男性が2018年7月、Twitterで次の投稿をしたのがきっかけで、生まれたものだ。

ツイートしたのは子育てとーさんさん(42歳、@kosodate10_3)で、5歳の長男、2歳の長女を育てる父親だ。当時、父親同士のリアルなつながりがないと感じていた。

「パパ友」ができない父親たち

子どもと一緒に公園で遊んでいると、子連れの父親を目にするのだが、話しかけにくいのだという。BuzzFeed Newsにこう話す。

「子育てに対するスタンスが、わからないんですよね。休日に奥さんから『あんた公園に連れてってよ』って言われている人なのか。『行ってくるわ』って子どもを率先して連れて来ている人なのか」

スタンスがわからないが故に、話しかけて良いのか、何を話せば良いのかを考え、結果として話さないで終わってしまいがちだというのだ。

それは、子どもが通う幼稚園や保育園でも同じ。子育てに主体的に関わる父親がまだまだ少ないとされるからこそ、「パパ友」がなかなかできないのだという。

Kensuke Seya / BuzzFeed

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何かつながりを持てる場があれば。そう考えた子育てとーさんさんは、先出のツイートをした。すると、同じ思いを持った父親たちは少なくなかった。

「せっかくならやろうかな、と。たとえ誰も来なくても、子どもと楽しく遊んで帰ろうと思っていました」

2カ月後の2018年9月、東京都の井の頭自然文化園で「#ゆるゆるお父さん遠足」を初開催した。

そして、Twitterでの告知をもとに集まった、子連れの4人の父親が顔を合わせた。

最大の魅力は「ゆるさ」

Kensuke Seya / BuzzFeed

こういった交流の場がもっとあったほうが良い。そう思ったのは、子育てとーさんさんだけではなかった。

2回目の遠足を主催したのは、初回に参加できなかった、ぐでちちさん(38歳、@gude_chichi)だった。魅力的に感じた理由をこう話す。

「参加表明は自由ですし、いつ来て、いつ帰っても良い。子どもを遊ばせているので、ちゃんとした自己紹介もできなければ、難しい話もできない。そのゆるさが逆に良いな、と」

Kensuke Seya / BuzzFeed

参加者の家庭は、専業主婦(夫)世帯や共働き世帯でバラバラ。年齢や仕事が違えば、もちろん経済的な豊かさも違う。家庭の子育てに対するスタンスや考え方も異なる。

共通項は、幼い子を育てる「父親」であり、「父親同士のつながりがほしい」との思いがあること。

そして、参加者であることを示し、「今は話しかけても大丈夫」のサインとなるリストバンドを腕につけていることだけだ。

Kensuke Seya / BuzzFeed

それぞれのバックグラウンドや、妻や子どもとの向き合い方を無理に聞くこともない。そんな堅苦しくない「ゆるさ」が「#ゆるゆるお父さん遠足」たらしめる所以であり、良さだという。

「子どもがあっち行ったりこっち行ったりで、どうしても挨拶くらいしかできないこともあるんですよ」

「それでも、Twitterのつながりから、リアルな友だちになれるかもしれない。そのきっかけを与える場として、すごく価値があると思っています」

「気負わずに参加できる」

Kensuke Seya / BuzzFeed

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「#ゆるゆるお父さん遠足」のHPにはこう書いてある。

お父さんたちが気軽に声を掛け合える そんな世界があってもいいよね

子育て以外の話を深く知り、仕事を意識してしまっては「気軽さ」がなくなってしまう恐れがある。

実際、5月18日に東京・日比谷公園での遠足を取材したが、父親同士はニックネームで呼び合い、本名や会社名、職業を知らない人がほとんどだった。

途中参加の親子は多く、「こんにちは。Twitterを見て来ました」と気を張らずに場に溶け込んでいく。

子どもたちは、自然とお父さんたちと一緒に無邪気にはしゃぎ、静かに子どもを寝かしつける父親もいれば、積極的に子育ての悩みを相談している父親もいた。

変に詮索を入れず、誰でも気楽にいられる居心地の良い空気感があった。「ゆるさ」はいろんなところに見られた。

Kensuke Seya / BuzzFeed

1回目の会から、2歳の長男とともに参加する着太郎さん(38歳、@192study)も「ハードルの高さを感じさせないところ」が良さだと話す。

「会社名や肩書きをアピールはしないから、自分のバックグラウンドを気にせずに育児のことだけ話せるのは気が楽で」

「父親たちは、育児についての明確なロールモデルがまだまだありません。そんな父親たちを受け入れる会であり、気負わずに参加してコミュニケーションが取れるんですよ」

共感を生み全国に

Kensuke Seya / BuzzFeed

「#ゆるゆるお父さん遠足」の目的は、「ネットを超え、リアルな場で他の父親とつながりたい」だけではない。

「お父さんの子育てが普通の事となるようにしたい」「パートナーに自由時間を」との思いもある。

そんなイベントはいま、共感を呼んで全国で開催されている。

撮影した写真の取扱や、食事を含む子どもの安全を守るなどの注意点を守れば、誰でも主催者になって良い。

そのことから、これまで大阪府、愛知県、広島県などで計13回開かれた。

子育てとーさんさん、ぐでちちさん、着太郎さんの3人が直接関わったのは、半分に満たないという。

子どもと母親は何を思うのか

Kensuke Seya / BuzzFeed

お父さんのバックグラウンドや考えが違うのと同じように、参加する子どもたちの年齢や性格も違う。幼稚園や保育園などとは違った場所で、見知らぬ子どもと会うことをどう思っているのか。

