でも、実はなんと宇宙との意外なつながりもあるんです！
宇宙で使われていたパナソニック製品たち
例えば、パナソニックのリチウム一次電池は、小惑星探査機「はやぶさ」および「はやぶさ2」に採用されました。
パナソニックのリチウム一次電池が採用されたのは、環境変化に強い・安全・長期信頼性があるといった点が評価されたためでした。
「はやぶさ」は地球帰還時に、小惑星の微粒子サンプルを収納する回収カプセルを分離。カプセルはオーストラリアの砂漠地帯に落下後、このリチウム一次電池で動作するビーコン信号を頼りに捜索されました。
そして「はやぶさ2」では、地球帰還時の信号発信装置以外に、人工クレーターをつくる衝突装置・人工クレーターをつくる様子を撮影する分離カメラ・さらに大気圏再突入時のデータ計測装置といった4つの装置の電源でこの電池が採用され、小惑星リュウグウのサンプルリターンを成功させるなど6年間におよぶ宇宙環境でのさまざまなミッションを支えました。
また、「きぼう」に搭載された小動物飼育ミッションでは、排泄物などの処理にパナソニックのハンディ掃除機が使われています。
市販の充電式ハンディ掃除機をベースに、宇宙環境での使用に最適化されたものです。
他にも、LED照明がJAXAの宇宙ステーション補給機【※】に使われていたり、JAXAと共同でジャガイモ栽培の技術を開発していたことがあったりと、実はパナソニックの様々な商品や技術が宇宙産業へと活かされています。
【※】国際宇宙ステーション（ISS）へ補給物資を運ぶための無人の輸送機（JAXAウェブサイトより）
でも、残念なことに、社外はもちろん、パナソニック社内でもこのことはあまり知られていないのです……。
社内の有志で立ち上げた「航空宇宙事業本部」
そこで、2019年に立ち上がったのが社内有志団体「航空宇宙事業本部」です。パナソニックと宇宙のつながりをもっと周知し、商材や技術を宇宙ビジネスに活用していこう、という部活のような集まりです。
立ち上げたのは、同社で航空宇宙市場のマーケティングを担当する出口隆啓（でぐちたかひろ）さん。
出口さんは、国内の宇宙産業が、技術のほとんどを輸入に頼っている現状に課題意識を持っていました。
「日本は（宇宙産業市場において）まだ競争力がなく、プレゼンスを高められていない。実績もあるパナソニックの商材や技術を活かせるのではないかと思いました」（出口さん）
そこで、知り合い5、6人に声をかけ、宇宙に関する商材や技術の情報をシェアする場を作ったのが「航空宇宙事業本部」のはじまりです。しだいに社内のイベントで活動を披露する機会にも恵まれ、今ではメンバーは300人以上に。
大学で宇宙関係の勉強をしていた人や、前職が宇宙関係の仕事だった人など、多様な人材が集まってきました。
宇宙で人が暮らす未来に向けて
現在の活動は、社内に向けて航空宇宙ビジネスの可能性を周知するためのイベントが中心です。しかし、今後はパナソニックで何が出来るのかを具体的に考え、事業化することが目標だといいます。
「宇宙に民間人が住みはじめるかもしれない。そんな航空宇宙ビジネス事業の将来性を社内で広く認知してもらい、具体的なビジネスにつなげていこうとしています」（出口さん）
パナソニックは2018年に創業100周年を迎え、すでに次の100年に向かっています。この次の100年を考えたとき、宇宙で人が暮らす未来がどこかのタイミングでやってくる。そのときに、パナソニックが地上で培った技術や商品を使い、宇宙での暮らしに貢献していきたい——そんな思いがあるそうです。
また、航空宇宙ビジネスのための技術開発は、地上でも活かせるだろうという目論見もあります。
「宇宙では、いかにエネルギーを省エネでリサイクルできるかが大事になってきます。そこに向けて開発した技術を活かせば、これから地上で起こり得る環境変化にも対応できるのではないでしょうか。パナソニックが宇宙に進出することで、宇宙だけではなく、地上でも人の暮らしを豊かにしていけると考えています」（出口さん）
◆リチウム電池商品ページ
https://industrial.panasonic.com/jp/products/batteries/primary-batteries/lithium-batteries
◆電子デバイス・産業用機器トップページ
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画像：Getty Images, PIXTA, いらすとや, パナソニック提供素材