いまわかっていること
*強い台風10号は、8月30日午後6時前に東北地方に上陸。午後9時までに日本海に抜け、温帯低気圧に。 *中心付近の最大風速は35メートル、最大瞬間風速は50メートル。 *北日本では「息苦しくなるような圧迫感がある、恐怖を感ずる」猛烈な雨で、1日で1ヶ月分の降水量を超えた。気象庁は氾濫や土砂災害、高潮被害に注意を呼びかけた。
アップデート
台風から一夜明け、甚大な被害が明らかになっている。
大雨により川が氾濫。堤防が決壊した場所もあり、岩手県や北海道などでは浸水被害や道路の寸断、住人の孤立などが相次いでいる。
NHKによると、岩手県岩泉町では市街地が浸水。内陸部にある高齢者グループホーム「楽ん楽ん」では、数人の遺体が確認されたという。
岩手県久慈市でも、川の水が溢れて住宅に流れ込み、住人が行方不明に。北海道新得町でも、橋の一部が流され、車が転落した。
朝まで雨は降り続く模様。河川の氾濫などで浸水している地域もある。雨がおさまっても、急な増水に注意が必要だ。
岩手県内では今夜にかけ、土砂災害の危険性が高まっている。
暗くなる前の避難ができない場合は、「垂直避難」も。
岩手県釜石市など、避難指示が出ている地域もある。<詳しくはこちら>
この場合、直ちに避難する必要があるが、夜間の避難は危険だ。
付近が暗かったり、避難するのも危なかったりするような状況のときは、自宅の2〜3階や近くの高い建物に避難することが大切だ。これを、「垂直避難」という。
台風10号は加速して日本海に抜ける見込みだが、土砂災害には引き続き警戒をしないといけない。
盛岡地方気象台の担当者はBuzzFeed Newsの取材に「今もかなりの雨が降り続いています。雨が止んでも地盤が緩み、河川の水位が上がることもあるので、台風が過ぎても、引き続き警戒を続けてください」を注意を呼びかけている。
台風10号は、午後6時前、岩手県大船渡市付近に上陸した。
岩手の鵜住居川と盛川で「氾濫危険水位」
NHKによると、釜石市を流れる鵜住居川と大船渡市を流れる盛川で、それぞれ午後4時半と午後4時50分に、氾濫の危険性が非常に高い水位を超えた。
岩手県の一部に「避難指示」が発令された。
台風はまもなく東北地方に上陸する。
高潮にも警戒が必要だ。各地は満潮時刻を迎えている。
台風がきた際、高波と高潮が合わさり、津波と同様に、沖合いから海面が盛り上がり、海岸や沿岸へと押し寄せてくることもある。
いまは大潮の時期。15時前後が満潮時刻で、普段より潮位が70センチほど高くなっているところもある。
被災地は震災により地盤沈下していたり、防潮堤が未整備だったりすることもあるため、沿岸部では警戒が必要だ。
過去には高潮による死者も出ている。内閣府によると、1959年の伊勢湾台風では、死者・行方不明者約5000人のうち、8割が高潮による。また、1999年の台風18号が熊本県不知火町を襲い、高潮が防潮堤を越え、12人が死亡した。
雨風が沿岸部を中心に強まっている。岩手県釜石市でも午後2時、全域の3万5千人に避難勧告が出された。
そのほか、青森、宮城、岩手の9市町村で避難勧告が出されている。
避難準備情報に49市町村に(正午現在)。詳細はこちらから。
「あまちゃん」ロケ地などでも避難勧告
福島県の一部が暴風域に入った。
NHK連続ドラマ「あまちゃん」のロケ地になった岩手県久慈市の沿岸地区や、東日本大震災で1千人以上の犠牲者を出した大槌町の全域など、被災地各地にも避難勧告が出されている。
今後は早めの避難を呼びかける勧告にとどまらず、「危険性が非常に高い」場合や、「被害が発生し始めた」状況を示す「避難指示」が出される可能性がある。
東北地方で土砂災害の危険性が高まっている
雨はこれからが本番だ。
雨風はこれから強まり、ピークを迎える。「恐怖を感ずる」ような1時間に80ミリの猛烈な雨の可能性も。
あす昼までに北海道で200ミリ、東北地方で250ミリの、平年1ヶ月雨量を超える雨が、たった1日で降ると予想されている。
気象庁は厳重な警戒を呼びかけている。
青森県、宮城県などで7千人に近くに避難勧告
浸水や土砂災害のおそれがあるとして、青森県東北町と宮城県丸森町は午前11時半、避難勧告を発令した。
これは、一般の人たちも避難を始めるべき段階で出されるもの。明るいうち、雨が強まる前の早めの準備を呼びかけている。
対象は東北町内2地区の合わせて2170世帯、5070人と丸森町内の一部の地域の629世帯1887人。
宮城、青森、岩手、福島、山形の一部では、お年寄りや障がい者、赤ちゃん、移動に時間がかかる人が避難を始めなければならない「避難準備情報」が発令中だ。
さらに今後は、「被害が発生する危険性が非常に高い」場合や、「被害が発生し始めた」状況を示す「避難指示」が出される可能性がある。
土砂災害、河川の急激な増水・氾濫に警戒を
ピーク時には1時間に80ミリの猛烈な雨も
雨風はこれから強まり、ピークを迎える。1時間に80ミリの雨とは、「息苦しくなるような圧迫感がある、恐怖を感ずる」ような勢いだ。
陸上で立っていられないほどの風が吹く可能性もある。
東北地方では、2013年8月にも同程度の雨を観測。この時は秋田や岩手で住宅などが流され、8人が亡くなっている。
あす昼までの予想雨量:北海道200ミリ、東北地方250ミリ
東北地方の平年8月1ヶ月の雨量は仙台167ミリ、盛岡183ミリなど。
たった1日でそれを超える大雨に警戒を。
大雨に警戒、河川氾濫や土砂災害、高潮・高波に注意を
各地で避難準備情報が発令
台風10号はスピードをあげて東北地方に近づいている。
午前10時までに、宮城、青森、岩手、福島、埼玉の5県で避難準備情報が発令。お年寄りや障がい者、赤ちゃん、移動に時間がかかる人が避難を始めなければならない状態だ。
一方、土砂災害警戒情報は福島、群馬、埼玉、長野に発令された。
関東地方の停電は午前10時までにすべて解消。東京電力・福島第一原子力発電所では、一部の作業を中止。
大雨と高潮に警戒を 交通の乱れも
・31日午前6時までの24時間雨量 東北地方で350ミリ、北海道地方で250ミリ、北陸地方で120ミリ、関東甲信地方で100ミリの見込み。平年の8月1ヶ月分を超えるおそれも。
・高潮にも注意を 東北地方では30日午後3時と31日午前2時前後に満潮時刻を迎える。
1年で最も潮位が高い大潮の時期。東日本大震災の影響で土地が低くなっている各地では、高潮被害にも警戒を。
・各地で交通の乱れなども 午前9時20分現在、秋田新幹線で一部運休があるほか、今後は東北新幹線、山形新幹線で運休や遅れが出る恐れ。航空各便にも欠航や遅れが。
午前9時現在、千葉・茨城の1200戸で停電も発生している。
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サムネイル:TORU YAMANAKA/AFP/Getty Images
訂正
写真の権利者の申し立てにより、写真を国交省報道関係者向けのものに差し替えました。