5歳と8カ月の娘2人を持つ、ぐでちちさんは「楽しみにしている感じが伝わる」と言う。

「長女から『次の遠足はどこなの?』『いつなの?』と聞かれます。遠足で会ったお友達について、家でも話題になるんです」

「会の目的はよくわかっていないと思いますが、大人や普段は遊ばない年齢の違う子とも遊べる、おもしろい会だと思っているんじゃないかと」

続けて、他の父親たちと接することに「可能性を感じる」と話す。

「今は核家族が当たり前になって、閉じた環境になってきたと思います」

「そんななか、家族でもなく先生でもなく、他の子のお父さんたちと関わって、褒めてもらったり、笑いかけてもらったり、たまにたしなめられたりするのは、すごく価値があることだと思うんです」

Kensuke Seya / BuzzFeed

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一方、父親と子どもを送り出す立場の母親には、不安を持つ人もいたという。

ネットでつながった人と会うのはどうなのか。子どもに万が一のことがあったら。夫だけに任せて良いのか。いろんな考えがよぎる。

専業主婦である、ぐでちちさんの妻も「最初は不安や心配があった」といい、こう本音を寄せる。

家に帰ってくるまで心配が尽きなかった。 女の子の子どもを持つママは余計に心配があると思う。女性が1人もいないので、男目線と女目線で気をつけて見るべきところが違うので不安ではある。


何回か行ってみて、そういうところにも気をつけていることがわかって少し安心できた。これからも注意点は夫婦で共有していきたいと思う。


パパ友ができることによって、パパ同士が刺激しあえて育児に頑張ってくれるのでありがたい。パパが子どもへの対応の仕方や遊び方、日頃の子どもの考えていることや好きなことなどが知れるので良いと思う。ママも1人の時間が少しでもできるので、気分転換になる。

ぐでちちさん本人は「もう大丈夫だねって思ってくれているかなと。こないだの遠足の日、妻は整体に行っていました」と微笑む。

Kensuke Seya / BuzzFeed

子育てとーさんさんの妻は、遠足について「羨ましい」と話すという。

そして、親子3人で楽しんで遠足に行っているのがわかるから、「罪悪感なく自分の時間が持てるのはうれしいです」と言ったそうだ。

着太郎さんの妻も、親子のコミュニケーションが深まることに期待する。「暇な時間ができると何をして良いのか分からない」が、 「前もって予定が決まっていると友人との予定が入れやすくて助かる」 と好評のようだ。

子育てとーさんさんが背負う「罪」

Kensuke Seya / BuzzFeed

子育てとーさんさんはかつて、子育てに主体的に関わっていたわけではなかったという。

長男が生まれると、なおさら「仕事を頑張らないと」と考えた。その分、家庭のことはおろそかになり、妻は「孤独」の中で子育てをするようになった。

次第に妻と気持ちのズレが生じ、妻から「今はお金よりも、家族のつながりがほしい」と伝えられた。そして、母親たちの気持ちを知るため、自主的にTwitterで情報収集を始め、考えが変わったのだと振り返る。

妻を苦しめた過去から「罪がある」とし、こう言う。

「『父親ってこうあるべきだ』ってジェンダーロールがやっぱり強くて。『男性は仕事、女性は家庭』みたいなのが染み付いてしまっていたんです」

Kensuke Seya / BuzzFeed

その考えを持つ男性は、受け入れ態勢がないがゆえに、同じ男性から指摘されたとしても簡単に変わるものではない。

子育てとーさんさんは、自身がそうだったからわかる。そのため、直接、男性たちの考えを変えたいとは決して思わない。

「過去は変えたいけれど変えられない。なので、これから結婚する人や、自分の子どもたちが、同じ理由で家庭の危機に陥らなければ良いなと思ってて」

「振り返ると、『男性は育児もするものだよ』という環境が当たり前にあれば、ちょっと違ったのかなと思うんです」

「だから、遠足が広まることで、何かが伝われば良いなって思っています。これから子どもが生まれる予定の『プレパパ』にも参加してほしいんですよね」

いつか「遠足」を卒業する子どもたち

子どもの成長は早く、いつ遠足に足を運ばなくなるかわからない。若かりし頃の自身を思えば、それが案外、あっという間だとわかる。

少し寂しい気持ちもするが、子どもが親離れするまでの貴重な時間を大切にする。家族全員で過ごす時間も、たまにある遠足の時間も楽しみたいと考える。

3人は笑顔で「いつか子どもたちだけで、遊びに行ってくれたら良いよね」「#ゆるゆるおじいちゃん遠足も良いね」などと夢を膨らませる。

Kensuke Seya / BuzzFeed

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この遠足は、Twitterでハッシュタグ「#ゆるゆるお父さん遠足」とともに「この日にここに行くよ!」とツイートするだけで、「#ゆるゆるお父さん遠足」になるという。

子どもと出かけてみて、たとえ会えなくても気にすることはない。1人ではなく、一緒に楽しく遊べる子どもがそこにいるのだから。最後に、子育てとーさんさんは願う。

「子どもと自分が楽しいことが一番重要です。誰かしらやりたい人が、続けていってくれたらと思っています」

「#ゆるゆるお父さん遠足」は、近日中に東京都と神奈川県で開催を予定する。

イベントへの参加は無料で、自由参加、自由解散だ。ただし、動物園や水族館などで開催の際は、施設利用料が別途必要になる。

自分と子どもの気が向いたら話しかけ、そうでなければ話しかけないのもありだろう。それもまた、この取り組みの「ゆるさ」の良さなのだから。

バズフィード・ジャパン ニュース記者

Kensuke Seyaに連絡する メールアドレス:kensuke.seya@buzzfeed.com.

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