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「コーヒー、おいしいさあ」 生まれ育った沖縄で、地域とつながる居場所をつくる

地域の人とつながり、ともに活動することで、社会を変える変化を生み出すことができます。連載3回目は、ローカルの魅力を守り、世代を超えて人と人をつなぐ、リーダーシップについて紹介します。

「地域の方々が一緒になって盛り上がってくれて、“つながる瞬間”を肌で感じました。その感動が忘れられなくて、ずっと活動を続けています」

スターバックスの富村彩乃さんは、生まれ育った沖縄の海が見える店舗で働いている。人と人をつなぎ、地域に貢献しながら「その先の未来」をつくることに挑戦している。

若きリーダーたちが自ら考え、多様な人たちとアクションの輪を広げることを応援するスターバックス。

ローカルでの取り組みを通じて、環境保護や多様性の実現に向き合うユースリーダーひとりひとりの情熱と言葉、そして行動が、新たな未来を作ると考えているからだ。

未来の担い手によるリーダーシップを伝える連載の3回目は、地域コミュニティでの活躍について聞いた。

学生時代に出会った地域活動

――富村さんはどんな仕事をしていますか? スターバックスで働くことになったきっかけを教えてください。

スターバックス コーヒー 沖縄本部町店で、アシスタントストアマネージャーをしています。

沖縄生まれ沖縄育ちです。小さい頃から、家族だけでなく地域の人が、褒めてくれたり、叱ってくれたり、見守ってくれたりしながら、地域に育てられた感覚があります。自分自身は、そんな“ゆいまーる”の環境づくりをしていきたいと思っていました。“ゆいまーる”とは、「相互扶助」を表す沖縄の言葉です。

大学1年生のときからアルバイトとしてスターバックスで働きはじめ、(地域活動の)「コミュニティコネクション」を通じて、自分が思い描く“ゆいまーる”を表現する場があると知りました。地域や社会に対して勇気を持って行動する面白さを知り、スターバックスを通じて小さなことからでも社会に何かできるのではないか、と考えて入社しました。

スターバックスでは、店舗のある地域への日頃の感謝の気持ちを込め、地域をより元気にするために、「コミュニティ コネクション」と呼ぶ活動を各店舗で実施している(現在は新型コロナウイルスの感染拡大防止の目的で中止)。近隣のコミュニティを知って、持続的な関係を作り、それぞれの地域に愛される存在になることを目指しているという。

――「コミュニティ コネクション」では、どんな活動をされたのですか?

アルバイトのときは、キッズパーティーやミュージックライブ、あとはクリーンアップなどの活動をしました。

あるとき、お子さま連れの方と、別の目的で来店された地域の方が一緒になって盛り上がってくれて“つながる瞬間”を肌で感じました。その感動が忘れられなくて、ずっと活動を続けています。

海のゴミで子どもたちとゴミジナル工作

――2019年にオープンした沖縄本部町店には、地域のみなさんと一緒に拾ったゴミを材料に作られたアート作品「もとぶフローミー」が飾られているそうですね。

「もとぶフローミー」は、魚のかたちのフローミーの体にある作品ひとつひとつが、ビーチのゴミからできているんです。地域の方々とスターバックスのバリスタが一緒にビーチクリーンを行って拾い集めたゴミです。

海辺に落ちているゴミを材料に地域の子どもたちが思い思いに工作をして、子どもたちが宝探しをするかのように目を輝かせていたのが印象的でした。

――どうやって作ったのですか?

集めたゴミを色分けして、子どもたちが世界にたった一つの自分だけのオリジナルの作品を作る「ゴミジナル工作」を体験し、ウサギやカメなど身近な動物の形に再生して作品にしてくれました。子どもたちの自由な発想には驚かされましたね。

ひとつひとつの小さな作品を、アーティストの淀川テクニックさんが大きな魚のアートにしてくれました。

この作品には、いつまでもきれいな海を守っていきたいという思いと、その思いを共有する地域のみなさんとの懸け橋になれるような、そんなつながりの思いが込められています。

――作品に使われているロープやペットボトルなどが、実際に拾ったゴミですか?

すべて近くの海に落ちていたものです。海外の文字が書かれていたり、いろんな国を渡ってきたりしたゴミもありました。

「えっ、これも拾ったゴミなの?」と思うものもありました。例えば、洗剤などの日用品が普通に浮かんだり落ちていたりしたのは、私にとっては衝撃でしたね。

――実際にお店に飾って、どんなリアクションがありましたか?

「もとぶフローミー」は店舗の入口の真正面にあるんですけど、作品の前に立ち止まるお客さまもいらっしゃいます。「これ、全部落ちていたゴミなんですよ」とお話をすると、「えっ、あの海で⁉︎」と驚かれますね。

店舗の2階からは(沖縄本島北部の)“やんばる”の海が見えるんですけど、きれいな澄んだ海の青とゴミから生まれたフローミーの対比に驚かれるお客さまもいます。「ゴミ拾いまでは行けないけど、自分ができることをやっていきたい」とお話された方もいました。

おばあが言った「コーヒー、おいしいさあ」

――海のゴミを拾うビーチクリーン活動には定期的に参加されているんですか?

