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【現地ルポ】沖縄の米軍ヘリパッド建設 抗議する人たちは次々と機動隊に運ばれていった

いったい、何が起こっているのか。

沖縄県東村と国頭村にまたがる広大な森で、米軍が訓練に使うヘリパッド(ヘリコプター離着陸帯)の工事が進んでいる。

東村の高江地区を中心に以前から建設に反対してきた人たちは、政府によって工事が再開された7月22日以降、車両の侵入を防ごうと、県道で座り込みなどの抗議活動を続けている。

沖縄本島の北東に位置するこの地域では、6つのヘリパッド建設が計画されている。地図上の赤い点が、それだ。

ヘリパッド建設にともない、国内最大の敷地を持つ米軍北部訓練場は、一部が返還される予定だ。「N-4」と書かれた2カ所ではすでにヘリパッドが完成。オスプレイが離発着訓練をしており、集落での騒音も激しくなっている。

そうした中での抗議活動に対し、現場には沖縄県警、さらに警視庁や大阪府警、神奈川、福岡、愛知県警などから400〜500人の機動隊員が動員された。日々、参加者と機動隊員の「衝突」が相次いでいる。

いったい、何が起こっているのか。BuzzFeed Newsは9月14日、現地で取材した。

この日は午前7時半ごろから、工事現場ちかくの県道で抗議集会が開かれた。約150人が片側1車線の道に広がり、工事車両が通れないよう、橋の両側には車を並べている。

集まっている人たちの多くは、近隣の名護市、うるま市や那覇市などからバスや車で駆けつけている沖縄の人たち。本土からの人たちもいる。

40代以上の男女が中心で、名護市辺野古で続く米海兵隊基地建設の反対運動に参加している人も多いという。

一方で、東村の住民は少ない。高江地区に10年前から暮らし、夫婦で活動に参加している40代の女性はBuzzFeed Newsの取材にこう話す。

「反対運動に参加する人はお金をもらっている、なんて噂が立つこともある。それに、反対運動をしていれば、邪魔になっていると言われることもある。人口140人ほどの集落で基地建設に異を唱えることは難しいことなんです。生活のことも考えると、なかなか付近の人は運動には参加できませんよね」

「でも、地域の8割の人は建設に反対していますし、賛成している人は誰もいません。私もどうにかして建設を止めたいと思って、座り込みに参加しています」

確かに地元紙・琉球新報を見ると、高江の全67世帯の56.7%に当たる38世帯が回答したアンケートで、「反対」が80%で「その他(どちらでもない、分からないなど)」の20%を大きく上回った。賛成は1人もいなかった。

抗議集会前日の9月13日には、陸上自衛隊の輸送ヘリが、工事用の車両を空輸。米軍基地建設のために自衛隊が利用される事態は異例で、大きな反発を生んでいた。最終的に、参加者は200人以上に膨れ上がった。

集会からすぐの場所には、警視庁の機動隊員の姿が。抗議活動参加者の車が移動できないよう、2台の大型バスが県道を封鎖していた。

通行が許されるのは、「弁護士と報道の車両」のみ。記者が通行する際には、社員証と腕章、さらには免許証の提示が求められる。

車に乗れない集会の参加者たちは、うだるような暑さの中、数キロの道のりを徒歩で移動していた。この間、一般車も通行はできない。

午前11時前。砂利などを運んだダンプカーが、警察車両に先導され、抗議集会の現場から3〜4キロのところまで近づいてきた。

その数、10台ほど。前後を沖縄県警や機動隊に守られながら、静かな森の中を進む。

抗議活動の参加者が、進行を止めようと車列に近づく。そのたびに、車列に同行している機動隊員が、制止を呼びかける。徐々に現場には緊張感が増していった。

車列は抗議を受け、止まっては進み、止まっては進みを繰り返す。そうして3〜4キロの道を、40分ほどかけて移動した。

午前11時半ごろ。車列は座り込みをする参加者たちの前にまで差し掛かった。

先頭のバスに乗っていた福岡県警の機動隊員が、道路に座り込む人たち一人一人に声をかけ、立ち上がらせ始めた。お互いに腕を絡めてその場を動こうとしない人たちを引き剥がしていく。

