①メールやLINEで相談にのると文章がめちゃくちゃ長くなる
②相手の意にそぐわないアドバイスをしてイマイチな反応をされる
「本気の解決策を提示したら『それはわかってるけど』って反論された。ただ話を聞いてほしいだけだったのか…」
「本人の中ですでに答えが出ている場合は、話に共感するだけでOKなのか疑問に思う」
③相談内容に共感して自分も辛くなる
④共感できない悩みにはどう反応していいか迷う
そこで10代20代の生きづらさを抱える女性たちを支援しているNPO法人BONDプロジェクト代表の橘ジュンさんに、悩みを抱えている人に声がけをする際に意識するといいポイントについて伺いました。
悩みを聞くときのポイントは、言葉よりも感情にフォーカスすること
「何かあったらお話、聞くよ」という声がけなら、「困っていることについて一緒に考えたい」という気持ちが伝わりやすく、悩みを吐露してくれる可能性も高まります。
——悩みを話し始めたら、どのような点に気をつけて聞いてあげるといいでしょう?
聞き方のポイントは2つあります。第一に、「そうだったんだ、大変だったね」と共感を示す言葉をかけること。第二に、どんな内容でもすべて受けとめることです。もし「死にたい」など、ショッキングな言葉が出てきたとしても驚かず、「そうだったんだね」とあえて淡々と相槌を打ちましょう。
——「死にたい」と言われたら、「そんなことを考えちゃダメ」と言ってしまいそうです…。
相手の考えが受け入れられなくても、諭したり、とがめたりするのはNGです。相談者は助言よりも共感がほしくて話をしているのに「自分の気持ちを理解してもらえない」と心を閉ざしてしまうこともあるからです。
また相談者の中には「死にたい」という言葉でしか、つらい気持ちを表現できない人もいます。だからこそ相談者の言葉よりも感情にフォーカスして「それくらいつらいことがあったのね」と柔軟な心で話を受け止めることが大切です。
——ちなみに相談者と同じような経験をしたことのある人のほうが共感ができて、悩みを聞くのに向いていますか?
必ずしもそうとは限りません。同じようなつらい経験をしたことがある場合、そのつらい記憶が蘇って、平常心で話を聞くのが難しくなってしまうこともあるからです。逆に経験したことがなくても、相談者がどれだけつらい気持ちであるかを理解できれば、寄り添うことは可能だと思います。
いずれにせよ悩み相談を受ける際は、話を聞いて自分までつらくなってしまう場合を考慮して、最初から周りの人や専門機関に頼ることも選択肢に入れておくと安心です。
——話を聞いて寄り添うだけでも、相談者の力になれるのでしょうか?
はい。相談者のなかには、一時保護や生活の再建などの支援は望まず、「ただ話を聞いてほしい」という人もいます。実際に相談者と向き合っていると「話を聞いてもらっただけで、少し気持ちが楽になった」という言葉をもらう機会は多いです。困っている人に声をかけて話を聞くことは、支援につながる重要な一歩なんです。
大事なのは役割分担。相談を受ける人も自分ひとりで抱え込まないで。
とはいえ、罪悪感があってどうしても断りづらい…という場合もあるかと思います。そんなときは公的な相談機関の情報を調べて、勧めてみてください。自分以外に安心して話ができる場所を紹介することも、支援につながるアクションの一つです。
——「中長期的に支援をするのは自信がない…」という人でも、公的な相談機関の情報を教えてあげることならできそうです。
相談者を支えるうえで意識したいのは、役割分担です。自分には難しいことは、人に頼りましょう。周りの人とチームになって、声を掛ける人、相談先の情報を集める人、時間をつくって話を聞く人…など手分けしたり、専門機関を頼るのもいいですね。誰もがつらさを抱えている人に気づいたら見て見ぬふりをせず、自分が無理なくできるアクションをとることを大切にしてほしいと思います。
厚生労働省のHPでは、相談者に安心して勧められる相談機関の情報をチェックできます。
厚生労働省のHP「まもろうよこころ」では、悩みや年代によって選べる電話相談窓口や、SNSやチャットで相談できる団体を紹介しています。
匿名でも相談可能なので、「悩みを抱えている人」も「悩み相談を受けている人」も、困ったときの頼れる場所として利用してみてください。