政権に近い保守団体が出版停止を要求 話題の本「日本会議の研究」

    日本会議の議員懇談会には、首相を筆頭に閣僚の名が連なっていた。

    「直ちに出版停止」を求められた本

    4月28日、出版社「扶桑社」にFAXで申入書が届いた。差出人は「日本会議事務総長 椛島有三」。扶桑社から出たばかりの菅野完さん著『日本会議の研究』の出版停止を求めるものだった。

    本は、菅野さんによるウェブ上の連載をまとめたもの。日本会議のルーツや歴史、彼らが展開してきた保守系の市民運動について取材、検証している。連載時にはなかった抗議が、なぜか出版直後に送られた。

    日本会議による申入書の趣旨はこうだ。

    この本では、日本会議について裏付けの取れない証言を並べ、活動を貶める目的で編集されており、団体・個人の名誉を傷つける。「日本会議が、宗教的背景を持つ特定の人物」に束ねられているという結論部分に対し、特に強く反応しており「全く事実に反している」と主張。直ちに出版停止するよう求めている。

    「日本会議」とは…

    1冊の研究本に対し、即座に出版停止を求めた「日本会議」は民間の保守派団体だ。彼らのホームページによると、「全国に草の根ネットワークをもつ国民運動団体」であり、「日本会議は、美しい日本を守り伝えるため、『誇りある国づくりを』を合言葉に、提言し行動します」とある。

    すみやかな憲法改正、日本会議の女性組織による夫婦別姓反対の集い…。活動方針や彼らが進める国民運動は、ホームページに公開されている。

    日本会議が注目を集めるのは、政権と近い関係にある点だ。朝日新聞によると「超党派による『日本会議国会議員懇談会』」のメンバーに、2015年9月時点で、安倍晋三首相を筆頭に、閣僚、自民党役員らが名を連ねている

    実は「申入書」だけではない

    抗議は、申入書だけにとどまらない。

    申入書とは別に『日本会議の研究』に登場する人物から、代理人を通じて出版差し止めを求める法的文書が扶桑社に送られているという。BuzzFeed Newsの取材に対し、複数の関係者が認めた。

    なぜ、日本会議はここまで抗議をするのか。

    「出版停止を求めているのは事実だが、これ以上詳しいことはコメントはできない。見解は後日、明らかにする」

    日本会議の担当者は、BuzzFeed Newsにこう話した。

    出版社、筆者は…

    BuzzFeed Newsは出版側にも話を聞いた。

    扶桑社は「係争関係にあり、コメントできない」。菅野さんは「1年間かけて取材と資料を読み込んだ結果を、世に問うたまでだ」とコメントした。