2つの地区のビーチクリーンに月に1回ずつ参加していました。

最後に、私たちが持っていったコーヒーを一緒に飲むんですけど、おばあ(おばあさん)が「コーヒー、おいしいさあ」と言ってくれて、「あんたたちが一緒にやってくれるから、いろんな人が来てくれるね」と声をかけてくれて、頼ってくれていると感じました。コーヒーの力は大きいですね。

今は新型コロナウイルスの影響で参加できていないのですが、ビーチクリーンを実施している方から、「昨年は産卵しなかったウミガメが、今年やっと帰ってきて産卵できたよ」と連絡をいただきました。やってきたことが、少しずつ意味のあるものになっていると肌で感じています。

地域とのつながりを店舗に共有

――富村さんは、どのようにして地域の方々とつながっているのでしょうか?

私自身は、仕事とプライベートを分けないタイプなので、お客さまとして出会ったおばあの紹介で、地域のおばあが集まるテニスサークルに参加したり、地域の方が集まるいろんな場所に顔を出したりしてコミュニケーションをとるようにしています。

築いたつながりは自分だけに留めるのではなくて、お店全体に共有しています。地域の方にとって親しみやすく、困ったときに助けを求めやすいお店になるように、自分の居場所と感じてもらえるような場所になるように、日頃のサービスも心がけています。

「目の前のお客さまに今、私ができることを自ら考えて、行動して表現していこう」と周りのパートナーにも伝えていますね。

――他のパートナーの行動や意識の変化も感じていますか?

あるバリスタは、聴覚に障がいのある方と出会ったことをきっかけに手話教室に通っています。

コロナ禍では、お客さまから「育児やいろんなことに追われる日々でしたが、かけてもらった言葉やカップに書かれたメッセージがうれしくて涙が出ました」という言葉をいただいたときは、「みんなに伝えていてよかったな」と思いました。

――沖縄本部町店は、海も見渡せて自然の豊かさも感じられる場所です。富村さん自身は、環境に対する意識も変わりましたか?

沖縄で生まれ育って、昔からちょっと立ち止まったときに海辺に座るくせがあるんですよ。夕日を見ながら、「ああ、どうしようかな」と考えたり、沖縄のきれいな青い海を見て「よし、頑張ろう」と力をもらったりしてきました。

この地域に転勤して、やんばるの山の壮大さにも魅了されました。これを今の世代の私たちだけが味わっていいのか。次の世代もその先にも、きれいな海や自然を残していきたいと思うようになりました。

つながりの輪を広げる原動力

――生き生きと働かれている様子が伝わってきますが、富村さんのエネルギーの源は何でしょうか。

やはり「コミュニティ コネクション」をやったときに、その場で生まれる人と人のつながりや温かさですね。みんなが笑顔になるんです。その温かい空間が原動力です。

あとは、自分の思いに共感して一緒に行動してくれる周囲のパートナーの存在です。

――自分自身の個性は、どう捉えていますか?

沖縄に、『いちゃりばちょーでー』って言葉があるんですけど、「出会った人は皆きょうだい」という意味なんです。その文化で育ってきたので、それが私の個性です。

プライベートも仕事も、人のつながりを大切にして輪を広げていけることが強みです。つながることで心が温まる。そんな瞬間はどんな人の心にもあると感じています。人と人をつなげたり自分がつながったりして、温かい輪が広がっていけばいいな、と思います。

スターバックスは「モーメンツ・オブ・コネクション 〜つながりが生まれる瞬間〜」という考え方を大切にしていますが、この環境が私の個性を強みに変えてくれていると感じます。

――今後は、どんなことをやっていきたいですか?

今、沖縄本部町店はオープンして1年半になります。地域のハブとなるような店舗づくりや、それを持続させていけるような取り組みが今後は必要になってくると思います。

地域のニーズを捉えて、「これをやらなきゃ」と思うのではなく、「こういう地域のニーズがあるから、私ならこうできるかな」と自分を駆り立てていくことが大事なのかなと考えています。その熱い思いは、一緒に働く仲間にも伝染していきます。

心からそう思ってやっているから、人の心を打ち、新たなつながりが生まれる。誰も無理にやっていないからこそ持続していくと思っています。

取り組みを他の店舗にも生かしていけるように、スターバックスにしかできないことを私なりに考えて表現していきたいです。

若きリーダーが伝えたいのは、自分のできることを大切にして、地域や人と「つなぐ」ということだった。

ひとりひとりの言葉や情熱から、次世代のリーダーシップを応援するスターバックスの「Youth Leadership」。連載はこちらから。