あなたに落ち度はない いじめられている当事者に必要な「メッセージ」

    「いじめは100%、する側が悪い」

    「つらいけどぼくはいきるときめた」

    福島第一原発事故で横浜市に自主避難をした中学1年の男子生徒(13)が、小学校時代にいじめを受けていた問題。男子生徒は手記で「ていこうできなかった」と繰り返し、学校側が「しんようしてくれなかった」と綴っていた。学校側にも問題があったことがうかがえる。

    もし学校が頼りなかったらどうしたらいいのだろう。いじめをうけている児童、生徒が相談する窓口はいくつもある。これを忘れてはいけない。

    事実関係を整理しよう。

    横浜市教委、報道などからまとめる。生徒と家族は東日本大震災の発生後、2011年8月、福島県内から横浜市に自主避難してきた。いじめを受けたのは、転校先の市立小だ。複数の児童が、彼の名前に「菌」とつけて呼ぶようになった。

    小学5年時には、加害児童ら約10人と遊園地やゲームセンターにいくようになり、遊びに使う金だけでなく、食事代、交通費など総額150万円(生徒側の弁護士)を超える額を使わされた。「ばいしょう金があるだろ」(手記)というのが理由だった。

    「ていこうできなかった」

    生徒の手記で繰り返しでてくる言葉は「ていこうできなかった」だ。

    いじめで「菌」扱いをされたときの言葉。

    「ばいきんあつかいされて、ほうしゃのうだとおもっていつもつらかった。福島の人はいじめられるとおもった。なにもていこうできなかった」(手記

    これはお金を巻き上げられた時の言葉。

    「お金もってこいと言われたときすごいいらいらとくやしさがあったけど、ていこうするとまたいじめがはじまるとおもってなにもできずにただこわくてしょうがなかった」

    「ばいしょう金あるだろと言われむかつくし、ていこうできなかったのもくやしい」

    学校に相談しようにも、彼の目からみると、学校や「せんせい」は頼りにならない存在だったことがうかがえる。

    「いままでいろんなはなしをしてきたけど (学校は)しんようしてくれなかった」「せんせい」には「なんかい」も「むしされてた」。

    それでも、彼はこう続ける。

    「いままでなんかいも死のうとおもった。でも、しんさいでいっぱい死んだからつらいけどぼくはいきるときめた」。

    どうやって最悪の状況から脱すればいいのか

    多数の暴力に追い込まれて抵抗できないとき、どうやって最悪の状況から脱出すればいいのだろう。きっと彼のように、そこを悩む児童、生徒は多いだろう。

    ヒントが詰まったウェブサイトがある。弁護士ら専門家有志が立ち上げた「ストップいじめ!ナビ」だ。

    そこには「いじめは100%、する側が悪い」という強いメッセージがある。

    こそこそ隠れて起きるいじめにどう対処したらいいのか。いじめる側の言い訳への対処法、先生が気付いてくれないときは誰に訴えたらいいのか。便利な情報が一覧でまとまっている。

    隠れて起きるいじめには有効なのは「証拠ノート」だ。ここからダウンロードすることもできる。

    いつ、どこで、誰と誰に、どんなことをされて、どうなったか。その証拠はあるのか。いじめっ子は何人で、誰がリーダー格なのか。そういうことを、ひとつひとつ記録していこう。誰かにいじめの事実を伝える時には、ノートに記録していくだけでも、十分な証拠になる。そして、いじめる側の言い訳もパターン別に整理されている。

    重要なのは、いじめる側の言い訳を真に受ける必要はないということだ。

    被害者が苦痛を訴えているなら、加害者の意図がどんなものであっても、それはもう遊びやからかいではない。そのことに気づかず、行為を止める気もないなら、それはもう、いじめっ子以外の何物でもない。

    相手に何か悪い点があったとしても、叩いたり無視したり悪口を言ったりといった、いじめを行うことが正当化されることは決してない。(ストップいじめ!ナビのウェブサイトより)

    いじめをうける生徒が苦痛を感じた時点で、それは悪ふざけや遊びではない。いじめられる自分に落ち度があるかも、と考える必要もない。

    仮に学校側の動きが悪かったらどうしたらいいだろう。その回答もまとまっている。

    まず、いじめは担任の先生だけの問題ではない。頼りにならかったら、別の教員や教頭、校長に相談するという手もある。それでもダメなら、外部の相談窓口だってある。

    担任の先生に伝えるのが難しい場合にも、別の手段はある。大人は、親や担任の先生だけじゃない。前の担任の先生、教頭先生や校長先生、保健室の先生やスクールカウンセラー、市の専門職の人や電話相談などに応じてくれるNPOの人など、たくさんいる。

    必要に応じて、弁護士やソーシャルワーカーを頼ってもいいんだよ。(同ウェブサイト

    代表的な相談窓口はこちら。いくつか抜粋する。

    子供向け電話相談の場合……

    チャイルドライン(0120-99-7777)

    「チャイルドラインは、18歳までの子どものための相談先です。かかえている思いを誰かに話すことで、少しでも楽になるよう、気持ちを受けとめます。あなたの思いを大切にしながら、どうしたらいいかを一緒に考えていきます。お説教や命令、意見の押し付けはしません」

    24時間子供SOS(0120-0-78310)

    「子供たちが全国どこからでも、夜間・休日を含めて、いつでもいじめやその他のSOSをより簡単に相談することができるよう、全都道府県及び指定都市教育委員会で実施。下記のダイヤルに電話すれば、原則として電話をかけた所在地の教育委員会の相談機関に接続」

    メールなら……

    インターネット人権相談窓口

    「法務省の人権擁護機関では、人権相談をインターネットでも受け付けています。相談フォームに氏名、住所、年齢、相談内容等を記入して送信すると,最寄りの法務局から後日、メール、電話又は面談により回答します。あなたの悩みごとや困りごとについて、ひとりで悩まず、気軽に相談してください」