10月に入り、「希少な黒いバラ」の画像がTwitterで拡散されているが、これは自然に育った品種ではない可能性が高い。
日本では、濃い黒紅色のバラが「黒バラ」と呼ばれることがある。しかし、この画像のバラは、言葉の通り“真っ黒”だ。
ツイートにある黒いバラのエピソードは、2013年頃に一度話題になった。
トルコ南東部のシャンルウルファ県ハルフェティにのみ生息する、夏にだけ黒く咲くバラで、土壌や気候の変化により絶滅の危機に瀕しているという内容だ。
日本では、海外情報を紹介するウェブメディア「カラパイア」が2013年12月に報じた。
また、それを引用・転載した記事を、日本のウェブメディア「ロケットニュース24(英文記事)」や、複数のバイラルメディアやまとめサイトが掲載していた。
しかし、米国のデマ検証サイト「Snopes.com」は2016年5月、画像のような真っ黒なバラがトルコのみならず世界に生息している証拠はないと報じた。
Snopes.comによれば、この黒いバラに関する情報の最初の出所は、トルコの新聞「Zaman」のネット版に掲載された記事だ。カラパイアもこの記事を情報源に挙げる。
Zamanはこの記事で「black rose」という表現を使っている。しかし、記事に添えられたバラの画像は、ネットに出回っているような真っ黒なものではない。
カラパイアはSnopes.comの指摘を受けて、2016年10月2日に「デマだったようだ」と追記し、謝罪した。
英語圏のウェブメディアの中には、「カラパイアを情報源としたロケットニュース24の英文記事を情報源とした報道」もあった。
たとえば、イランの英語ニューステレビチャンネル「PressTV」がYouTubeに配信したコンテンツ。これは現在でも視聴できる。
本件は結局、Zamanが報じた内容に、「たまたまインターネットにアップロードされていた、着色または画像編集ソフトで色合いが変えられたバラの画像」が正しい情報であるかのように付け加えられて、世界に拡散したものだったようだ。