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「日本はまだ平等じゃないんだっけ?」海外の同僚から言われた私が、みんなが住みたい社会のためにできること

あらゆる人にとって平等な社会を築いていくことをコアバリューに掲げるセールスフォース。コロナ禍で在宅勤務に移行したことで、LGBTQ当事者とアライで構成する従業員コミュニティの活動がより活性化したそうです。その理由に迫りました。

新型コロナウイルスの影響で、働き方が変化して1年になります。

完全に在宅勤務に切り替わったため、新入社員とリアルに一度も会ったことがないという状況の企業も少なくありません。

企業向け顧客情報管理大手の「セールスフォース」もそんな企業の一つですが、コロナ禍では従業員向けの勉強会の参加者が増え、コミュニケーションが活性化したといいます。LGBTQ+の理解促進のため活動する同社の従業員グループ「Outforce」リーダーの嶋ピーターさんに、その理由を聞きました。

ーーセールスフォースでは、コロナ禍で働き方にどのような変化があったのでしょう?

セールスフォースの製品・サービスは企業が対象となるため、一般的には知らない人も多いですが、顧客情報管理システム(CRM)の業界では世界第1位のシェアなんです。

本店がアメリカ・サンフランシスコにあるため、日本よりも早い段階で働き方に大きく影響がありました。クラウドでサービスを提供する会社ですので、リモートで働く環境が整っており、混乱なく、業務形態は全面リモートワークに一気に移行しました。

正直、意外だったのですが、コロナ禍で在宅勤務になったことによって、私がリーダーをつとめる従業員グループ「Outforce」のイベントの参加者数はむしろ増えたんです。

カメラオンが条件でも参加者が増えた理由

Outforceは、性的指向や性自認に対する理解を進めるために活動しており、繊細な内容なセッションが多いのですが、参加者はカメラをオンにする(表情が見える形)ことを条件としても、参加者が逆に増えたのです。

他の従業員グループにも参加者数が増えたグループがありました。コロナ禍で、急激に周りの環境が変わり、社会環境について考える時間が増えたり、課題がより見えたということも影響したと思います。

パネリストが登場すると、その人が所属する部署の人からチャットで応援メッセージが投稿されるなど、よりインタラクティブなセッションになりました。バーチャルになったことによるメリットを享受したと思っています。しかし、打ち上げの飲み会はオンラインではなく、リアルにやりたいですけどね(笑)。

平等を目指す会社だから入社した

ーーOutforceとは、どんなグループなのでしょうか?

セールスフォースは、従業員一人ひとりが働きやすい職場環境のために、また顧客と良い環境を作るために、「平等=Equality」という価値を大切にしており、従業員の生活空間である社会全体で実現したいと考えています。

そのための活動をする従業員Equalityグループの一つが、LGBTQ+の理解促進を目的としているOutforceです。日本では2017年に立ち上がりました。

従業員が自分らしく、生き生きと働けるよう、他者を尊重するオープンな文化の育成を目的としています。また、多様性を尊重することがいかにビジネスを成功に導くかということをコミュニティに広めたいと思って活動しています。

現在、Outforceはグローバルで5000人以上、日本国内で500人以上のアライと当事者が所属しています。メンバーは、「アライはどうしたらいいの?」という人から、「セールスフォースにOutforceがあることを知って入社しました」という人までさまざま。活動内容もさまざまです。

例えば、毎年10月のカミングアウトデーでは、社内当事者がパネリストとなり、従業員の質問に答えるイベントを開催しています。そして、東京レインボープライドとともに行うイベントが、Outforce Japanでは最も大きいイベントとなります。

ーー2021年は昨年に引き続き、東京レインボープライドもオンラインの開催となりました。Outforceで予定しているのはどんなイベントですか?

2021年、Outforce Japanでは「横の繋がり」をテーマにしています。他社の従業員コミュニティと連携したイベントを、今年のプライドウィークにいくつか企画しています。

私は前職でLGBTQ+従業員ネットワークをゼロから立ち上げた経験があります。そのとき、同じ業界のネットワーク仲間に助けられ、パワーをもらったことで、続けられた経験が元になっています。

今年は「結婚の平等」の実現へ前進した年でもあります。「同性婚を認めない民法の規定は違憲」とした札幌地裁の判決が何を意味するのか?婚姻の平等によって、当事者だけでなく社会がどのように良くなるのか?を話し合う活動の企画もしています。

年間56時間を社会貢献に使える

ーーセールスフォースでは、こうした活動を「業務時間内」にできるのも特徴だと聞きました。

セールスフォース創業者のマーク・ベニオフは「ビジネスは社会を変える最良のプラットフォーム」という信念を創業当時から繰り返し社会に発信し続けています。企業は社会を良くするためにある、という考えです。

それを具現するのがセールスフォースの「1−1−1モデル」(わん-わん-わんモデル)です。従業員が選んだNPOやコミュニティなどの組織に対し、「1%の株式に相当する金額の寄付など」「1%の製品・サービスに相当するライセンスの寄付や割引」「1%の従業員の勤務時間に相当する労力の提供」ーーこの3つを社会貢献として提供しています。

