ドナルド・トランプ氏が米大統領選に勝利した後、全米各地でヘイトクライムが起こり問題視されている。そんな中、米国のミシェル・オバマ大統領夫人に対して発せられた差別発言が物議を醸している。
発端は、ウェストバージニア州のNPO職員がフェイスブックで発したコメントだった。
ウェストバージニア州クレイ郡にあるNPOの職員、パメラ・タイラーさんは、フェイスブックで「本当に爽やかな気分。センスが良くて、綺麗で、品位のある大統領夫人がホワイトハウスに戻ってきた。ヒールを履いた猿には見飽きた」と発言した。
「ヒールを履いた猿」はミシェル・オバマ大統領夫人、「品位のある大統領夫人」はメラニア・トランプ夫人、と読み取れる。
タイラーさんがフェイスブックにコメントを書き込んだ正確な時刻は明らかでない。
このタイラーさんの差別発言に対して、クレイ郡の郡長、ビバリー・ウェーリングさんが、こう返信した。
「あなたのおかげで良い一日になりました(Just made my day)」
差別発言を容認する郡長の発言が11月14日、地元メディアで報じられると、SNSを中心に非難が集中。インターネット上では、2人の辞任を求める運動が起こり、約16万7千人の署名が集まった。
11月15日夜、郡当局はウェーリング郡長の辞任を発表するとともに、「あの発言は郡の信念を表現するものではない」と差別反対の姿勢を明らかにした。
自身の発言で辞任に追い込まれたウェーリング郡長は「意図せず傷つけてしまった方々へおわびする。人種差別の意図は全くなかった」と謝罪した。
さらに、ウェーリング郡長は「ホワイトハウスが変わったことで良い1日になったという意味だった。知人は私が人種差別主義者でないことを知っている」と弁明を繰り返した。
タイラーさんもフェイスブック上で謝罪した、との報道もある。2人のフェイスブックは、騒動以降アクセスができなくなっている。
郡当局はBuzzFeed Newsに「タイラーさんは解任された。郡の建物の中にはいない」とだけ話した。タイラーさんが配置転換されたのか、解雇されたかについては、明らかでない。
根強い人種差別
トランプ氏の当選以降、白人至上主義団体KKK(クー・クラックス・クラン)が南部アラバマ州で人種差別的なチラシを配るなど、米国でヘイトクライムが増加している。
ワシントンポストによると、ウェストバージニア州クレイ郡の住民の中には、「正しくない発言」「私たちは人種差別主義者でない」と一連の騒動を問題視する声もあるようだ。
しかし、「この街で人種差別発言をしても問題視されることはなかった」との声も報じられている。人種差別が日常化していたとも推測できる。
行政機関の一員である、郡長から飛び出した差別発言。アメリカに根強く残る人種差別を映し出しているようだ。
この記事は英語から翻訳されました。
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