大谷翔平のケガは「走り込み不足」が原因? 張本氏の主張を専門家は否定

「三角骨障害」について、スポーツ医学の専門家に聞きました。

3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)を欠場することが決まった、日本ハムファイターズの大谷翔平選手。理由は足首のケガで、その病態から「三角骨障害」と見られている。

別メニューで調整する日本ハムの大谷選手=2月4日、アメリカ・アリゾナ州ピオリア
野球評論家の張本勲氏
時事通信

野球評論家の張本勲氏は2月5日、TBS系「サンデーモーニング」に生出演し、大谷選手のケガについてこうコメントした。

「心配したことが起きたでしょう。毎回言ってるでしょう、ケガが心配だと。(投手と打者の)片一方をやっても心配なのに。結果的にいえば、走り込み不足ですよ」

張本氏は、投手と打者の二刀流(それぞれのポジションでの練習不足、結果的に走り込み不足)が、大谷選手のケガにつながったと指摘した。

しかしTwitterには、張本氏の主張に懐疑的なコメントが相次いだ

実際のところ「走り込み」と「三角骨障害」は関係あるの? BuzzFeed Newsは奈良県立医科大学スポーツ医学講座の熊井司教授に聞いた。

——三角骨障害とは、どのような病気なのでしょうか。

まず三角骨というのは、距骨(足関節を構成する骨)の後方に位置する過剰骨の1つであり、健常者でもおおむね10~12%前後に存在していることが知られています。つまり10人いれば1人ぐらいは「三角骨」という余分な骨が存在していることになります。

通常、この三角骨が存在するだけで障害となることはありませんが、足関節を捻挫したり、足関節を過度に底屈(伸ばす動き)することで、脛骨と踵骨の間に三角骨が挟み込まれて障害(疼痛や可動域制限)が出ます。

つまり、足関節捻挫を繰り返したり、足関節の底屈を強制されるスポーツ(サッカーでのキック動作やバレエでのポアント肢位、水泳でのキック動作)では、障害となりやすいのが特徴です。

時事通信

野球では特にピッチャーにおいて、投球動作での軸足側に多く発生します。つまり大谷選手ではマウンドに残る右足が投球動作後半に底屈強制されることで、三角骨が挟み込まれて疼痛の原因となったものと思われます。

私自身も、これまでにプロ野球選手のピッチャーで同じ症状を訴える選手を多く経験しており、実際、早期の復帰を目指して手術になった選手もいます。

——スポーツ、特に野球をする上で、「走り込み不足」が三角骨障害につながる可能性はありますか。

上記の病態から考えると、「走り込み不足」が直接「三角骨障害」の原因になるとは考えられません。「投手と打者の二刀流」→「走り込み不足」→「三角骨障害」といった図式は当てはまらないと思います。

別メニューで調整する日本ハムの大谷選手=2月4日、アメリカ・アリゾナ州ピオリア
米アリゾナから帰国し、キャッチボールで調整する日本ハムの大谷選手=2月12日、沖縄県名護市
時事通信

——三角骨障害の治療法とは。

一般的には局所の安静、湿布、消炎鎮痛剤の服用や、過度の底屈を起こさせないようなテーピング、といった保存療法をまず行います。あと、強い疼痛に対しては麻酔薬の局所注射を行うこともあります。

これらの治療で、症状の軽快が得られない場合や、いったん軽快しても再発を繰り返す場合には、手術を行って三角骨を切除することになります。現在では、内視鏡により切除する(内視鏡下切除術)ことが可能ですので、以前に比べると侵襲も少なく比較的早期の復帰が可能です。

一般的には、内視鏡での切除を行った場合、術後4週間ほどでランニング(ジョグ)が可能となり、およそ1カ月半~2か月ほどで復帰となることが多いと思います。

時事通信

——治療時の大切なポイントは。

多くのスポーツ選手が、この三角骨障害で手術を行っています。当初は保存療法でうまく疼痛をコントロールすることができるのですが、同じ動作を繰り返すことによって再発しやすい、いわゆるオーバーユース障害の一つであるのが特徴です。

再発を繰り返すことでスポーツ活動を休止する期間が長くなると、パフォーマンス低下へとつながるため、オフシーズンを利用しての手術に踏み切ったほうが良い場合があります。

全体のスポーツ活動の中でのタイミングを計ることが重要だと思います。


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