アートまみれ! 北アルプスのふもとで見つけた「非現実」の世界がすごい

    アートと自然が交差する絶景を見てきました。

    長野県の大町市で開催されている「北アルプス国際芸術祭」。国内外から有名アーティストが参加する今年注目の芸術祭の一つです。

    同展は、『大地の芸術祭』や『瀬戸内国際芸術祭』など数多くの芸術祭を手がけてきた北川フラム氏が総合ディレクターを務めています。芸術祭好きなBuzzFeedスタッフが現地に訪れました。

    東京から非現実の旅へ。

    Rocky Osaki / BuzzFeed

    東京から信濃大町駅までは新幹線と在来線を使って約4時間。車中では、3000m級の山々が連なる北アルプスが車窓に広がり、信濃大町駅に降り立つと、ひんやりと澄んだ空気に触れることができます。

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    駅に到着していよいよ芸術祭巡り。今回は、北アルプス国際芸術祭実行委員会の丸山優一さんに案内いただき、台湾の人気旅行ブロガーのCarol Lin(林凱洛)さんと一緒に巡りました。

    北アルプスを眺めながら巡る芸術祭。

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    大町市は北アルプスの麓にあり、古くから宿場町として栄えた地域。北アルプスの山々を映す仁科三湖や温泉などの自然にも恵まれています。一方で、少子高齢化が深刻な問題になっています。

    そういった危機感もあり、2014年から「大町市をおもしろくしよう!」とスタートした勉強会から、今年念願の芸術祭開催に至りました。

    今回の祭典では、地域の自然や古民家などを生かしたアートと自然が交差する"絶景"が多数企画されていました。

    一部ですが、紹介していきます。

    葛飾北斎の波を表現した「バンブーウェーブ」

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    アーティストのニコライ・ポリスキーの作品。この地域の竹林に感銘を受け、さらに葛飾北斎の「波」からヒントを得て、波を竹で表現することに挑戦。

    里山の風景を臨む高台に配置された作品からは荒々しい波と里山の風景が見事に合わさった力強い作品になっていました。

    光る霧のリング「Arc ZERO」

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    北アルプス地域の雪解けに注目したアーティストのジェームズ・タップスコットが手がけた「光と霧の輪」。大町市の水の豊かさに注目し、仏崎観音寺の参道に作品を企画。木漏れ日と光る霧の輪が徐々に変化し、写真映えする絶景感満載でした。

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    また、参道を抜けると仏崎観音寺が現れます。昔はこのお寺で農耕馬による奉納草競馬が開催されていたそう(現在は高瀬川観音橋近くの河川敷で開催)。

    空き家を利用した「信濃大町実景舎」

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    過去に、ほかの芸術祭にも参加したことのあるクリエイティブチーム「目」が手がけた古家を利用した作品。窓からは信濃大町を一望でき、全面白色で塗られた居心地の良い空間が広がります。

    「目」の作品は、これまで撮影禁止でしたが、今回の北アルプス国際芸術祭では特別に撮影可能になっていました。

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    古家出口からも信濃大町を一望できるようになっていて、この日は晴れた空のもと山々に雲がかかっていました。

    地元作家の折り成す「無限折りによる枯山水 鷹狩」

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    この白黒に浮かび上がっている作品。実はすべて折り紙でできています。

    手がけたのは、信濃大町に住む布施知子さん。布施さんは折り紙作家として著書が多言語に翻訳されるなど、国内外で活躍しています。

    今回、「枯山水の世界観」と「北アルプスの大自然」を組み合わせて信濃大町地域を表現。さらに、一枚の巨大な紙を折って、北アルプスや高瀬川を表現しています。圧巻の作品でした。

    自然のインスタレーションアート「第一黒部ダム」

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    この作品のすごいところは、商店街の中に実際に「ダム」を作ってしまったところ。

