安倍首相がトランプ氏と初会談「トランプ氏は信頼できる指導者」 場所は前日になっても決まらず?

    「米国務省は関与していない」との報道も

    安倍晋三首相は11月17日夜(米現地時間)、米ニューヨークでトランプ次期大統領と会談した。

    トランプ次期米大統領が選挙後、最初の会談相手に選んだ首脳は安倍首相だった。

    会談は1時間半にわたり、ニューヨーク市内のトランプタワーで行われた。会談を終えた安倍首相は市内のホテルで記者団にこう語った。

    「ともに信頼関係を築いていくことができる、そう確信のできる内容だった。私の考え方を話させてもらった。トランプ次期大統領は、信頼できる指導者であると思っている」

    一方で、トランプ氏が大統領に就任していない段階であるとし、具体的な会談内容に関する言及は避けた。

    NHKによると、日本の首相が米大統領選挙に勝利した候補者と、大統領に就任する前に会談するのは異例で、少なくとも2000年以降は初めてという。

    朝日新聞によると、安倍首相とトランプ次期大統領の会談に同席したのは通訳のみ。会場には米国の報道陣も集まっていたという。

    副長官番・小野|安倍首相の訪米に同行取材しています。日本外務省によると、首相とトランプ氏との会談の同席者は通訳のみ。会場には米国の記者も集まっています

    時事通信によると、安倍首相はアジア太平洋地域の安定と繁栄には、引き続き日米同盟の強化が不可欠との見解を表明した。

    環太平洋経済協定(TPP)や在日米軍基地の費用負担などに関して具体的な議論は交わしたかが注目されていた。

    トランプ氏は選挙戦で日米同盟の再考を訴えていた。日本側に基地の費用負担の増大を要求。

    トランプ氏はTPPには真っ向から反対。「TPPは最低の協定だ」として、「ないほうがいい。むしろ個々の国とそれぞれに協定を結ぶ」と表明していた。

    しかし、選挙後、トランプ氏は以前に比べ抑制された発言を繰り返している。安倍・トランプ会談をきっかけに、日本は活路を見いだせるのだろうか。

    トランプ氏は3月、ニューヨークタイムズ紙のインタビューで、日本の核武装を容認する発言をしている。「日本の核武装に反対するか?」と聞かれ、「北朝鮮の脅威に対して米国が日本を守っている。それもいずれできなくなる時が来る。核武装も可能性としてある」と発言した。

    だが、トランプ次期大統領は11月14日にこれを否定するツイートをし、発言が揺れている。

    NHKによると、安倍首相は渡米前の11月17日午前、羽田空港で記者団に対し、「日米同盟は、日本の外交・安全保障の基軸であり、信頼があってはじめて同盟には血が通う。トランプ次期大統領とは、まさに信頼関係を構築していきたい」と意気込んでいた。

    菅官房長官も11月17日午前の記者会見で、「トランプ次期大統領が当選した直後、極めて早い段階で電話会談を実施し、よいスタートを切ったと思っている。トランプ次期大統領との個人的な信頼関係を構築する、極めてすばらしい機会になると思っているし、極めて有意義な会談になるだろうと期待している」と話していた。

    安倍首相は11月10日朝、トランプ氏と電話会談した。時事通信によると、首相が「強固な日米同盟はアジア太平洋地域の平和と安定を下支えする不可欠な存在だ」と指摘すると、トランプ氏は「日米関係は卓越したパートナーシップであり、さらに強化していきたい」と明言したという。

    前日になっても場所決まらず?

    ところが、ロイター通信が伝える内幕は様子が違う。会談前日になっても、場所も時間も決まっておらず、誰が参加するかも未定だったという。

    米国内で詳細な計画なしにハイレベルな外交会談を開くのは異例。米国務省は関与しておらず、ある日本政府関係者は「混乱しまくっている」と漏らしたという。

    安倍首相は9月に国連総会出席のため訪米した際、トランプ氏とは会わず、民主党のヒラリー・クリントン氏と会談していた。