築地市場の移転について問う東京都の石原慎太郎元知事からの回答は、「記憶にない」だった。小池百合子知事は静かに苛立った。
「記憶にない」はいつから当たり前なのか。過去を振り返ってみたい。
1.国内最古の政治家による「記憶にない」発言は、故・和田博雄元農林大臣?
帝国議会時代の1946年9月の衆議院の委員会で、和田元農林大臣は「どういう言葉で正確に表現しましたか、一寸私記憶にないのであります」と述べた。
議事録によると、「事業は強力な政府の政治力によってやる」と演説で語ったことがあったといい、言葉の意味を問われて答えていた。言葉の表現は難しい。