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組体操・プロレスで事故も…「1メートルは一命取る」が教える危険性

転落・転倒による死亡者数は、交通事故よりも多い。

安全衛生の現場では「1メートルは一命取る」という標語がある。たった1メートルの高さからでも、転落・転倒すれば命に関わるという意味だ。

この標語が、Twitter上で話題となっていた。例えば、こちら。

「1メートルは一命取る」のお話。これには「絶対に安全な高さ」などそもそも存在しないという点にも注意せねばなりません。 労安法では2mの高さからを高所作業と定義してはおりますが、これはあくまでも「墜落」という視点で捉えるもの。「転倒… https://t.co/2OPqjPX6y8

実際に、小中学校での組体操では、全国で年間約8000件の事故が起きていた。2014年に世田谷区立小学校の体育館で授業中に起きた事故では、当時小学6年生だった生徒が、倒立を2人組で練習していた際に頭と背中を床に打ち付けた。

脳脊髄液減少症と診断され、1年ほどは車椅子での生活を余儀なくされた。世田谷区はその法的責任について、争いつつも話し合う姿勢を示したことが、4月25日の両親の会見で明らかになった

一方、訓練を積んだ大人でもケガをすることはある。プロレスラーの本間朋晃選手は、3月3日の試合でセカンドロープの高さから技をかけられ救急搬送、頸髄損傷と診断された。事故の瞬間について、公式ブログで次のように述べている

「沖縄での試合で邪道選手のDDTをくらった瞬間、今までに味わったことのないような電流が首から下に走りました。その後、首から下が硬直しピクリとも動きませんでした」

転落・転倒による死亡者数は交通事故よりも多い。転倒に限定すると、労災認定された死傷者数は2万5000人以上。

厚生労働省が発表した『平成 27 年人口動態統計月報年計(概数)の概況 』によれば、転落・転倒による死亡者数は7457人で、交通事故による死亡者数の5544人より多い。

このうち「転倒」について、BuzzFeed Newsが厚労省を取材したところ、「労働災害に認定された転倒の死傷者数は25949人(2015年度)で、労働災害の中でもっとも件数が多かった」との回答があった。

「若い人でも、転落・転倒して、命に関わる事故に遭う危険性は十分にある」とBuzzFeed Newsに話すのは、中央労働災害防止協会(中災防)の担当者だ。同協会は厚労省と共に、転倒防止の啓蒙活動に積極的に取り組んでいる。

このような事故を防ぐためにはどうすればいいのか。中災防担当者によれば、まずは足場に「物が置かれていたらどかす」、足場が「水などで濡れていたら拭く」「暗いなら明るくする」など、足場の確保が重要になるという。

「安全衛生を守るには、リスクアセスメントと言って、自分たちで潜在的な危険性や有害性を見つけ出し、 事前に的確な対策を講ずることが不可欠です。“1mは一命取る”の標語にもあるように、高いところに限らず、転落・転倒には命に関わる危険があることに注意してください」(同担当者)

訂正

「中労防」を「中災防」に訂正しました。