それでも動かない場合は、複数人がかりで体を抱え、別の場所に運ぶ。「暴力はやめて」「触るな」などの怒号が飛び交う。隊員たちは淡々と「作業」を続ける。


動画で見ると、こんな様子だ。

ç±³è»åŒ—éƒ¨è¨“ç·´å ´ã€ãƒ˜ãƒªãƒ‘ãƒƒãƒ‰å·¥äº‹ãŒé€²ã‚€é«˜æ±Ÿã€‚ãŠæ˜¼å‰ã€å·¥äº‹ç”¨ã®ãƒ€ãƒ³ãƒ—ã‚«ãƒ¼ã‚’é€šã•ãªã„ãŸã‚ã«åº§è¾¼ã¿ã‚’ã—ã¦ã„ãŸäººãŸã¡ãŒã€å¤§é‡ã®æ©Ÿå‹•éšŠå“¡ã«ã‚ˆã£ã¦ã€å¼·åˆ¶çš„ã«æŽ’é™¤ã•ã‚Œã¾ã—ãŸã€‚ãã®å¾Œã€30分ほど県道上をふさがれ、身動きが取れない状態に。

「排除」された参加者は県道に止めた2台の機動隊車両の隙間に集められ、外に出られないよう、隊員に押さえつけられた。その横を、警察車両に誘導されたダンプカーが通り過ぎていく。

車列が通り過ぎたあと、南北に伸びる県道の両端は、そのまま機動隊員によって封鎖された。参加者たちは道路脇の狭い空間に閉じ込められた。

封鎖は、砂利の搬送を終えたダンプカーが工事現場から戻って来るまで、30分間ほど続いた。

その間、「自分たちの地元でこんなことができるのか」「沖縄だったら何でも許されると思っているのか」と、参加者たちは苛立ちを隊員にぶつける。

しかし、彼らが答えることはない。車列が先ほどとは逆方向に通り過ぎ、「解散」との号令がかかると、50人以上いた機動隊員たちは、すぐにバスに乗り込んでいった。

このような、抗議活動参加者と機動隊員との衝突は、政府がヘリパッドの工事を再開した7月22日以降、日常的な光景になっている。

参加者によると、この日の排除はその中でも大規模なものだったという。

現場で抗議活動の支援を続けている小口幸人弁護士は、BuzzFeed Newsの取材に対し、「強制排除には法的根拠が一切ない」と憤った。

「警察法2条を根拠にすることがあるが、それで許されるものではありません。そもそもそこには、権限の濫用はだめだとも書いてある。沖縄ならやっていいということなんでしょうか。東京でこんなことが起きたら、大ニュースですよ」

「警察の責務」が記載された同法2条には、こんなことが書かれている。

第二条 警察は、個人の生命、身体及び財産の保護に任じ、犯罪の予防、鎮圧及び捜査、被疑者の逮捕、交通の取締その他公共の安全と秩序の維持に当ることをもつてその責務とする。

2 警察の活動は、厳格に前項の責務の範囲に限られるべきものであつて、その責務の遂行に当つては、不偏不党且つ公平中正を旨とし、いやしくも日本国憲法の保障する個人の権利及び自由の干渉にわたる等その権限を濫用することがあつてはならない。

一方、沖縄県警はBuzzFeed Newsの取材に対し、機動隊などにおける「警備活動」をしている理由を、書面を読み上げる形で、こう説明した。

北部訓練場周辺においては、連日、工事関係車両の入域時を中心に抗議行動参加者による、県道70号線上に道幅いっぱいに車両を放置したうえで、その車両の間に座り込んだり、寝転んだりして、道路を占拠し、車両の通行を妨害する行為、車両の前への飛び出し行為や、立ちふさがり行為、寝そべり行為や車両の下への潜り込み行為、工事車両荷台への飛び移り行為と言った、危険かつ、違法な抗議行動が行われていることから、違法状態を解消するなど、警察の責務に照らし、法令に則って適切な措置を講じているところである。

そのうえで、警察法第2条の責務に照らし、各種法令に基づいた措置を講じている、と説明した。でも、抗議活動を阻む目的もあるのではないのか?それに対しては、こう回答している。

憲法第21条に規定する表現の自由も無制限に認められることではなく、公共の福祉に服するものと解されている、と承知している。北部訓練場周辺で行われている抗議行動に対しても、それが、公共の安全と秩序を侵害しない限り、県警察として関与するものではないが、違法な抗議行動などに対しては、警察の責務に照らし、法令にのっとって、適切な措置を講じているところである。

では、政府はヘリパッドの建設工事を、どう見ているのか。

稲田朋美防衛相は、「沖縄県内の米軍基地の面積が減少し、負担軽減にも資する」との立場で、こうも語っている

「地元の難しい課題はある。地元のみなさんの不安については、一つ一つ粘り強く説明していく必要がある」