美山加恋らの起用は話題性ではない プリキュアが声優の人気、知名度を度外視する理由

    美山加恋、福原遥の声優起用でも話題の「キラキラ☆プリキュアアラモード」

    現在放送中のアニメ「キラキラ☆プリキュアアラモード」。1月5日にプリキュアを演じる5人の声優が発表されると、大きな話題を呼んだ。

    美山加恋(20)

    福原遥(18)

    元人気子役で女優を本業とする2人の名前があったからだ。

    宣伝効果を狙ったキャスティングでは?との声もあるが、BuzzFeed Newsのインタビューに応じた東映アニメーションの神木優プロデューサーは「狙ったものではないです」と話す。

    近年のアニメでは、声優の知名度を意識したキャスティングも少なくないが、プリキュアは違う。

    「プリキュアの現場の特徴なんですが、キャスト(声優)の知名度を度外視して、本当に声がキャラに合っているか。キャラのことを突き詰めて考えましょうというコンセプトを一貫して守っています」

    これまで人気声優が起用されたケースもあったが、個人の人気に強く影響されたことはない。

    「子供の時って、本当にそのキャラクターが存在しているかもしれないと想像したりして、声優が誰なのかを意識しないことも多いあるかと思います」

    「プリキュアシリーズでもキャスト公開時は反響をいただき大変うれしいですが、物語が進んで行くと誰が演じていたかよりも、キャラがどれだけ好きになってもらえたかかという評価に差し変わります。見てほしいお子さまにどのようにキャラが届くかが大事です」

    美山を主人公であるキュアホイップ(宇佐美いちか)役に選んだポイントは、その等身大の演技だった。

    「キュアホイップは『ピンク×ショートケーキ×うさぎ』をモチーフにしていて、見た目は甘いイメージのキャラクターにみえるんですけど、実際はギャグも飛ばすし、さばさばしているところもある活発な普通の女の子。そんな私たちのイメージに美山さんの演技はぴったりでした」

    プリキュアは敵と戦うヒロインである一方、等身大の中学2年生でもある。美山の強さがありながら、女の子であるという声の表現の仕方にいつも感心しているという神木さん。

    「この作品でいちかと共に歩んでいく…そんなイメージを美山さんに感じました」

    福原遥をキュアカスタード(有栖川ひまり)役に起用したのも、キャラとイメージが合っていたから。

    「キュアカスタードは、引っ込み思案なところがあるけれど、大好きなスイーツお菓子のことはついしゃべりすぎちゃう。一見マイナスにも捉えられる一面も持ちがながらかっこよく戦うプリキュアでもあり、とてもバランスが難しい」

    「オーディションでいろんな引き出しを見させていただく中で、カスタードというキャラの魅力を一番引き立てて下さった福原さんに決まりました」

    ほかの3人のキャスト起用のポイントも聞いた。

    声優・村中知が演じるキュアジェラート(立神あおい)はツッコミを飛ばしながら、元気にみんなを巻き込んでくれるイメージ。

    「強さもありながら、ニシシと笑うキュアジェラートの楽しい雰囲気もうまく表現していただいた。バンドのボーカルという設定で、歌を歌うキャラなので、その点でもお力添えをいただけるのではと思いました」

    藤田咲が演じるキュアマカロン(琴爪ゆかり)は凛としているだけでなく、つれなかったり気まぐれな猫っぽいキャラ。

    「実はマカロンを演じた方の中で一番怖いマカロンを演じていて、すごく強くて印象的だったんです。マカロンは何を考えているかわからないミステリアスな部分とチャーミングさをなど、深みをもって演じてもらえると思いました」

    ボーイッシュなキュアショコラ(剣城あきら)を演じる森なな子は過去に宝塚歌劇団に所属。

    「ショコラは男装している女性ではなく、自分が一番似合うスタイルを貫いている女性。ボーイッシュだけど母性でみんなを包み込むキャラで、柔らかさを兼ね備えたお声、お芝居だったので、森さんにお願いしました」

    キャストの年齢差もばらばらだが、アフレコ現場の雰囲気も和気あいあい。

    「ペコリン役のかないみかさんがお母さんみたいに、みんなを包み込み、見守っている雰囲気で、仲がいいですよ。みなさん、それぞれにお芝居の幅が広く、刺激になる現場だと言われます」

    美山と福原は子供のころに初代プリキュアを見た世代。美山さんはブラック派、福原はホワイト派だと、プリキュア話に華を咲かせているという。

    今作はスイーツを題材にしており、番組後半ではアニメに登場するお菓子「アニマルスイーツ」の実際の作り方を放送している。

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    子供にとってアニメは生活の一部であり、大人に比べて身近なもの。両親と話すきっかけであったり、友達と遊ぶツールだ。

    「せっかく生活に身近な『スイーツ』が題材なので、もっとプリキュアとしてできることがあるのではないかと、アニメと同じ体験を現実でもできるようにスイーツ作りを作品の重要な要素として展開しています」

    神木プロデューサー自身、東映アニメで製作された「美少女戦士セーラームーン」に夢中になった世代。

    「今後プリキュア5人は『キラキラパティスリー』というスイーツショップを開きます。スイーツショップでは、制服を着て働くお姉さんの輝きだったり、スイーツに囲まれた子供たちの憧れが詰まった空間なので、そこをプリキュアでも描きたいと思ってます」

    かつて自分が抱いた憧れを、現在プリキュアを見る子供たちにどうしたら持ってもらえるか考えている。

    「5人のプリキュアとしての活躍、キラキラパティスリーを通して、キャラがどう成長して変わっていくかの変遷も描いていきたいと思っています。通して見ていただくうちに、面白いと思ってもらえるポイントも増えていくと思うので、継続してご覧いただけるとうれしいです」

    今後の展開について語った神木さん。

    取材中、記者の子供がプリキュアを見ていることを知ると、どんな風に楽しんでいるのか、スイーツに興味はあるかなど逆取材。

    プリキュア、そしてその製作者はあくまで子供目線。子供ファーストだった。