精子提供の問題を「タブーにしてはいけない」
いま、精子提供の現場に大きな変化が起きている。朝日新聞の報道によると、2003年と比べて第三者の精子を使って人工授精(AID)に取り組む医療施設が、26ヶ所から7ヶ所に減少している。
子どもに精子提供者の情報を知らせる「出自を知る権利」が世界的に認められつつあり、トラブルを避けるため、精子提供者が減っていることが、減少の背景にあるという。
このことが遠因となって、インターネットを介して募集する個人精子バンクを利用する人がいる。
Aさんは、インターネットで個人精子提供を行う20代前半の精子ドナーだ。匿名を条件にBuzzFeed Newsのインタビューに答えた。
「自分のやっていることが正しいとは思っていません。ただ、一部では本当に必要としている人がいる。だから、この問題をタブーにしてはいけない。(精子提供について)もっと議論をしてほしい」と言葉を慎重に選びながら、Aさんは話す。
インターネット上で精子提供を求める人とやりとりを重ね、実際に会い、自らの精子をボランティアで提供する。なぜ、Aさんは精子ドナーになったのだろうか。
「(精子の)需要と供給がつりあっていない」
リスクがある個人精子提供
「『諦めろ』と言えますか?」
「現状のAIDは、マイノリティー(レズビアン、独身女性など)を除外するものです」と原院長は指摘する。
「私自身の考えとしては、個人の精子提供者が必要なくなれば、それが一番いいと思います」
ある精子提供者は、BuzzFeed Newsに対して次のように話す。
「でも自分や自分のパートナーが男性不妊だったらどうしますか?『諦めろ』とその時に言えるのでしょうか……」
今日もそうして、個人精子ドナーのもとに多くの人々が訪ねていく。