    黒部市にある「黒部ダム」をモチーフに、栗林隆さんが中心となって制作。黒部ダムを1/40に再現して、温泉を組み合わせた作品を商店街の店舗内に作りました。

    特徴的なのが、黒部ダムから北アルプスを眺められるような設計になっており、温泉に見立てられた「ダム湖の水」は足湯としても利用可能です。足湯に浸かっているとダム湖の奥にある立山連峰の麓から霧が現れる幻想的な風景の写真を撮ることができました。

    お世辞にも見栄えが良いとは言えない商店街店舗の外観。しかし、店舗内はどこか温かさを感じ、さらには小宇宙に吸い込まれたような不思議な感覚になりました。

    民話をもとにした作品「山の唄」

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    テレビアニメ「日本昔話」のオープニングにも登場する龍に乗った少年。実はあの少年はこの地域周辺に代々伝わる民話「泉小太郎」であり、信濃大町周辺は龍にまつわる地域。そこで、作家の大平由香理さんはその民話をもとに作品を制作。

    信州の和紙「信州松崎和紙」を利用し、高校生や芸術祭サポーター協力のもと完成。龍の体をイメージした洞窟のような空間になっています。

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    実は真っ赤に塗られた壁には北アルプスが描かれており、作品の奥に進むと居心地の良い真っ白な部屋が用意されていました。

    磁器でできた「北アルプス 高瀬川庭園」

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    信濃大町の山水、北アルプス、高瀬川をイメージして、上から下へと水の流れを磁器で表現した高橋治希さんの作品。

    過去には、ほかの芸術祭に参加したことのある高橋さんは今回この地域ならではの植物や昆虫を取り入れています。細部へのこだわりが見える作品でした。

    土だけを使ってできた「土の泉」

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    淺井裕介さんが信濃大町の歩みを表現した作品。水力エネルギーの歴史を展示しているエネルギー博物館を舞台に、文明と自然の関係を描く作品になっています。

    また、この作品の注目すべき点は信濃大町内にある土、13種類のみを使って作品を制作していること。信州の土地の豊かさと力強さを感じさせてくれる世界観になっていました。

    集落に現れた巨大絵画「集落のための楕円」

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    最後に訪れたのは、建物の壁に三次元の巨大絵画を描く作品で有名なスイス生まれ現代美術アーティストのフェリーチェ・ヴァリーニ。制作には、投光器を使って壁面に図形を照射して行う特殊な制作スタイルで、ある地点からのみ作品が浮かび上がり鑑賞できるようになっています。

    今回は里山と段々畑が広がる地域、三世帯しか住んでいない小さな集落に巨大壁画を描いています。突如集落に出現した壁画ペイントは、まるでナスカの地上絵を見たような感覚にさせてくれました。

    実際に現地にて自分の目で確かめて欲しいです(今回は特別に許可を得て撮影)。

    地元の人たちが育てる芸術祭

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    「私たち実行委員会もアーティストたちも、地元の人たちの協力がなければ作品は完成しなかったと思っています」と実行委員会の丸山さんは言います。

    今回アート作品を鑑賞していると作品の説明や制作工程を楽しそうに話してくれる地元のおじいちゃんやおばあちゃんに出会いました。

    また、芸術祭に訪れた女性は大自然の中アート作品を巡っていると「子どもになった気分で楽しいです」と言います。

    地元の人たちの協力と、自然や地域文化を汲み取ったアート作品の数々。地元の人たちが育てる芸術祭はこの長野県信濃大町で始まったばかりです。

    この芸術祭は7月30日まで開催。ぜひ地元の人々とアーティストの人たちが協力して作った「非現実」の世界に訪れてみてはいかがでしょうか?

    参考:北アルプス国際芸術祭公式サイト

    訂正:初出時、「信濃大町市」としていましたが、「大町市」の誤りでした。訂正いたします。

    訂正

    「仏教観音寺」としていましたが「仏崎観音寺」の誤りでした。

    「小泉小太郎」としていましたが「泉小太郎」の誤りでした。

    「黒部ダムを1/4に再現」としていましたが「1/40」の誤りでした。

    「大平由香里さん」としていましたが「大平由香理さん」の誤りでした。

    「黒林隆さん」としていましたが「栗林隆」の誤りでした。

    お詫びして訂正いたします。