医療情報サイトなのに「不倫」「略奪愛」? DeNA運営メディアWELQの信頼性は

    「不倫で相手を略奪するには?」

    11月上旬、DeNAが運営するヘルスケア情報サイト「WELQ(ウェルク)」の一部記事が閲覧できなくなった。

    WELQは「健康や医療をもっと身近に」がコンセプトのメディアだが、意外なキーワードでも、Google検索結果の上位に食い込んでいる。

    「ダブル不倫」で検索結果1〜3位を独占

    こちらは、2016年11月8日時点のGoogle検索結果だ。

    「ダブル不倫」で検索すると、1〜3位までWELQの記事が占めていた。これらは少なくとも11月2日まで存在していたが、現在は閲覧できず、アクセスするとWELQのトップページに自動転送される。

    記事はどのような内容だったのか。

    1位の記事「【ダブル不倫】メリットもある?向いている人の5つの特徴│気をつけたいことや別れの時期・バレた時に起こる状況など教えます!」のGoogleキャッシュデータを見ると、Googleが最後にアクセスしたタイミング(2016年11月2日 09:36:05 時点)のページ内容が確認できる。

    そこには、「ダブル不倫って何?」「ダブル不倫のメリット」「ダブル不倫に向いている人の特徴」「ダブル不倫を続けるために気をつけたい事」といった見出しが並ぶ。

    また、WELQは「略奪愛」「社内不倫」「不倫 ばれない」などのワードでも検索結果1位を獲得していた。

    繰り返すが、WELQは「健康や医療をもっと身近に」というコンセプトを謳うメディアだ。

    ▼「略奪愛」の検索結果1位

    ▼「社内不倫」の検索結果1位

    ▼「不倫 ばれない」の検索結果1位

    いずれも記事は表示されず、「ダブル不倫」の記事と同様に、アクセスするとトップページに転送された。

    責任は負わないが、「信頼性向上」を目指す

    WELQはもともと記事の正確性、完全性、有益性、特定目的への適合性、その他一切について責任を負わないと記事文末に明記されている。

    BuzzFeed Newsは、WELQの信頼性についての記事を10月に掲載した。その後、ウェブサイトではこんな告知がなされた。


    弊社では、今後もより多くの方にご活用いただけるメディアを目指し、医師などの専門家による監修を受けた記事配信の増強ならびに提供記事におけるガイドラインの整備など、よりサービスの信頼性を向上させていく所存です。

    現在でも、不倫に関する記事がすべて非表示となったわけではない。「浮気・不倫」に関する記事一覧ページを見ると、11月2日時点では82件だった記事が、11月16日時点で7件。また、ほかのカテゴリーでも同様に、一部記事が非表示となっていた。

    つまりDeNAは、カテゴリー単位でなく、記事単位で「信頼性」に関わる内容を選別し、非表示にしているのかもしれない。

    記事の非表示は、「信頼性を向上」させるための一環だと、BuzzFeed Newsの取材にDeNAは答えている。

    編集部が依頼した記事も

    WELQでは、会員登録して誰でも記事が書ける一方、編集部がテーマを決め、外部のライターに発注していることがBuzzFeed Newsの取材でわかっている(詳細)。

    非表示となった記事の制作に、DeNAは関与しているのか。

    BuzzFeed Newsの質問に対して、「(一般会員と外部ライター)いずれも含みます。内訳は非公表とさせていただいております」とDeNAは回答した。

    つまりDeNAは、自らが制作に関わった記事について「信頼性を損なう」と判断し、非表示にしたということになる。

    対策は「一時的な転送」。再公開の可能性もある

    WELQでは通常、存在しないページにアクセスすると「404 Not Found. ページが見つかりませんでした」というエラーページが表示される。

    しかし、今回非表示となった記事にアクセスしようとすると、404エラーページは表示されず、一時的に別のページへ転送する処理(302リダイレクト)がなされている。

    なぜ、「一時的な転送」という処理にしたのか。DeNAは「WELQの元々の仕様」と説明するにとどめた。

    医療とは関係のない記事を、今後、再度公開する考えはあるのだろうか。DeNAは「再公開はあり得る」とし、「具体的には検討中です」と回答している。