【森友学園】昭恵夫人「主人も時間があれば幼稚園に来たいと言っている」 講演動画が公開

    「100万円の寄付があった」。そう籠池泰典・前理事長が主張している2015年9月5日の講演で語られたこととは。

    森友学園の土地取引をめぐる問題。安倍晋三首相は自身や昭恵夫人の関与を否定しているが、そんななか、学園の運営する「塚本幼稚園」で昭恵夫人が講演している動画が4月3日、公開された。

    動画は、学園側が「100万円の寄付を受けた」と言っている2015年9月5日の講演を撮影したものとされる。

    一部分はすでにテレビ東京などが報じているが、全編が公開されたのは初めてだ。

    公開されたのは「アキエリークス」と題するサイト。3月24日から学園内部の資料を定期的にアップしているサイトだが、誰が何の目的で運営しているかは不明だ。

    動画は全3本。1時間の講演を、2度している様子がわかる。

    件の土地にできるはずだった「瑞穂の國記念小學院」の名誉校長を務めていた昭恵夫人。まず1度目の講演では冒頭、学園関係者から学校や教育への「熱い思いを語っていただきたい」と紹介を受け、こう挨拶をする。

    「ご紹介いただきました安倍晋三の家内の安倍昭恵でございます」

    前日に大阪入りしていた安倍首相

    「籠池園長、副園長の本当に熱い思いを何度も聞かせていただいて、この小学校に何か私もお役に立てればいいなと思っておりました」

    籠池泰典・前理事長やその妻との関係について触れながら話を始める昭恵夫人。

    安倍首相は籠池氏とは「個人的な関係は全くない」「私や妻が(国有地売買に)関係していたということになれば、首相も国会議員も辞める」としていたが、こんな発言もあった。

    「昨日主人は、『ミヤネ屋』と『そこまで言って委員会』の収録のために大阪に来ておりました。時間があればぜひこちらにも寄らせていただきたいと言っていたが、とんぼ返りですぐに戻ってしまいました」

    国会会期中だった「昨日」(2015年9月4日)に大阪入りしていた。安倍首相。その前日(9月3日)には、財務省の迫田英典理財局長(当時)とも面会している

    また、この9月4日には、森友学園側の業者と近畿財務局、大阪航空局の話し合いが開かれていることが明らかになっている。

    そして9月5日。昭恵氏の講演が、塚本幼稚園で開かれた。

    名前を使うのは「総理大臣を辞めてから」

    また、当初学校の寄付金を募る際に使われていた「安倍晋三記念小学校」という校名についても言及。

    「こちらの教育方針は主人も大変素晴らしいと思っている」として、首相が話していたことを、こう紹介している。

    「総理大臣はいつもいつも良いわけではなく、時には批判にさらされることもある。自分の名前がついていると子どもたちがいじめにあうかもしれないし、学校側も『なんでいま名前をつけた』と責められるかもしれない。もし名前をつけるなら、総理大臣を辞めてからにしていただきたい」

    同じ日の2度目の講演では、こう語っている。

    「小学校にたくさんの生徒さんが集まって発展してほしいと、主人も私も望んでおります」

    安倍首相は国会答弁で、自分の名前を使われる依頼を何度も断ったとし、さらに「寄付金集めに名前が使われたことは本当に遺憾」としている。

    私も使命をいただいた

    昭恵夫人は講演でそのほか、安倍首相との馴れ初めや二次内閣に至った経緯、海外での体験や特攻隊に関する話などを披露。

    「主人が2度目の総理になったのは天命。私も何かしらのお役をいただいている」と述べ、こうも語った。

    「主人自身も天命をいただき、私も使命をいただいたので、こうして話をしてくださいと頼まれた時には、何かひとつでも自分の経験からでもお伝えできればいいと思ってお受けしている」

    さらに2度目の講演では、東日本大震災の被災地における防潮堤の話に触れながら、こう踏み込んだ。

    「みなさんのご要望を主人に伝えるのが私の仕事だと思っている。私は総理の妻で多少の発信力や影響力はあるにしても、権限はない」

    政府は3月14日、昭恵夫人が「公人ではなく私人であると認識している」との答弁書を閣議決定している。

    寄付はあったのか?

    「籠池園長も大きな天命を神からいただいている方。いつも熱い思いを伺いながら感じております。どうかご夫妻にはお元気で頑張っていただきたい」

    「この小学校が無事に開校することによって、感謝の気持ちを持って、人の気持ちのわかる、そして日本人として、日本に生まれたものとして、日本の国を誇りに思えるような子どもたちがたくさん育って欲しい」

    こう2度の講演で語った昭恵夫人。ただ、小学校の開校はかなわなかった。

    籠池氏は証人喚問で、この講演の日に昭恵夫人と2人きりになり、「安倍晋三からとして、100万円の寄付を受けた」と主張している。一方の安倍首相はこれを否定。昭恵夫人もFacebookで「記憶がない」とのコメントを出した。

    また、政府職員である昭恵夫人付きの秘書が2015年11月、籠池氏の手紙を受け、財務省に土地取引に関する問い合わせをしたことも明らかになっている

    政府は「職員の個人的な照会」との立場で、昭恵夫人もFacebookで「関与していない」としている。ただ、籠池氏は「昭恵夫人の携帯電話に留守電を残した」と主張。さらに、この秘書の行動が官僚への「忖度」になったとも述べている。

    食い違う双方の言い分。民進党などの野党は3月31日、昭恵夫人の証人喚問を要求した。この背景には、5割以上が証人喚問を求めているという世論調査の結果もある(共同通信、3月25、26日)。

    一方の自民党は「必要性が薄い」として応じていない


    BuzzFeed Newsでは話題の言葉「忖度」について、『【森友学園】「忖度」という言葉について、日本語学者に聞いてみた』という記事にまとめています。