「従業員の勤務時間」の提供によって、Outforceを含む従業員グループはとても活動しやすくなっています。勤務時間の1%は、年間で56時間になります。その時間を、自分が選んだ組織やコミュニティのサポートに割り当てることができます。Outforceの活動時間にも使えます。

もちろん、業務はおろそかにはできません。しかし、業務時間や会社の資源を使って社会に貢献できるということは、従業員のモチベーション向上にもつながっており、自分にとっても、業務と並行して「婚姻の平等」や「性指向と性自認のダイバーシティへの理解」に関する活動ができることは、働くモチベーションになっています。

また、Outforceでは役員レベルがグループスポンサーとなり、経営トップ層も巻き込んでさまざまな平等を推進しています。

ーー嶋さん自身、こうした「平等」に関する理念が入社のきっかけになったのでしょうか?

私は2019年にセールスフォースに入社しましたが、このEqualityというプログラムとOutforceがあることが、入社の動機となりました。入社直後からOutforceの活動に参加しています。

セールスフォースの「平等=Equality」に対する考えは、他の大事にしている企業理念(信頼、カスタマーサクセス、イノベーション)とともに、営業活動時にも外部に発信されていて、新入社員研修でもこの4つの企業理念は共有されています。

2つ以上の課題の「交差」を考える

ーーコロナ禍で、「平等」を目指す活動に変化はありましたか? また、変化するのでしょうか?

コロナ禍では、いろいろなことが表面化しました。性指向や性自認のダイバーシティに対してというより、ダイバーシティ全般に対して、課題が表面化したと思っています。

グローバルなチャットから、BLM(Black Lives Matter)や、最近では、AAPI Hate (アジア人への暴力)の話が伝わってきて、いろいろと考えさせられます。

こうしたことから、社内ではIntersectionについての話題が増えています。LGBTQ+の話だけでなく、アジア人であり当事者とは?女性であり当事者とは?障がい者であり当事者とは?ひとつの課題ではなく、2つ以上の課題が交差(Intersect)する場合、何を考える必要があるのか?などが、グローバルで議論されています。

Outforceの活動は、変わっていません。今年の新卒新入社員は、面接から入社研修まですべてオンラインでした。一度もリアルに会ったことがないんです。

でも、Outforceに所属することに、リアルに会ったことがあるかどうかは関係ありません。語ることは語ります。

なぜできるのか、それは、セールスフォースがセーフスペースだからです。自分らしさを出して、差別を受けない職場環境をみんなで作ってきたからだと思います。

もちろん、全社員で行えることではないかもしれませんが、仲間は見つけられます。Outforceのコアメンバーに相談できる、という環境ができているからだと思います。

会社から出た後の環境も変えたい

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そのほか、特に課題としているのは「結婚の平等」です。グローバルな環境で仕事をしていると、「あっ、そうか!日本はまだ平等じゃなかったんだっけ」と言われます。

Outforceの活動でも、「結婚の平等」が認められている国の人たちは、その先に目指す平等の活動を語っているのですが、日本はまだ当事者の存在を国の法律が認めていないので、会話に入れなくなってしまいます。

「結婚する権利の平等を認めています!」と個人そして企業が声を上げること、その声を増やしていくことが大切だと感じ、活動に取り組んでいます。

ただ、社内の環境や制度が充実していても、従業員は会社から出れば、属する社会環境に帰っていきます。その社会環境も従業員の全て(Whole Self)を受け入れる環境でなければいけないと思っています。

そこでも私は、「ビジネスは社会を変える最良のプラットフォーム」という信念を意識しています。個人として何ができるか?企業人として何ができるか?を考え、行動できる文化が他社や社会にも広がっていってほしいと思います。

「自分ごと」にしていくには

ーー「平等」は誰にとっても大事なことですが、問題意識は人によって異なります。どうしたら自分ごととして考えていけるのでしょう。

私の肩書きは、インダストリー・バリュー・セリング事業本部のビジネス・バリュー・サービスでのビジネス・コンサルタントです。セールスフォースのサービスを利用することにより、顧客のビジネスにどのような良い価値を与えるかを分析し、ご提案に入れることが仕事です。

その観点から、ダイバーシティのある企業文化が、どう従業員の生産性向上に貢献するか、その企業が属する社会にどう貢献するか、なども考えています。

以前、他社の従業員グループで、「他人事をどう変えるか」をテーマにしたプレゼンマラソンに参加しました。そのとき私は、「嘘をつくという特殊能力を、生きるために身に付けてしまった」という、幼児期からの当事者のストーリーを用意しました。そのうえで、子どもたちが学校で自分らしく、嘘をつかずにいられる環境をつくるには、大人たちが学校に働きかけないといけない、と締めくくりました。

その場にいた人たちの「自分たちも、子どもたちを守らないといけない当事者でもあるんだ!」といった反応が忘れられませんでした。

その後の懇親会でカミングアウトした人もいたし、ゲイの友人も内容に感動してくれました。その経験をきっかけに、自分は他の人のためになれるなら矢面に立ってもいい、と思い、自信を持って活動するようになりました。これが私にとって「自分ごと」のターニングポイントになっています。