ペンギンのゲイカップル。彼らに訪れた幸せな結末とは?

繁殖のために動物園に連れてこられた2羽のオスペンギン。互いに愛し合うようになり、メスとはいっさい交尾をしない。それを見た飼育員は……

ベルリン動物園の2羽のオスペンギン。繁殖目的で連れてこられたが、オス同士でカップルに

Lutz Schnier

ドイツのベルリン動物園にいたオスのキングペンギン、スタン(右)とオッリ(左)。彼らがオス同士でカップルになっていたことを、地元メディアが報じた

彼らはもともと繁殖目的でこの動物園に連れられてきていたのだが、一向にメスに興味をもたない。

さて、彼らはどうなるのかーー。

オスペンギンだけが集まる施設へ、2羽一緒に移送

幸いなことに、彼らは引き離されることなかった。2羽一緒に、ドイツ北部にあるハンブルグ動物園に移送されることになったのだ。

この動物園にはオスのキングペンギンだけが集まる施設がある。かつては、ジュアンとカルロスというオスペンギンのカップルが生活していた。

2羽は、今もカップルとして仲良く暮らしている

Götz Berlik

スタントとオッリが移送されたのは2016年の4月のこと。移送から1年がたった今もカップルとして仲良く暮らしている。ハンブルグ動物園がBuzzFeedの取材に答えた。

現在は、9羽のオスペンギンの群れの中で生活している。メスペンギンとの繁殖を強いられることもなく、のびのびと過ごしているという。

「性別よりも相性」動物が教えてくれる、人生で大切にしたいこと

Asami Togi / BuzzFeed

「全体の数パーセントではありますが、動物の同性のツガイは確かに存在します」

動物の行動生態学の専門家である上田恵介教授は、BuzzFeedの取材に対してこう語る。

「相手がオスかメスかどうかより、子育ての相性を優先して相手を選ぶことがあります」

ペンギンを始めとする鳥類では、一夫一妻制をとる種で同性のツガイが見られやすいという。例えば、カモメやオシドリ、川鵜など。ペンギンもその一種だ。

一夫一妻制の鳥はツガイの絆が深く、20年、30年と寄り添い続けることもある。

上田恵介(川鵜のツガイ)

「メスが単独でヒナを育てる種類もいますが、ペンギンやカモメは子育てに両親の協力が不可欠。片親がヒナの面倒を見ている間に、もう一方がエサを取りに行きます。その協力ができなればヒナを育てられないし、そもそも自分の命も守れません」

子育てにツガイの協力が不可欠な鳥にとっては、子育ての相性は最重要事項。それが子孫を残すことに直結するからだ。

「ツガイの絆が強くなければ子孫を残せません。進化の過程において、必然的にツガイの絆も進化していったのでしょう。(ツガイ相手を決める)最初の段階で、同性でツガイになっただけかと思います」

とはいえ、同性同士では卵を産むことができない。それでもツガイを解消しないのはなぜなのか。

「本人たちも『あれ、おかしいな』と思っているはずなんですけどね。それでも、一度決めた相手と一緒にいて、一緒に巣作りをして、っていうのが安心するんでしょうね」

同性のツガイが発生する詳しいメカニズムはまだわかっていない。それでも実際に一定の割合で存在している。

1割の確率で、ツガイ相手ではないオスの卵を産んでいる

上田恵介(オス同士並んで泳ぐオシドリ)

鳥類の同性ツガイに関する研究が始まったのは、1970年代のこと。

「一つの巣の中に、メスが一度に産める以上の卵が見つかったことがきっかけでした。その巣を観察したところ、2羽のメスがツガイとなって一緒に子育てをしていたんです」

オスと交尾をしたのち、ツガイ相手であるメスのもとに戻って子育てをしていることが判明したのだった。他にも興味深い研究結果がある。

「モズの卵をDNA鑑定し親子判定を行った実験があるんです。卵のうち、じつに10%が別のオスの卵でした」

モズは、強固な一夫一妻制を守る鳥として知られている。それでも10%という割合でいわゆる”浮気”が生じていることについて、「優秀な遺伝子を残すため、メスは主体的、かつ慎重に交尾相手を選んでいる」と上田教授は考える。

“誰の”子どもを生むのか。“誰と”生涯を共にするのか。必ずしもそれは一致しなくていい。それが、自然界からの教えなのかもしれない。

人間にも通ずる「相性」の重要性

さらに、上田教授は「人間にも通ずるものがある」と言う。

「哺乳類の多くが一夫多妻制を取っているのですが、ふしぎなことに、人間も一夫一妻制を守る国や文化が多いんです」

その背景には、片親だけで子どもを育てるのは難しいという現実がある、と上田教授は指摘する。

人間の子どもは、他の動物に比べて未熟な状態で誕生し、数年の間は親のつきっきりの介助を必要とする。その期間、もう片方の親は狩猟をしたりお金を稼いだり、生活を支えなければならない。ただ子どもが産めるかだけが重要なわけではない。

「人間も、絆や相性の方を重視しているかもしれませんね」

ーーー

BuzzFeed Japanは、4月26日より5月9日まで「LGBTウィーク」として、LGBTに焦点をあてた記事やコンテンツを集中的に発信します。

13人に1人は、セクシャル・マイノリティ。これは株式会社電通が2015年、成人約70,000人を対象に調査した結果です。LGBTをはじめとする性の多様性は、そのまま社会の多様性へとつながります。私たちは今回の特集を通じて、多様性をポジティブにとらえる機会を提供したいと考えています。

・記事一覧

https://www.buzzfeed.com/lgbtjp

Asami Togiに連絡する メールアドレス:asami.togi@buzzfeed.com.

Got a confidential tip? Submit it here.