きゃりーぱみゅぱみゅが電車になった 西武鉄道が地味なりに攻めてる

    彼女は田無出身

    西武線ってどんなイメージ?

    SNSで西武鉄道へのイメージについて調べてみると「西武鉄道ってなに…」「むしろ西武鉄道ってなに?ググろう!」といった存在すらしらない人がけっこう多かった。

    一方で最近は西武鉄道主催のイベントが話題に。新木場にあるクラブageHaとコラボして初のEDM電車を運行させたり、人気マンガ「暗殺教室」とコラボしたり。6月4日にはきゃりーぱみゅぱみゅのラッピング電車を走らせる予定です。

    意外と攻めてる西武鉄道。BuzzFeedは所沢にある本社に行って、担当者の気持ちを聞いてきました。

    このままでいいとは思ってない

    ーー西武鉄道って地味なイメージありますけど、どうなんですか?

    正直、「地味」というイメージがあることはわかっていたんですけど、このままでいいと思っているわけではないことを、皆さんに知っていただきたいです。

    華がないといえばそうかもしれません。でもコンサバな社風を大切にしながら、「攻めの西武」を皆さまにお伝えできたらと考えています。

    僕、ずっとプロ野球の仕事をしていたんですよね。3年前に西武鉄道に異動して思ったのが、主要民鉄に比べてやっぱり野球でいうところのBクラスだなってところなんです。

    ーーageHaや次回のきゃりーぱみゅぱみゅとのコラボなど、他の民間鉄道会社と違いかなりエッジのきいたイベントを開催されていますね。

    野球でいう花型球団にすぐなれるかというとそうではないじゃないですか。そこで僕は各分野の強い人と組んでいこうと決めたんです。

    ageHaとのコラボは、自分が夜遊びが好きだっていうのもあるんですけど(笑)今の若い子たちっておとなしいじゃないですか。お酒飲まないし、遊ばないし。

    ナイトライフは危険なイメージがあるかもしれないけど、そこから学ぶこともあるじゃないですか。

    「西武」という看板をしょって安全な夜遊びを提供したいと思ったんです。

    通勤を楽しい時間に

    ageHaとのコラボ企画がきっかけで僕が大切なことを知りました、それは「電車たった1本動かすことは大変」ということです。

    ものすごく当たり前なことではあるのですが、電車を安全に運行させるというのはいろいろな人の努力があってのことなんです。

    信号を動かす人、線路を管理する人、運転手に車掌。内部の僕が想像していた以上にいろいろな人の協力がないと動かせないものなんですよ。

    人の関わりから1つのものを仕立てあげることができたら、それは西武の強みになると思ったんです。

    ーーageHaトレイン後、何か変化はありましたか。

    当日、さまざまな取材が入ったんですよ。翌日のニュース番組で、ある参加者の1人が「普段乗ってるただの電車がこんなに楽しい場所になるなんて」「こんな電車があるなら毎日会社に行くのが苦にならない」と語ってくれていたんです。

    電車ってお行儀よくしないといけないっていうイメージがあるじゃないですか、でも、会社が主催するイベントで少しずつ電車に対する固定概念を壊していきたいんですよね。もちろんマナーは必要ですけど。

    例えば、朝の通勤時間を楽しめるような工夫っていくらでもできると思います。1つの車両を英会話教室にするとか、あとはスターウォーズ好きな人だけが集まる車両をつくるとか。

    そういうものがあれば、人々の関わりが生まれ、一人ひとりの世界が広がると思うんです。

    現・原宿大使は田無出身だ

    ーーきゃりーぱみゅぱみゅとのコラボには、どんな想いがあるのでしょうか

    僕は沿線を盛り上げるためには3つのステップが必要だと考えています。それは「親しみを感じる」、「誇りに思う」、そして「沿線外に伝える」。

    いまは誇れる沿線ではないかもしれませんが、ここから這い上がるためには、きっかけを作らなければいけない。それが今回のきゃりーぱみゅぱみゅさんです。

    彼女は原宿大使として活躍していますが、出身は田無市(現:西東京市)なのです。いま世界で活躍する彼女が西武線沿線出身、西武から世界に羽ばたいてくれているんです。

    沿線にいまをときめく人が生まれた場所があることで、誇りに思うきっかけになってくれることを願っています。