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「太っただけだと思ってた。でも…」人気モデルが、女の子みんなに言いたいこと。

原宿系モデルとして人気絶頂だった24歳のとき。体にある異変が起きた。

「私最近やばいんですよ。お腹出てないですか? 超デブ」。周りには自虐ネタのように話していた。正月明けで食べすぎたのかもしれない。

病院に行くと「手術する必要があります」と言われた。卵巣が爆発寸前だったのだ。

痛みはまったくなかった。婦人科にも行っていた。

話すのは中田クルミさん(25)。「GINZA」や「NYLON」などの雑誌で活躍する人気モデルであり、DJだ。Instagramに投稿すればすぐに数千のLikeがつく。

中学生のころから夢だった女優業も好調だ。3月16日からは、舞台「スーパーダンガンロンパ2 THE STAGE ~さよなら絶望学園~2017」にも出演する。

24歳のある日、彼女は写真とともにブログに綴った。

「ちょっくら入院することになりました」

「円形脱毛症になったので鍼をやってもらってたんです。そしたら『ちょっとお腹出てるね』って言われて。正月明けだったし、自覚はあったのでジムにも行ったんですけど、へこまない。内臓下垂かと思って骨盤矯正に行ったら『今すぐ婦人科に行って』って言われて」

細いウエストと下腹部のコントラストに目が行く。通常2cmほどの卵巣は約13cmに膨れ上がっていた。卵巣のう腫と子宮内膜症を併発していたのだ。

「私は生理不順だったので、高校生の時から産婦人科に行ってたんです。でもエコー検査はしたことなくて。ちゃんと検査しなきゃだめだなって思いました」

あんまりショックじゃなかった。

子宮や卵巣に病気が見つかったと聞いたら、どう思うだろうか? 将来妊娠できなくなるのでは? 身体にメスが入るの? それもモデルという、人に見られる仕事をしている彼女だ。

「私、高校生の時に前十字靭帯を断絶していて、手術は3回しているので、全身麻酔は慣れっこ(笑)。もちろん少しは悲劇のヒロインモードにもなりましたけど、こういう星のもとに生まれたんだなぁって」

入院は1週間程度。手術による妊娠への支障はないという。

「この病気って、女の子の10人に1人がなるって言われているくらいよくあるものらしくて、そのぶん、治療技術も発達してるんですよね。どの病院に行ってもしっかり治せるって言われてたので」

術後5日で退院。貧血の症状に悩まされたが、すぐに仕事に復帰した。

「術後の癒着を防ぐため、動いた方がいいと言われました。つらいときは鉄分の薬と青汁をめっちゃ飲みました。広告に出れるくらい毎日飲んでた」

笑いをまじえながらサクサクと話す姿に、自分が先入観を持っていたことに気づかせられる。彼女は悲しくつらい経験をしたわけではないのだ。

「ちょうど昨日、車のタイヤが2回パンクしたんです。まず、会社の車がパンクして、次にプライベート用の車。『1日にタイヤが2回パンクすることって人生であるの!?』って、その不条理さに笑っちゃいました。でも、起きたことは仕方がないし、タイヤ交換しないと、どこにも行けない。今回の病気も同じだなって思いますね」

「ちゃんと検査してこなかった自分も悪いし、女の子はそもそも婦人科にもあんまり行かない。それがよくないんだよ!って思ったのでブログを書いたんです」

先述のブログがそれだ。「女の子はみんな読んでね。お願いです。」というタイトルの記事は、瞬く間に拡散。「次の日、LINEニュースにもなってて、反響にビックリしました」と笑う。

言いたい。でも言えない。でもでも、わかって欲しい。

ブログには数百のコメントがついた。その多くが「私も同じ病気だった」という告白だった。さまざまな年齢、状況の下、同じ病気にかかり、不安な日々を過ごしていた女性がいたのだ。気軽には言えない。でも言いたい。そんな想いが溢れていた。

「手術の前、ラジオのディレクターさんに『下腹が出てやばいんですよ』って話をして、『私も!』って同意してもらってたんですよ。ブログを読んだ彼女が『実は私も筋腫を切っていて、今も少し腫れているのはそのせいなんだと思う』って告白されたんです。こんなに近くにいた!って思って」

母に連絡したときも、極めて普通だった。どうやら中田さんの幼馴染も、中学生の時に同じ病気にかかっていたのだ。

中田さんのブログは他の機能も果たした。「私のブログを読んで、病院に行って発覚した人も多くて驚きました。でも30人友だちがいたら、3人が同じ病気かもしれないから」。

女の子は美容にはお金を使うのに、健康にはお金を使わない。

あっけらかんと話す中田さんだが、手術を経験し、あることに気がついた。

「女の子って、化粧品や美容品を買ってかわいくなろうとしますよね。でも、美容って、健康じゃないと何の意味もない。美容には気を使うのに、どうして健康には気を使わないんだろう? エステは行くけど人間ドックにはいかないじゃないですか。同じ値段なのに」

街を彩る広告は、女の子をかわいくする魔法をかける。かわいくなれば幸せが約束されているかのように。でも、健康があってこそ、美しくなる意味がある。

「何歳までに子どもを産みたいっていう話あるじゃないですか。それって、子どもが産める前提の話ですよね。妊娠するのってそんなに簡単なことじゃないのに、普通に生活してたら自覚しませんからね。そういうこと」

だからこそ、中田さんは筆をとったのだ。人気モデルの告白は大きな注目を集めたが、彼女にとっては"普通"のことだった。

「パーソナルなことを世に出すのは当たり前のこと。モデルも女優も溢れるほどいるので、『私が死んでも代わりはいるもの』って思うこともあります(笑)。でも、こうやってパーソナルな部分を発信してきたから、今の自分があるんだなって。病気もそうですけど、溜め込むのはよくない。やりたいことがあるなら言った方がいいし、取り除けるものがあるなら切っちゃった方がいい」

彼女は、3年ほど前に書いた自著「NOWHERE」をこう締めくくっている。

好きな物は好きだと言いたい
自分の中身を吐き出したい
何かに影響を与えられる存在でありたい


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